chery2974のブログ

[読書] カテゴリの記事

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  初電子書籍

  今まで紙の本に拘っていたけど、 無くなってしまったのでは、 仕方がない。 初めて、楽天Koboを 利用してみました。 小説　野性時代　第210号　2021年5月号【電子書籍】[ 小説野性時代編集部 ] 一番のメリットは、 保存場所が不要なこと。 スマホで読むので軽いし、 寝転がって読んでも 手が疲れない。 とても楽だ。 だが、「小説 野性時代⌋の場合、 メインの小説は、文字を大きく できるが、中には、 大きくならない コーナーが何ヵ所もある。 いかんせん、スマホなので、 字が小さいままだと、 老眼で読めない。 だからと言ってタブレットを 買う気にまではなれないし、 うーん、悩む。 ちなみに、もう一冊購入したのは、 全部大丈夫そう。 赤い砂【電子書籍】[ 伊岡瞬 ]

  2021年04月30日

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  書見台を買いました

  肩こり首コリがひどくならないよう、本を読む際に腕を使わなくて済むブックスタンドを購入しました。ここのところ寒くなり毎日肩こりがあります。肩こりがひどくなると気分が悪くなる、すると自律神経が乱れる、という連鎖を断ち切るためにも、いかに読書の際の疲れをなくすかというのが課題でした。この商品は安価な割には、角度も変えられ、ある程度の厚さの本も支え、倒れることもなくて重宝しています。​卓上用 ブックスタンド 書見台 譜面台 角度調節 読書 iPad 勉強 便利 作業効率UP 調理 レシピ本 ◇BST-09​

  2020年11月29日

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  最近読んだ本

  昨日のだるさと腰痛はほぼ取れました。一硝酸イソソルビドの副作用のため頭痛で、午前中はやはり不調でしたが、午後からは持ち直したので、図書館へ行ってきました。最近は、篠田節子のものを読み込んでいます。「夏の災厄」は、20年以上も前に発表されたもので、未知の感染症が発生するパンデミックミステリー。いまのコロナの時期に、けっこうインパクトありました。読書が好きなおかげで、ステイホームでも退屈しません。

  2020年08月21日

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  有川浩著『アンマーとぼくら』

  親子とは？■商品名：アンマーとぼくら [ 有川浩 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容作家自身が言っている・・現時点での最高傑作。レビューでも「泣ける！」と評価は高い。だけど、涙腺がもろい私にしては涙も出なかったし、さほど素晴らしいとは感じませんでした。まず、晴子さんがあまりにいい人過ぎて、親近感、現実感がない。過去と現在の話が交互に進行し、時には未来の主人公がトリップするが、その唐突な場面が不自然で説得力に欠ける。子供のように我儘でどうしようもない父親に対するこれまでの… もっと詳しく見る

  2017年02月01日

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  本はミストシャワー

  聖域 [ 篠田節子 ]価格：842円（税込、送料無料) (2016/7/31時点)架空の画家や作家をモデルに、謎にみちた生涯をミステリータッチで描く手法が優れている。わかれの船 [ 宮本輝 ]価格：699円（税込、送料無料) (2016/7/31時点)14人の作家の、別れを主題にした短編集。山田詠美の「オニオンブレス」と水上勉の「猿籠の牡丹」が印象に残った。時の娘 [ ジョセフィン・テイ ]価格：864円（税込、送料無料) (2016/7/31時点)リチャード3世は、本当に暴君だったのか。真実に迫る古典的ミステリー。昏き目の暗殺者【電子書籍】[ マーガレット アトウッド ]価格：1296円 (2016/7/31時点)入れ子細工のような小説の中の小説が、重要な意味を持つ。老練な手法で、アトウッドの本領発揮。モンローが死んだ日 [ 小池真理子 ]価格：1944円（税込、送料無料) (2016/7/31時点)　　　　　　　　　　　　孤独な男女が出会い愛し合った。初老にさしかかった女性の「生と性」心理描写が、あいかわらずうまい。ジャッカ・ドフニ [ 津島佑子 ]価格：2700円（税込、送料無料) (2016/7/31時点)母として人として小説家として、生きた証の集大成と言える渾身の超大作。もっと長生きして、まだまだ書いてほしかった。 

  2016年07月31日

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  原田マハ著 『暗幕のゲルニカ』

  ■商品名：暗幕のゲルニカ [ 原田マハ ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容楽園のカンヴァス、ジヴェルニーの食卓に続く原田マハさんお得意の画家が題材のアート物。２作と大きく異なっているのは、単に画家を巡るストーリーではなく、反戦のメッセージが前面に押し出されていること。９．１１で夫を亡くしたＭｏｍａ学芸員のヨーコが生きる２００３年のニューヨークと、写真家でピカソの愛人であったドラ・マール目線の世界大戦時のパリ時代が交互に繰り広げられ、物語は進んでいく。ゲルニカが… もっと詳しく見る

  2016年06月04日

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  角田光代著　「坂の途中の家」

  ■商品名：坂の途中の家 [ 角田光代 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容母親が我が子を死なせてしまう、その行動と心理の根源は、現代社会の家族関係のいびつさにあると思う。人は誰でも、親としての資質はもっているものだ。初めて親となって、その資質がうまく育っていくかが問題である。親は子育てをしながら、子と共に成長していくものだと思うから。もし自分が裁判員に選ばれたら、どんな意見を持つのだろうか。子への虐待という命題とともに、裁判員のむずかしさについても考えさせら… もっと詳しく見る

  2016年03月22日

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  原田マハ著　「異邦人（いりびと）」

  異邦人 [ 原田マハ ]価格：1,836円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより）たかむら画廊の青年専務・篁一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長期逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗の画廊で、一枚の絵に心を奪われる。画廊の奥で、強い磁力を放つその絵を描いたのは、まだ無名の若き女性画家。深く、冷たい瞳を持つ彼女は、声を失くしていたー。京都の移ろう四季を背景に描かれる、若き画家の才能をめぐる人々の「業」。『楽園のカンヴァス』の著者、新境地の衝撃作。主題である絵画の世界はもちろんのこと、京都の文化や優美さも堪能できる読みどころ満載の魅力ある作品だった。登場人物がほとんどセレブ的であり、一般人にはなじみの薄い美術関係の世界なので、読む人によっては感情移入がしづらいかもしれない。菜穂が優れたキュレーターであるのは、習得していった能力ではなく、天性のものとして描かれている点に、ややわだかまりを感じるのも否めない。しかし、無名の若き女性画家、樹（たつる）の才能が親譲りであったことや、菜穂との関係などが明らかになっていく展開は、ドラマチックで引き込まれた。画家がその才能を存分に開花するには、優れた審美眼を持つ庇護者が必要なのであろう。『異邦人（いほうじん）』と書いて、『いりびと』と果たして本当に読めるのか疑問であるが、カミュの「異邦人」を連想せぬよう、そして、和風に読むことで、あくまでも日本画家、日本の画壇、日本人を書いた作者のこだわりであろうか。画像素材-g-sozai.com

