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カテゴリ:雑感
病気と向き合う、というのは容易でない。
特に、それが重い病気であればなおさらだ。 私の場合、多発性硬化症であり、これと真剣に向き合うのは、正直、怖い。 何しろ、難病であり、客観的に(実証的に)は、展望は暗い。 この病気は(現代医学では)治せないし、それどころか再発を確実に防ぐ方法もない。 そして、再発の度に徐々に障害が進行して行くことになる。 私も不死身ではないし、いつかは病にかかり体が動かなくなる時が来るとは思っていたが、まだまだ先だと思っていた。 だから、まさか多発性硬化症という聞いたこともない難病にかかり、しかも右目視力低下、下肢障害などの障害を負うとは思わなかった。 「おもしろき こともなき世を おもしろく」と高杉晋作は詠んだが、少なくとも、私にとって、体が思うように動かない(動かせない)、というのはおもしろくない。 「すみなすものは 心なりけり」と、先の句は続く(とされる)のだが、この難病生活も「おもしろく」過ごすことができるようになるのだろうか。 今は、「おもしろく」過ごすというよりは、打つ手がないので成り行きに任せている、というように意識を持っている状態かもしれない。 あまり(発病以後の)過去のことも考えようにしている。 ああしたら良かった、こうしたら良かったということもあるのだろうが、もはや考えても仕方がないことである。 過去のことを振り返るのは無駄である、とプラグマティックに考えるようにしている。 しかし、一方で、過去のことを思い出すと、辛くなる時もある。 昔見ていたテレビ番組(のDVD)や、昔よく読んでいた本、何かの折に思い出す記憶など、この病気にかかる以前に起こったことを思い出すと、病気にかかっていない頃の自分を思い出す。 それは、とても懐かしく、同時に愛おしい。 もはや戻ることはできない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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