夫に先立たれた妻たち
2月にご主人(享年62歳)を心筋梗塞で亡くした友人に電話をかけてみました。突然の予期せぬご主人との別れにしばらく呆然としながらも、葬儀後は人が亡くなった後の諸々の処理に追われていたようでした。 四十九日の法要を済ませた後一度会った時には、これから自分の生計をどうしたらよいのか、悩んでいました 数年前にご主人が勤めていた会社を退職し、独立してからは思うように仕事が入らず、彼女もお弁当屋さんでパートで働いていました。しかし、そこが閉店してしまい職を失い、ようやく新たに仕事を見つけて今度はフルタイムで働いていました。その矢先にご主人が亡くなったのでした。食べるだけが精いっぱいで、掛けていた生命保険の支払いが滞り、少しだけまとまったお金が入った2月の末に保険料を払う事にしていたそうです。ところが、その前にご主人が亡くなってしまったので、生命保険はびた一文はいらず、自分が働いていた所も休みを多く取ったせいで首になってしまい、生活に困窮。遺族年金は2か月近くあとにしか入らない。その間のつなぎに、お兄さんに借金をしたそうです。初盆が過ぎて、就職活動をしているものの、まだ勤め先は決まらず、どうにかしなければと焦っていました。体もあまり強い方ではないし、家に閉じこもってばかりでは鬱になる恐れもあるというので、(次女は一緒に暮らしているけれど、契約社員で毎日仕事にでている)近所に住んでいる長女が孫を連れて来て気を紛らしている様子でした。 彼女はまだ51歳と若いし、これから先どうにか 頑張って生きる目標を見つけて欲しいと思います。もう一人、4月の末に1年ほどのガン闘病の末に59歳でご主人が亡くなりました。奥さんも同じくらいの年齢で、結婚が遅かったらしく子供さんがまだ、高校生の女の子と中学生の男の子が残されました。このご夫婦は同業者仲間なので、数回奥さんとは旅行でもご一緒しています。おとなしく控えめな奥さんで、まだまだ子供にお金のかかる時期だし、仕事面でもこれから先男性と互角に付き合っていかなければならない事を考えると、気の毒で仕方がありません。実家のご両親も高齢で、そちらの心配もあるだろうし、なんて大変なんだろうと胸が痛みます。その後、商売をやめた噂は聞かないので、どうにか頑張っておられるのでしょう。さらにもう一人、5月の初めに心臓弁膜症で、63歳のご主人が亡くなりました。ゴールデンウイーク後に大学病院で、手術をする事が決まっていたのに、4月29日に突然発作を起こし亡くなってしまったのです。連休明けと言わずその前に入院できていれば、もしかしたら最悪の結果を見ずにすんだかも知れないと、悔やんでも悔やみきれない思いだったでしょう。奥さんは、整った顔立ちのおっとりした人で、うちの長男が彼女の4番目の子供さんと同級生なので、会えばよく話をしていました。彼女の場合は、子供たちも皆一応働いていていて、息子さん二人と一緒に住んでるし、ある宗教の信者でもあるので、おそらく宗教が彼女の支えになってくれると思います。それにしても、夫に先立たれてからの妻の生きる人生の何と長いことでしょう。不幸は突然に前触れもなくやってきます。 主人には悪いけど、夫が亡くなった時の自分の人生というものを 時どき考えている今日この頃です。