  2016年03月10日

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  青山七恵著　「めぐり糸」

  めぐり糸 [ 青山七恵 ]価格：2,052円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより） 終戦の年に生まれた“わたし”は、九段の花街で育った。家は置屋から芸者を呼ぶ料亭「八重」であり、母は評判の芸者で、祖母がその雇い主をつとめていた。客として訪れた父は母と知り合い、わたしが生まれた。小学二年生のとき、わたしは置屋「鶴ノ家」に住む子・哲治と出会う。それは、不可思議な運命の糸が織りなす長い物語の始まりだったー。新境地を拓く魂の長編小説。かなり長編だった。そして、主人公”わたし”の心理を理解するのが、難しかった。作者がどういう意図を持ってこの作品を書くに至ったのか、推測する術もないけれど、渾身の力がこめられ書かれているのは間違いなく、この作家が一歩上の段階へ上ったと感じた。なかなか咀嚼できないのが、”わたしの”哲治に対する感情である。やはり、憐れみから生じた愛情ととらえるべきか。だが、その愛情は、いわゆる男女の愛とは考えにくい。”わたし”は、哲治はわたしの分身、”わたし”自身であると言う。夫や娘を捨ててまで、老い落ちぶれた哲治と生きていく”わたし”は、ナルシストに他ならないとも思えてくる。ふたりは、赤い糸ならぬ白い糸で結ばれていたのか。  

  2016年03月03日

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  西川美和著　「ゆれる」

  ゆれる [ 西川美和 ]価格：575円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより） 故郷の田舎町を嫌い都会へと飛び出した勝ち気な弟・猛と、実家にとどまり家業を継いだ温厚な兄・稔。対照的な二人の関わりは、猛の幼なじみである智恵子の死をきっかけに大きく揺らぎはじめる。２００６年に公開され数々の映画賞を受賞した同名映画を監督自らが初めて小説化。文学の世界でも大きな評価を受けた。兄弟、親子の精神的確執が、とても興味深くおもしろかった。智恵子の死の真相は果たしてどうなのか、と読者を最後まで迷わせる手法もなかなかのもので、西川美和という人は、多彩な才能の持ち主であるに違いない。映画では、兄役を香川照之、弟をオダギリジョーが演じているらしい。映像で観るのも、一興だろう。ゆれる [ 西川美和 ]価格：3,138円（税込、送料込）

  2016年02月23日

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  東野圭吾著　「人魚の眠る家」

  ■商品名：人魚の眠る家 [ 東野圭吾 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容脳死や臓器移植がテーマの話で、       東野圭吾氏の得意とするいつものミステリーとは少々趣が違っていた。          専門的な難しい医療の現状も詳しく描写されている。                これだけのものを書くには、相当に下準備を重ねただろう。もし家族が脳死の状態になった時、 臓器提供について「可」と即断できるだろうか。            自分自身の健康保険証の臓器提供意思表示欄でさえ、空欄にしたままである。社会人として、せめて自分の意志を明らかにできる… もっと詳しく見る

  2016年02月17日

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  絲山秋子著　「末裔」

  末裔 [ 絲山秋子 ]価格：594円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより） 「鍵穴はどこにもなかった」。定年間際の公務員・富井省三は、突然家から閉め出されてしまう。妻に先立たれ、独立した息子・娘とも疎遠なオヤジは、やむなく町を彷徨するうち謎の占い師に出会う。不吉な予言、度重なる悪夢、しゃべる犬…やがて省三は、鎌倉の亡き伯父宅へ辿り着く。懐かしい遺品に溢れた空家は、彼の脳裏に在りし日の家族の記憶を蘇らせた。家族の系譜をめぐる長編。絲山秋子さんの本は、これまではテンポよく軽い感じで読んでいたが、この作品は、じっくり読まないと咀嚼できない部分が少なからずあった。カギ穴が忽然と消えてしまうのは、省三の心が閉塞している、というメタファーであろうか。亡き伯父宅の数々の遺品に触れ、父方母方の係累を偲ぶ時、脈々と続いてきた血は、今や疎遠と感じている息子や娘にも、自分を通じてきちんと伝わっていることに、省三はいやおうなしに気付かされる。富井家は途絶えるかもしれないという危惧も、連絡を取らなくなくなって久しい弟が、かなり年下の、それも省三の知己の女性と結婚するという報告を受け、解消されそうな明るい予感をもたらす。そこでようやく省三は、鍵穴がなくなり半ゴミ屋敷と化した我が家の裏庭の窓を破り、中に入ることを決意するのだ。子孫を残したいという人間の生存本能は、無自覚だが、誰にでも備わっているものだと言えよう。

  2016年01月30日

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  青山七恵著　「快楽」

  快楽 [ 青山七恵 ]価格：1,620円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより） 炎暑のヴェニスを訪れた二組の夫婦。日常に疑いを持たない夫婦同士が同行した旅であったが、彼らはやがて狂熱に融かされるように我を失ってゆく。狂いゆく愛、毒される欲望、燃え尽きない孤独。内なる衝動に突き動かされ、埋めようのない喪失感に真実を見出し、惑う男女を、鮮烈な筆致で描いた長編傑作。デビュー作から続けて読んできたが、これまでの作品とはガラリと印象が違う。「愛と性」をテーマに本質に迫る、意欲作と言えるだろう。4人の男女は観光しているにもかかわらず彼らの視線は、4人それぞれの言動挙措に置かれ、炎熱のベニスの風景は、物憂げに上滑りし流れていくだけ。視ることにより感情は動き、想像し、時には過去の記憶へとさかのぼる。官能的描写も多いが、この小説では視線が最大の武器である。人はふだん、自分の心の底にある本質的欲望に、目を凝らそうとはしない。どのような性愛が自分には快楽を与えるか、などと考えないものだ。この小説は、それを掌の上に取りだし、暴いてみせている。人によっては嫌悪を感じる、おそらく好みの分かれる作品であるだろう。   

