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2007.01.27
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西尾維新『化物語(上)』
~講談社BOX、2006年~

 あとがきを読むと感想がかきづらくなりますが、それでもいつも通りに書いていきましょう。
 春休みに吸血鬼におそわれた阿良々木暦さんの一人称で話が進みます。彼とその周辺に起こる、怪異をめぐる三つの中編が収録されています。

「第一話 ひたぎクラブ」
 最初は、体重をなくした同級生、戦場ヶ原ひたぎさんをめぐる物語です。他人に壁を作り、友達を一人ももたない戦場ヶ原。たまたま、彼女に体重がないことを知った阿良々木さんが彼女のことを調べると、カッターナイフとホチキスを口内に入れられ、二度と彼女に干渉しないように脅されることになります。それでも、阿良々木さんは戦場ヶ原さんに干渉し、その怪異を解決できるかもしれないから力になりたい、というのでした。
 阿良々木さんは、彼が吸血鬼になっていたところを助けてくれた「奇人」忍野メメのもとへ彼女を連れて行きます。忍野さんは、彼女の過去を聞きながら、彼女に起こった怪異を祓うのでした。
   *
 メメという妙な名前ですが、忍野さんは案外かっこいいキャラです。いきなり、清楚なイメージとはかけ離れた言動をみせてくれる戦場ヶ原さんですが、彼女と阿良々木さんの掛け合いも面白いです。というか、各々の中編のメインキャラクタと阿良々木さんのやりとりはえてして面白いです。
 さて、戦場ヶ原さんが体重を取り戻すシーン。話が話なので仕方がないかもしれませんが、それはどこか、京極堂さんの憑き物落としを連想しました。ともあれ、そのシーンがかっこよいです。

「第二話 まよいマイマイ」
 母の日に、家にいづらくなり、一人公園でたたずんでいた阿良々木さん。すると、そこにたまたま戦場ヶ原さんが現れます。前回のお返しがしたいという戦場ヶ原さんと、楽しいトークを展開するのですが、阿良々木さんは道に迷った女の子を見つけます。戦場ヶ原さんはもともとその地区の出身だったこともあり、女の子のいう住所に連れて行こうとするのですが、どうしてもたどり着くことができません。ここにも、怪異が絡んでいるのでした。
   *
 これは、物語の展開としてとても面白かったです。女の子―八九寺真宵と阿良々木さんの間に割とスプラッタな戦いが展開されたりもするのですが、読んでいてびっくりできたのが良かったです。そして、これは切ない要素もありますが、いわゆるいい話です。良かったです。

「第三話 するがモンキー」抜群にバスケットのうまい下級生の神原駿河さんに、とつぜんストーキングされるようになった阿良々木さん。彼女と戦場ヶ原さんには接点があり、そこが、ストーキングの理由でもあるのですが、神原さんも、怪異に悩まされていました。彼女は、その人の意に反する形で願いを叶えるという、「猿の手」に願い事をしていたのでした。
   *
 もう、なんとも感想、というか内容紹介が書きにくくなってきます。ここでも、解決編(?)では、忍野さんがかっこいよいです。神原さんも独特なキャラで、褒め殺しタイプです。阿良々木さんのつっこみも、話を読み進めるにつれて楽しみになってきます。

   *   *   *

 第一話、第二話は、特に「家族」というのを一つのキーワードと思いながら読んだのですが、第三話は方向が違いました。そんなにスプラッタ(?)な戦闘シーンはなくても…と思うのも確かですが、怪異を祓うという形は面白く読みました。どの話にも、ミステリ的な謎解きの要素があって(明確に謎が提示されるわけではないのですが、不自然な部分が氷解する感じですね)、それが私には面白かったです。なんというか、そういうのに安心するのでした。





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Last updated  2007.01.27 15:25:30
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