カテゴリ:大工の技
昨日今日(11/13㊏14㊐)は、削ろう会第36回全国大会。 「削ろう会」とは、極限まで薄い鉋屑を出すことをとおして、 手道具や伝統技術の可能性を追求する会。 大工や木工関係の職人のほか工具を作る鍛冶などが集まって、 競い、楽しみながら交流をする会なんだそうです。 わが棟梁の田中さんは五寸鉋の部で3位!・・・さて、今回は? ということで、亀岡は枚方から車で1時間と近いこともあり、 初めて削ろう会を見に妻と行ってきました。 会場の亀岡運動公園体育館の入口前では、丸太ハツリの実演。 コーンコーンと心地いい音と斧を振り下ろす迫力に、 ワクワク感が高まります。 会場に入ると、わりとすぐに我が棟梁のブースを発見。 我が石場建て伝統構法の家を建ててくださった日伸建設に関わる 大工さんや建具職人さんたちが「大阪の人」というグループ名で削っていました。 二宮くんが削ります。 先輩の田中さんにじっと見られていて、手が震えないのはサスガです。 こうして一定の長さをもって、μ(ミクロン)で測ります。 薄過ぎて空気になびくだけで裂けそうですが、裂けてたらアウト。 永六輔氏が「削り華」と呼んだ、まさにその名にふさわしいもの。 自分で納得のいくまで鉋を引き、納得の鉋屑ができたら計測場へ。 3回まで公式に計測してもらうことができ、それが記録とされます。 我が田中棟梁も、我が家の建具を手掛けてくれた職人さんと息を合わせて、 す~っと鉋を滑らせていきます。 ・・・削っているというより、力もなく滑らせる感じ。 田中棟梁の1回目の記録。わぁ、3μ(3.6.6)を出してる! 他の人(8.7.8とか11.10.8とか)の半分に近い。 何度も何度も鉋がけをしてみて、 いけたかな?と思ったら自分で測ってみます。 ・・・う~ん、まだまだ! この大会、全国大会ですから、大工さんたちは家族づれで来ているようです。 私たちのような素人が来ても、いろいろ楽しめます。 五寸鉋なんて、初めて見ました。 残念ながら実演は見損ねましたが・・・。 槍鉋の体験コーナーもあります。 なんと、誰でも使わせてもらえます。 京都産の材木利用促進のブースもあるし、 大工道具や亀岡の名産品や軽食の屋台など、いろんな出店もあります。 子どもたちが大勢遊んでいます。 できるだけプラスチックじゃなくて、無垢の木に親しんでほしいものです。 これは、フランス産の松(スプルース)製。 何千個も積んで遊びます。 そしてこの面白さは、実は崩すことにあるそうで、 この木で作ってあることで、いい音が鳴るんだそうです。 子ども3人で1本ずつ抜くと、カラカラカラ・・・と気持ちよく崩れていきました。 さて、私たちは午後からは、亀岡の向こうの園部に孫に会いに行ったので、 結果発表はお預け。 ・・・う~ん、気がかりです。 夕方、インスタグラムやフェイスブックなどSNSで、 結果が伝わってきました・・・ おっ! 真ん中で表彰されているのは、我が棟梁?! 何と今回は、一般の部で優勝!!! やったぁ~! おめでとうございます。 こんな棟梁と仲間の皆さんに我が家を建てていただいて、 本当に誇らしく思います。 家を建てるのに、現実的にはこんなに薄く鉋をかけられる必要はないでしょう。 実際、大手住宅メーカーの下請け大工さんは、鉋をかける場面がまずありません。 伝統的工法、手刻みの大工や棟梁でも、鉋かけは仕事の一部でしかありません。 そういう意味では、・・・だから、どやねん?!の世界です。 でも、こうして日々研鑽し、それを楽しんでいる。 こうして全国の同業・関係の人たちと交流し、情報交換している。 大会の成績じゃない、そういう日ごろからの取り組みが、 明日の伝統の技を支え、伝えていくんだと思います。
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最終更新日
2021年11月15日 09時21分21秒
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