  2016年01月25日

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  伊坂幸太郎著　「グラスホッパー」

  ■商品名：グラスホッパー [ 伊坂幸太郎 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容映画の広告がでかでかと出ているのを見てて印象が強かったので、他の本を買った時のついで買い。私が小説を読む場合、単純にエンタティンメントを楽しむか、あるいは小説の内容に自分自身が入り込むか、2通りある。内容がどんなものか全く知らずに読み始めて、ハードボイルドだってわかってからはそのつもりで読んだ。１章ずつが、登場人物の鈴木、蝉、鯨3人それぞれの一人称で、入れ代わり立ち代わり進んでいく。殺し… もっと詳しく見る

  2016年01月23日

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  領家高子著　「なつ―樋口一葉　奇跡の日々」

  なつ──樋口一葉 奇跡の日々 [ 領家高子 ]価格：2,376円（税込、送料込）本著は、樋口一葉の文体や日記が文語調で書かれているせいもありかなり手ごわく理解にも手間どったが、ずっしりと読み応えのある内容だった。小説ではあるが、一葉を徹底的に調査、研究の賜物としての史実に基づいた内容になっている。日記に登場する、明治の文筆家たちとの交流図式も把握でき、彼らと交わした言葉や手紙から、一葉の感情がまざまざと感じられ、時には作者自身が一葉に感情移入し過ぎてはいないか、と思われるほどに、読者を惹きつけるものがあった。貧しいがゆえ、金銭を得るために小説家となった奈津ではあるが、小説家としての矜持は、決して揺らぐことはなかっただろう。

  2016年01月17日

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  朝井まかて著　「恋歌」

  恋歌 [ 朝井まかて ]価格：1,728円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより） 幕末の江戸で熱烈な恋を成就させ、天狗党の一士に嫁いで水戸へ下った中島歌子。だが、尊王攘夷の急先鋒である天狗党は暴走する。内乱の激化にともない、歌子は夫から引き離され、囚われの身となった。樋口一葉の歌の師匠として知られ、明治の世に歌塾「萩の舎」を主宰し一世を風靡した歌子は、何を想い、胸に秘めていたのか。落涙の結末！幕末の水戸藩内で、かくも過激な内乱が起こったこと、それにより多くの逸材が失われ、その家族までが処刑されたことはこの本を読むまで知らなかった。尊王攘夷の荒れ狂う世情と、翻弄される人々。若い頃の歌子を生き生きした娘に描いた文章は、非常にこなれていて、さすがだと感じた。幽閉されているがために漂う人糞の臭い、処刑の血なまぐささ、極限状態における人品の卑しさ、あるいは粛々と処刑されていく上級武家の子女らの毅然とした様子などは、すごみが感じられ、圧巻であった。「萩の舎」を開いた師匠の中島歌子よりも、弟子の樋口一葉の方が、後世には有名である。「萩の舎」時代の歌子の評判は、芳しくなかったようだ。歌子の門下には上流の婦人や令嬢が多く集まり、自身は貴族階級への出稽古を主流とした。朝井氏は、後年の歌子がスキャンダラスだったと述べているが、それは、小出つばらや伊東のぶちかなどの援助を受けたことを差しているのか、それとも人口に膾炙する、明治という封建的な時代にきわめて華やかな存在であった「萩の舎」という、いわば女の園での嫉妬や噂話に基づくことどもを差しているのか、大いなる疑問が生じ、歌子の後半生がどういうふうであったのか、非常に興味がわいた。樋口一葉に関しては多くの研究があるが、歌子について書かれたものはあまりない。一葉と半井桃水（なからいとうすい）の関係に、歌子が口出ししたことは、私の知識にあった。他には、一葉が小説を書くことを諌めたとか、一葉を養女にしたかったが、一葉が女戸主にならざるを得ない境遇となり果たせなかったとか、女学校の教諭に推薦する約束を反故にしたとか・・・そういった話は出てきたが、その程度では、朝井氏の言う『醜聞』がつかめないのである。ひとつだけ、三宅龍子が書いた「歌人」という話が手掛かりになりそうな内容であることを突き止めた。今回図書館で借りてきた本の中にはないので、次回借りて、ぜひ読んでみよう。君にこそ恋しきふしは習ひつれ　さらば忘るることもをしへよこのうたは、亡き夫を偲び詠んだ歌子の代表的なものらしいが、その後、歌子には想い人は現れなかったのだろうか。

  2016年01月11日

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  青山七恵著　「花嫁」

  花嫁 [ 青山七恵 ]価格：648円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより） 長男が結婚することになった若松家には、不穏な空気が流れている。妹は反対し、父は息子を殴り、母は花嫁に宛てて手紙を書き始めた。花嫁の訪れをきっかけに、仲良し家族の仮面が次第に剥がれていく。愛が契約に、兄妹が男女に、家族が単なる集団に反転し、最後に残るものとは？信じていたものに裏切られ衝撃に襲われる、恐るべき暴走家族小説。  はたからは幸せそうに見える家族にも、他人には窺いしれない内情があるものだ。若松家全員がヘンだとは思わない。普通に理解できる範疇だ。財力にも美貌にも恵まれ成長し、親になった母の人格設定に、どうにも違和感を覚え、ピンとこなかった。家族四人が一人称で語る、四つの章から構成されている。最後の章で、母親が新しい家族となる花嫁に書いた手紙の内容で、この家族の秘密が暴露される。母親は女としてのこれまでの生き様を、躊躇なく赤裸々に綴っている。しかし、夫の姪である花嫁とは言え、その感情を理解できるものではないだろう。母親は、息子の嫁にバトンタッチすることで、心機一転、新しい道を歩むと宣言する。アラフィフの母にとっては茨の道であろうが、彼女の性格から考えれば、それもまた人生なのだろう。まずまず面白い話ではあった。 

  2015年12月23日

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  小川洋子著　「ことり」

    【楽天ブックスならいつでも送料無料】ことり [ 小川洋子（小説家） ]価格：1,620円（税込、送料込）優しさにあふれた、けれど、切ないお話だった。わたしは読んでいてしばしば、宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」や「よだかの星」などを連想していた。ことりのおじさんのお兄さんは、アスペルガー症を持つ人かもしれない。小鳥の言葉を理解し、小鳥のこころを感じるお兄さんの心が読者に伝わってくる。　そんな気がした。「博士の愛した数式」でもそうだったが、独自の世界に生きる人を、優しい目で見つめる作家の姿勢が感じられた。

