「ゾウの時間 ネズミの時間 ーサイズの生物学ー」本川達雄(中公新書)
第7章「小さな泳ぎ手」はとても面白い。特に慣性力があまり重要でない「低レイノルズ数の世界」の記述に感銘を受けた。
P94 「体長1ミリ以下では、粘性力が慣性力より大きい。粘性力の支配する世界では、環境がベタベタと粘りついてくる。」その場合に推進力を得ようとする場合にはオールを動かしてという方法ではダメ。オールを戻すときにも逆側に推進力がかかってしまうからである。繊毛や鞭毛を使う泳ぎ手たちの泳ぎ方のひみつがここにある。さらにツリガネムシのサイズは粘性力と慣性力が両方かかわるサイズに対応しており、彼らの泳ぎのメカニズムはさらに巧妙である。
P118 脳のサイズについて。体重の2/3乗に比例するということから表面積に関係するということになり、情報のやり取りが表面を通して行われるのだから当然と考えられていたらしい。その後の調べによって実は2/3ではなく3/4乗に比例すると修正され、ならば代謝量と関係しているという説が出たらしい。それはその後別の方法で否定されたらしいが、サイズの生物学の面白さと危険さを感じた。
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最終更新日
2005年10月08日 16時46分11秒
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