  2015年12月21日

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  佐々木譲著　「廃墟に乞う」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】廃墟に乞う [ 佐々木譲 ]価格：1,728円（税込、送料込）第142回直木賞受賞作。この作家のものは読んだことがなかったので、直木賞をとったのがどれほどのものか、一度読んでみたいと思った。刑事もの警察ものだが、ミステリー風に事件を追うのではなく、休職中の刑事が、個人的に依頼されて真相を探っていく話である。６の短編から成り立ち、それぞれの事件の真相にたどり着く過程は、さほどややこしいものではない。事件そのものよりも、犯人の人間性に焦点を当てている。6編の中でも、「廃墟に乞う」が、やはり秀逸だ。犯人の幼少の頃の極貧の生活が犯罪者を生んだ、と読者に感じさせてしまう、強い説得力を持つ。犯人の育ったダムの村の、廃墟と化した茫々たる風景をわたしは、まざまざと想像した。絶望のさなか犯人は、刑事の目の前で自死してしまう。その昏い絶望と、刑事自身が感じたであろう無力さ。とても、興味深い小説であった。 

  2015年12月18日

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  佐伯一麦著　「還れぬ家」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】還れぬ家 [ 佐伯一麦 ]価格：2,484円（税込、送料込） 高校生のとき親に対する反発から家出同然で上京したこともある光二だが、認知症で介護が必要となった父、そして家と、向き合わざるをえなくなる。さらに父の死後、東日本大震災が発生し、家を失った多くの人々を光二は眼のあたりにする…。喪われた家をテーマに著者が新境地を拓いた長編小説。【内容情報】（「BOOK」データベースより）内容は、私小説作家である佐伯氏の体験をもとに構成されている。人が老いていくことの無情さを、まざまざと感じる本だった。家族の確執もじっくり描かれ、わが身を振り返ってみる機会にもなった。子として、老いた親といかに向き合うか。はたまた、人の尊厳とは何か・・・・我々世代の現実がここにあり、これからの自分の人生の指針が示唆されているようにも思った。

  2015年12月12日

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  青山七恵著　「あかりの湖畔」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】あかりの湖畔 [ 青山七恵 ]価格：1,728円（税込、送料込）【内容情報】（「BOOK」データベースより）さびれた温泉街を見下ろす大きな湖のほとり、遊歩道の奥にある「お休み処・風弓亭」の三姉妹。次女・悠は東京へ出て女優を目指し、高校生の三女・花映も外の世界に憧れている。２６歳の長女・灯子だけが、生まれ育った場所でいつまでも変わらぬ生活を望んでいた。ある日、一人の青年がやってきて街に住み着く。妹二人は彼こそが灯子の「運命を変える」のではと噂するが…。豊かで美しい自然と、そこで暮らす人々の交流が暖かい。灯子の心の推移は、軽くて丸くそっとなじむ比喩で描かれ、かつ、底には絶えずかすかな寂しみが込められている。オーソドックスな話の展開であるが、全体が美しく涼やかであった。青山七恵氏の初期の作品から読み始めて8作目。これまで読んだ作品の登場人物は、さほど変わり映えしないが、近著である「繭」の個性的な女たちのキャラクターへはどう変遷していくのか、続けて読んでいってみたい。 

  2015年12月03日

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  三浦しをん著　「あの家に暮らす四人の女」

  ■商品名：あの家に暮らす四人の女 [ 三浦しをん ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容現代版『細雪』と銘打っているが、女四人の名前が谷崎潤一郎の『細雪』の主人公たちと似ているだけで、鶴代と左知が親子、雪乃と多美恵は間借り人といった設定であり、姉妹ではない。語りと会話にユーモアがあり、テンポよく読める。アラフォーである左知のこころの機微がそこはかとなく寂しいが、同じアラフォーでも雪乃は我が道をゆくタイプで、谷崎版細雪の雪子とは性格が異なっている。後半の泥棒が侵入してからの展開は奇… もっと詳しく見る

  2015年12月02日

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  松浦寿輝著　「不可能」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】不可能 [ 松浦寿輝 ]価格：1,944円（税込、送料込）重厚な男性作家の小説が読みたくて、松浦氏の本を手に取ってみた。主人公は、平岡公威・・・つまり三島由紀夫ということになる。市ヶ谷基地での割腹自殺が、介錯人の失敗で未遂に終わり、生き延びて刑に服した27年後、80歳過ぎの悠々自適の老人になっているという設定だ。謎の青年建築家に、邸宅の地下室に石膏の首のない像を作らせたり、別荘に出口のない宙に浮いたような塔を作らせ、財界人を招いてパーティーを催し、その席で人工物と見せた、実は本物の生首を披露したりする。この作品はミステリーには違いない。市ヶ谷で転がった三島の生首と、中空の塔に残った謎の生首が、不思議な対比を想像させる。老醜を恐れただろうナルシストの三島が、あの世から80才の自分の姿を見たら、どう思うだろうか。平岡老人の老練、恬淡とした語り口と、品格のある文章が、久々に、脳に心地よい疲れをもたらしてくれた。

  2015年11月30日

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  青山七恵著　「魔法使いクラブ」

  【メール便送料無料、通常24時間以内発送、午後1時までは当日発送】【中古】 魔法使いクラブ / ...価格：258円（税込、送料別）小学校４年生の結仁（ゆに）は、魔法使いになりたいと真剣に願うちょっと変わった女の子。放課後は毎日、幼なじみの史人、葵と魔法使いになるための特訓をしていた。合い言葉は、「３人の願いが叶うまで魔法使いクラブをやめてはいけない」。しかしある日、七夕の短冊にその願いを書いたことがきっかけで一瞬のうちに、クラスの笑い物になってしまう。一人だけ違う世界にはじきとばされたようなさみしくて怖い気持ちに襲われる。８年後、高校３年生になった結仁はまだ、「世界は突然自分を裏切り、はじきだす」という呪いのような記憶にしばられて生きていたー。（ブックデータベースより）魔法に憧れる三人の子供時代は、ほのぼのとして楽しく読んだ。しかし、仲の良かった幼馴染でも、成長するにつれものの考え方や生き方はだんだんと違ってくるものだ。暖かいと思われた家族も、夫婦仲は冷め父が家に帰らなくなり、姉と兄もそれぞれの生き方を求めて家を出、いつしかばらばらになる。そんな閉塞感のなか、年上の男性とのなかば隷属的な同棲生活を送ることになった結仁の希望は、いったい何なのか。大好きだった絵を描くこともしなくなった結仁を救い出すべく行動したのは、史人だった。現代の風潮の中で、他人に迎合しない性格の少女の成長を情感豊かに描いた話で、割におもしろかった。

  2015年11月26日

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  島本理緒著　「夏の裁断」

  ■商品名：夏の裁断 [ 島本理生 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容心に性的トラウマを持つ、30歳の作家千紘の前に現れた編集者柴田は、女性を翻弄するタイプの男。柴田が千紘の頭を自分の腿の上に抑えつけるシーンは生々しくて、生理的にひどく嫌な気がした。千紘の繊細な神経は、柴田の言動に振り回されることで、吐き気やめまい、手の震えなどの症状を誘発してしまう。こんな男女の関係が目の前に実在していたら、私はごめんだ。見たくない・・・そう思わせる作家の構成表現力は、ある… もっと詳しく見る 

  2015年11月20日

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  青山七恵著　「わたしの彼氏」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】わたしの彼氏 [ 青山七恵 ]価格：1,728円（税込、送料込）　　　　　　　美男子だが、三人の姉にいじられて成長した　　　　　　　　　大学生の鮎太朗は、優しいけれど主体性がなく　　　　　付き合う女性にことごとく去られてしまう。　　　　　　　　そんな中、友人のテンテンはずっと鮎太朗に恋のビームを送り続けているが、鮎太朗にはその気が生じない。 　　　　　　　　主人公は鮎太朗なのだが、美しい姉たちや、　　　回りの女性の個性が前面に出すぎて今一つ、ピンとこなかった。「わたしの彼氏」のわたしは、やはりテンテンなのだろうと　　　　　最後にようやく思い至った次第である。　　　　　読みやすかっったが、起伏が少なくて　　　　　印象がばらけ、インパクトは弱かった。

  2015年11月14日

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  中村文則著　「土の中の子供」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】土の中の子供 [ 中村文則 ]価格：432円（税込、送料込）テーマが重すぎて、読んでいて苦しかった。手ひどい虐待を受け殺されかけ、施設で育った主人公。日々の生活の中で、被虐体験のトラウマは、時を選ばず襲いかかる。主人公には、永遠に希望は訪れないのか。心に傷を持つ白湯子との触れ合いは、かすかな光をもたらしていくようだが・・・この作品は、芥川賞を受賞している。暴力的なシーンと、深層心理の描写が上手い。現代人のこころの病巣をあぶり出している、と感じられる作品だった。

  2015年11月06日

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  青山七恵著　「やさしいため息」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】やさしいため息 [ 青山七恵 ]価格：561円（税込、送料込）3か月前に彼氏に家を出て行かれ、友達もいないまどかの前に4年ぶりに現れた弟、風太との奇妙な生活が始まる。弟は、姉の一日の行動を聞き取り、姉の観察日記を書いていく。姉の話は嘘と事実が織り交ざり、毎日の生活は、コピー、貼り付けの繰り返しのような日々。弟の男友達、緑の出現により、まどかの生活に明るい変化のきざし現れてくる。しかし、それも束の間、まどかに合わせる事に無理がある、と緑に告げられたまどかの気持ちは、またもやしぼんでいく。どこにでもいそうな女性の、心の機微をさらりと表現している。静かな、何という事はない話だが、読者を退屈させないうまさが、この作家にはあると感じた。

  2015年10月27日

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  金原ひとみ著　「マザーズ」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】マザーズ [ 金原ひとみ ]価格：853円（税込、送料込）同じ保育園に子どもを預ける作家のユカ、モデルの五月、専業主婦の涼子。先の見えない育児に疲れ切り、冷めてゆく一方の夫との関係に焦燥感を抱いた母親たちは、それぞれに追い詰められてゆく。子育てをする母親の誰もが体験したことのある、悩みや葛藤が描かれ、女性には共感者が多いだろう。ただ、ドラッグを使用してたユカの妊娠は、私には理解できない部分で、非現実的な感じを受けたが、ここにも作者自身が投影されているらしくて、驚いた。読み応えのある小説だった。

  2015年10月21日

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  青山七恵著　「かけら」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】かけら [ 青山七恵 ]価格：1,296円（税込、送料込）存在感の薄い父親と、バスハイクに参加する羽目になった娘桐子は、集団行動の中で見せる、ふだんは目にしなかった父の違った顔を知る。肉親というものは、近くにいると欠点ばかりが目について、その人の長所には案外気が付かないものだ。ごく普通の、どこにでもある父と娘の関係である。カメラのファインダーというツールを用いて、より客観的に、「観る」と言う行為を際立たせ、連想される「写真」へと導き、昔同じ場所で写した家族写真を思い出させる。そこには、兄と桐子を暖かく見つめる父と母がいた。ほのぼのとした愛情を感じさせるに至る、上手い手法だと思った。この作品は、川端康成文学賞を受賞している。

  2015年10月14日

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  青山七恵著　「ひとり日和」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】ひとり日和 [ 青山七恵 ]価格：1,296円（税込、送料込）20才の知寿と、遠い親戚にあたる71歳の吟子さんとの同居生活。特別な配慮や気遣いなどはない、自然体の暮らし。ふたりの住む家から、隘路を挟んで見える電車のホーム。通り過ぎる電車や行き交う人々が、ゆっくり進行していくストーリーに、動きを与えている。人は誰しも、心の中にちょっとした悪意を抱いてたり、小さな過ちを犯したりしている。そういうものを丸ごと受け止める度量を持ち、繋がりを認めることが、大人になるという事かもしれない。静かな感動が満ちてくる小説でした。

  2015年10月13日

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  藤野可織著　「爪と目」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】爪と目 [ 藤野可織 ]価格：1,296円（税込、送料込）大人になったわたしの3歳児の視座で、話が進行していく。淡々とした語り口のため、文章は平板に感じられる。20代後半の継母あなたと、3歳の女の子わたしの関係は、当然、初めはあなたが優位に立っているが、あなたがわたしを野放図にさせていくうちに、わたしの精神はモンスター化してしまった。はがしたマニュキアを、眠っているあなたの目に無理やり入れるシーンは、子供の生来の残酷さを象徴させたのかも知れないが、気味悪さが際立ち、読後感はよくなかった。

  2015年10月10日

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  豊田正義著「妻と飛んだ特攻兵」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】【KADOKAWA3倍】妻と飛んだ特攻兵 [ 豊田正義 ]価格：734円（税込、送料込）筑前町立平和記念館　で、今まで全く耳にしたことのない真実があったことを知った。終戦日の８月１５日を過ぎているにもかかわらず、なぜ、飛行兵たちが、しかも２名の女性を乗せて、ソ連軍の戦車に特攻する行為に及んだのか、とても興味が湧いた。1945年8月9日、ソ連は日ソ不可侵条約を破り満州に攻め入った。辺境の開拓民を見棄てる防衛作戦を実行し、敵軍との総決戦の直前に、白旗を掲げる関東軍の中で、第五練習飛行隊の11人の将校たちは、降伏を断固拒否し、ソ連軍に敢然と立ち向った。侵攻したソ連軍は、傍若無人な振る舞いで、暴行の限りを尽くしていた。辱めを受けるくらいなら、愛する人と共に死にたいと願った2組の男女。谷藤徹夫少尉と朝子夫人。もう一組は、大倉巌少尉とスミ子さん。8月19日午後、神州不滅特攻隊と名付けた１１機の飛行機はソ連軍の戦車に体当たりするべく、空の彼方へと飛び立った。自主的に結成された神州不滅特攻隊は、軍の記録上は存在しない、幻の特攻隊であるため、戦没者の名簿に情報が入っていなかった。そのため、残された遺族に年金が支給されていなかったが、第五練習飛行隊の元飛行兵の有志たちが、粘り強く厚生省に折衝し、ようやく昭和３２年に戦没者と認定され、遺族年金が給付されるようになった。また、戦後長らく神州不滅特攻隊は、元軍幹部たちから、「軍の命令に背いて出撃した」「女性を乗せたことは重大な軍紀違反だ」と言われ、英霊と認められていなかった。だが、日本最後の特攻隊として神州不滅特攻隊の勇姿を歴史に刻まなければならないとして、有志たちは募金を集め、昭和４２年５月、世田谷観音寺に慰霊碑を建立した。慰霊碑の除幕式に参列した遺族たちは、「自爆という事で恥ずかしくあげてなかった葬式があげられる」と、喜んだ。慰霊碑建立は、隊員たちの名誉回復にも大きく貢献した。平和記念館で資料を観た後で、谷藤夫婦の事は詳しく説明があるのに、大倉巌少尉と共に特攻した女性の事は、なぜ名前でてこないのか、と　疑問に思ったが、この本を読んで謎が解けた。大倉少尉には、故郷に婚約者がいたのだった。スミ子さんは、満州の食堂で働いていた女性であるというだけで、詳細は何もわからない。慰霊碑の除幕式に参列した母親は、その時初めて事の真相を知り衝撃のあまり、その後は病床に臥せってしまった。そして、息子が特攻の際女性を乗せていたという事実は、決して口外しないようにと、家族にかたく禁じたのだそうだ。婚約者の女性が、まだ存命である確率は高いと思う。その人は果たして、この事実を知るに至っただろうか。そのことに思いを馳せると、何とも言いようのない気持ちになってしまった。今さらながらだが、心から　平和を願わずにはいられない。

  2015年10月09日

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  又吉直樹著「火花」

  ■商品名：火花 [ 又吉直樹 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容特にお笑いが好きでもないし、漫才の世界についても皆目わからない。「火花」が芥川賞を受賞し、芸人という話題性が功を奏したのでは、と高をくくって読み始めた。だが、違っていた。この小説は本物だ。「笑いをとること」は、人生を全霊で生きる事。悲しいまでの芸人の性（さが）を描ききっている。底辺に、太宰の感性と通じるものがあるように感じた。文体、表現にもオリジナル性があり、上手いと思った。 もっと詳しく見る  

  2015年09月29日

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  山田宗樹著　「ギフテッド」

   【楽天ブックスならいつでも送料無料】ギフテッド [ 山田宗樹 ]価格：1,836円（税込、送料込）体内に未知の臓器を持つ子供たちの存在が、世界中で確認され始めた。彼らは潜在的に、特殊能力を持つことが明らかになり、「ギフテッド」と、呼ばれるようになる。理解の枠を超えたもの、既成概念を揺るがす存在を人々は恐怖し、彼らを排除しようとする。ギフテッドと非ギフテッドの共存をめぐり、激しく対立する両者の、人類の存亡をかけた戦いともいえる抗争が繰り広げられる。「百年法」もそうだったけど、題材が時宜にあってて、最近の山田宗樹氏の作品は、特に興味深くなってきてる。

  2015年09月25日

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  貫井徳郎著　「私に似た人」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】【第151回直木賞ノミネート作品】私に似た人 [ 貫井徳郎 ]価格：1,944円（税込、送料込）小規模のテロが頻繁に起こり始めた日本。若者が将来への希望を持てず、貧困化していく世相。あるものは自殺し、あるものはテロへと走る。レジスタントを使嗾（しそう）する、黒幕”トベ””トベ”が第2の”トベ”を生み出していく。一歩間違えれば、加害者にも被害者にもなりうる。最後に本物の黒幕”トベ”の正体が明らかになるが、それは、思いもよらぬ人物だった。貫井徳郎氏の小説は、読後感が重くて暗いものが多い。私は、もっぱら、その読後感を好んでいる。  

  2015年09月24日

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  原田マハ著　「総理の夫」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】総理の夫 [ 原田マハ ]価格：1,836円（税込、送料込）待ったなしの日本に現れた、史上初の女性総理。妻をサポートすべく奮闘する、鳥類研究所勤務の総理の夫。政界エンターティンメントと夫婦愛の物語。未来の読者へ呼びかけの形で綴られる日記が面白おかしく、楽しませてくれる。こんな総理大臣が本当にいたら、日本の未来も明るいだろうになあ。痛快な、物語でした。

  2015年09月23日

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  島本理生著　「よだかの片想い」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】よだかの片想い [ 島本理生 ]価格：1,404円（税込、送料込）生まれつき、顔に青アザがあるアイコ。目立たぬよう地味に、大学院生の生活を送っていたアイコに訪れた、初恋。初めて経験する感情に、翻弄される日々。相手は女性との接触が多い、映画監督という仕事人。自分のアイデンティティーを否定することなく、最後には、みずから別れを告げたアイコ。コンプレックスに押しつぶされることのない、本当の意味での強さを持った女性が、描かれている。

  2015年09月13日

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  白石一文著　「愛なんて嘘」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】愛なんて嘘 [ 白石一文 ]価格：1,728円（税込、送料込）装丁の絵は、エゴン・シーレの『首を曲げてひざまずく妻』　表紙カバーを裏まで見ると、エロティックな下半身が描かれてます。本の中身を示唆するような絵です。結婚は、まやかし。恋愛は、欺瞞。真実の愛とは、いったいどんなもの？男と女のつながりを模索する6作品。常識や倫理観など排除して成り立つ現代の愛の形。読む人によって、さまざまな解釈がある、と思われる小説でした。

  2015年09月11日

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  直木賞受賞作　「流」

  ■商品名：流 [ 東山彰良 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容選考委員が満票だったそうで、評価はとても高いようだ。読み始めは、主人公の青春時代の目標もない堕落や乱暴ぶりが冗長で、やや退屈だった。中国と台湾の歴史的関係の認識が、作者が描いた通りだと信じていいのならば、勉強になったと言えるだろう。しかし、台湾生まれではあるが、幼少期に日本に移住されてるので、果たしてどこまでを参考にできるのかよくわからない。文章は、スピード感があって、語彙が豊かで実に面… もっと詳しく見る

  2015年09月10日

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  「はなちゃんのみそ汁」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】はなちゃんのみそ汁 [ 安武信吾 ]価格：626円（税込、送料込）もし、ガンの宣告を受けたなら、果たして自分や家族は、信吾さんや千恵さんのように、果敢にガンと向き合えるだろうか。食べることは生きること。まだ年端もいかない子に、包丁を握らせ火を使わせ、鰹節をけずる基礎からのみそ汁つくりを、こころを鬼にして教え込んだ千恵さんに、ただただ敬意を覚えました。闘病のつらさや、信吾さんの苦しさ、はなちゃんの頑張り。涙なくしては読めませんが、人が生きていく意味が、この本には書かれています。早くから楽天ブログに書かれていたことは、つい最近知りました。早寝早起き玄米生活～がんとムスメと、時々、旦那～9月から、地元の新聞に信吾さんのコラムの連載がスタートします。

  2015年08月29日

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  高校時代の読書記録

  納戸に置いている古い箪笥の引き出しには、懐かしい物たちが、静かに眠っている。子どもたちの母子手帳、幼稚園時代のお便り帳、通知表や賞状、へその緒まで。それらに混じって、高校卒業時に記念に貰った、私の読書記録があった。学生時代に読んだ本は、私という人間を形成するベースになっている、と言ってもいいかもしれない。若い頃に読んだ数々の本から、わたしの人生観やものの考え方は、多大なる影響を受けている。フローベル「ボヴァリー夫人」　　バルザック　「誰がために鐘は鳴る」エミール・ゾラ　「ナナ」　　スタンダール　「パルムの僧院」カミュ　「異邦人」トルストイ　「アンナ・カレーニナ」、「戦争と平和」、「復活」ツルゲーネフ　「カラマーゾフの兄弟」チェーホフの短編ソルジェニーツイン　「イワン・デニーシソヴィチの一日」ミハイル・ショーロホフ　「静かなドン」DHロレンス　「チャタレイ夫人の恋人」サリンジャー　「ライ麦畑でつかまえて」ランボー詩集　バイロン詩集　ヘッセ詩集　谷崎潤一郎全集　芥川龍之介全集　夏目漱石全集　太宰治全集　有島武郎全集　三島由紀夫全集　宮本百合子全集　川端康成全集　田山花袋全集　島崎藤村全集　山本有三全集　森鴎外全集　泉鏡花全集　　志賀直哉全集　　坂口安吾全集　井上靖全集　大江健三郎全集　堀辰夫詩集　　萩原朔太郎詩集　　宮沢賢治詩集　星野富弘詩集「風の旅」　　石川啄木一「握の砂・悲しき玩具」現代日本名詩集野上彌生子　「真知子」三浦綾子　「氷点」　「道ありき」高野悦子　「二十歳の原点」庄司薫　「赤ずきんちゃん気をつけて」　　　　　　「白鳥の歌なんか聞こえない」武者小路実篤　「愛と死」素九鬼子　「旅の重さ」椎名麟三　「永遠なる序章」柴田翔　「立ち盡す明日」石川達三　「青春の蹉跌」大西赤人　「善人は若死にをする」山田真美　　「死との対話」井上靖　「夏草冬濤」北杜夫　「星のない街路」　「楡家の人々」遠藤周作　「沈黙」藤森成吉　「悲しき愛」芹沢光治良　「人間の運命」全巻五木寛之　「青春の門」全巻源氏物語全巻大鏡新平家物語　　　　　こうやって列挙してみると、近代文学に属する本は、たいてい高校時代に読んだようだ。高校の図書館は、知的欲求を満たしてくれる私の宝箱だった。当時、建築されてから20年を経過していた木造の図書館。私は、生徒がもうほとんど手を出さなくなった、古い本が好きだった。分厚く重い全集を広げると、プンとカビくさい匂いがしたものだ。私が好きだったあの建物は壊され、今では新しく立派な図書館が建っている。 　

  2015年08月28日

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  百田尚樹著「海賊とよばれた男」

  ■商品名：海賊とよばれた男（下） [ 百田尚樹 ]■レビュアー：chery2974 ※投稿時■レビュー内容モデルである出光佐三氏の来歴に忠実に、かつ克明に描かれていて、非常に興味深かった。戦後の日本の復興繁栄があるのも、全霊を傾け信念を貫く仕事をしてきた出光氏のような、傑出した創業者の存在があったからだと思う。登場人物の心理描写などは、主観的なきらいが無いわけではないが、小説としての面白さを深めていると感じた。 もっと詳しく見る

  2015年08月24日

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  ハリー・クバート事件（下）

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】ハリー・クバート事件（下） [ ジョエル・ディケール ]価格：1,728円（税込、送料込）下巻の進展は目まぐるしく、ひといきに読んでしまった感じです。エンタティンメントの傑作というべきかもしれません。複雑なプロットには、脱帽しました。終盤の度重なるどんでん返しは、まるでジェットコースターに乗っているかのように、目まぐるしくスリリングでした。読んでみようと思われる方は、睡眠不足になるかもしれないので、ご覚悟ください

  2015年07月13日

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  ハリー・クバート事件（上）

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】ハリー・クバート事件（上） [ ジョエル・ディケール ]価格：1,728円（税込、送料込） 　　　　　　33年前に失踪した当時15歳だったノラの白骨死体が、秘密の恋人だった　　　　有名作家の庭から発掘された。　　　　犯人は、いったい誰なのか読み進むうちに、　　　　　　　　　　ノラの意外な素顔が明らかになっていく。 　　　　　　　結末は、下巻へと持ち越されるが、まだまだ、とんでもない　　　　　どんでん返しがありそうな・・・。　　ワクワクするミステリーだ。早く下巻が読みたい。 

  2015年07月08日

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  あさのあつこ著「たまゆら」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】たまゆら [ あさのあつこ ]価格：1,620円（税込、送料込）あさのあつこさんと言えば、「バッテリー」が有名だが、この作品は、全く毛色の違った分野の小説だった。山に分け入り戻らぬ人、途中で思い返す人、山と人の世との臨界に住み、心病む人らを見守り続ける老夫婦。媼の語りにより進行していく手法は、初めは昔話を聞いているように穏やかだが、真実が明らかになるにつれ、どこか不気味な雰囲気が漂ってくる。殺人を犯し山に逃げ込んだ恋人を探しに来た若い真帆子の情念が、媼日名子の過去までを熾火のようにあぶり出していく。作者が描いた女の情念は強烈だった。まるで命を燃やすように、ここまで男を愛し尽くせば、愛する女も愛される男も、本望というものだろう。

  2015年07月03日

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  吉田修一著「愛に乱暴」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】愛に乱暴 [ 吉田修一 ]価格：1,728円（税込、送料込）いわゆる不倫の話なのだが、妻と愛人の日記が交互に書かれ夫の考えは直接的には出てこない。この妻と夫は以前、同じパターンで前妻を離婚に追い込んでいる。因果応報しょせん、男と女はこんなもの・・・・的な印象を持つストーリーだった。妻の性格は、ちょっと異様な感じはした。チェンソーで離れの床に穴をあけると、床下から出てきた壷の中には放火魔の古い新聞記事。その放火犯の疑いをかけられた、舅の実の母親（妻妾同居していた）の心の内奥を推し量る、妻の危うい行動。作品に流れる禍々しい雰囲気は、夫婦の居室のその離れから漏れ出てくるようだ。　　　　「悪人」や「怒り」とは、毛色の違う作品だった。　　☆をつけるとするなら、3個というところか。

  2015年06月29日

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  桜木紫乃著「ラブレス」

  ラブレス-【電子書籍】価格：1,280円 【楽天ブックスならいつでも送料無料】ラブレス [ 桜木紫乃 ]価格：680円（税込、送料込）北海道開拓民の　貧しい姉妹の生き様を中心に姉妹の母、娘たち3世代のそれぞれの愛の在り方を描いた物語。長女百合子の愛は、水のように自然体でせき止められても　障害物が除かれれば元の流れを取り戻し決して涸れる事はない　川の流れのような愛だ。一方、妹里実は、激しく逆巻く濁流のような性格そのままに愛憎紙一重といったふうである。百合子の死の床で、　生涯愛し続けた宗太郎がむせび泣くシーンに　ふたりの愛の完結を見た思いがした。開拓間もない北海道の自然描写旅役者一座の特異な生活、親子姉妹でも全く違う個性設定なども、興味深かった。　「ラブレス」は、2013年に第19回　島清恋愛文学賞を受賞している。島清（しませ）恋愛文学賞とは、日本で唯一の恋愛小説限定の文学賞。

  2015年06月24日

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  マーガレット・アトウッド著「またの名をグレイス」

  【楽天ブックスならいつでも送料無料】またの名をグレイス（上） [ マーガレット・アトウッド ]価格：3,024円（税込、送料込）1843年にカナダであった実際の殺人事件に題材をとり入念な資料調査をもとに仕上げられた作品。グレイスは、共犯だったのか。それとも、暗い運命にもてあそばれた犠牲者なのか。主犯マクダーモッドは、絞首刑になった。マクダーモッドの供述で、不利な立場に追い込まれたグレイスは、終身刑を言い渡された。グレイスは、殺人が行われたその時の記憶がないと言う。グレイスを擁護するグループにより、記憶をよびおこすためためにかけられた催眠術で、グレイスに他の人格が現れ、心霊主義を信奉する人たちに衝撃を与えた。おそらく、グレイスは、現代でいうところの解離性同一性障害（多重人格）だったと思われる。グレイス本人にも、自分が殺人に手を染めたかどうかはわからないままだったようだ。16歳から30年近くを服役したのち、赦免されたが、その後の様子は、さだかではない。作者は、事実はじじつのままに、明らかでない部分は、多角的に推定される要素を交えて、グレイスを描きだし、同時に、19世紀のカナダの世相も書き込んでいる。　【新品】【書籍・コミック 人文・思想・社会】またの名をグレイス　下価格：3,024円（税込、送料込）長編だが、読者をぐいぐい引き込む力量は、さすがにカナダを代表する作家らしく素晴らしかった。

  2015年06月18日

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  角田光代著　「月と雷」

      【楽天ブックスならいつでも送料無料】月と雷 [ 角田光代 ]価格：1,512円（税込、送料込）角田光代さんの本の中では、インパクトの弱い小説だった。　　　　　　　　幼い頃に出会った人に、自分の未来を変えられてしまった。　　　　　　　かつて、流浪の民のような生き方をする直子と　　　　　その幼い息子智と、いっときを暮した泰子。この親子が闖入してきたせいで、未来のレールは捻じ曲げられ、　　　　　　　　母親は家を出、普通の家庭ではなくなった。　　　　　　　　　　　ずっと、そう思い続け成長した泰子ではあったが、　　　直子らとの生活は、部屋は汚れ、　　　　　　　　　学校には行かない食事はお菓子で済ませる、という自堕落なものだったが、決して嫌いだったわけではなく、　　むしろ、楽しく心地よかったと思う。婚約していた男性がいたが、再会した智と共にすむようになる。妊娠しても、智と泰子の生活は、　　　　幼い日に過ごした頃の様子と変わらず、　　　　　　　　　婚約者といる時より、自然な空気を感じる泰子。　最後まで赤の他人に拾われ暮らす生き方だった直子が死ぬ。　　　　　　　母親との再会を果たした泰子であったが、　　その母は、自らの意志で子を捨て自由に生きた事を知る。　　　　　　すべての元凶が直子にあったのではなく、　　　その後の人生は、それぞれが自分で選び取った道なのだと、徐々に泰子は考えるようになっていく。　　　　　　　　　　　　強弱の少ない、盛り上がりに欠ける話の流れなので、　　　　　　　　面白くないと思う読者も　多いかもしれない。

  2015年06月08日

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