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意外な戦史を語る~  カモメとウツボのメクルメク戦史対談

意外な戦史を語る~ カモメとウツボのメクルメク戦史対談

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2009.05.08
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(ウツボ)藤田飛曹長が高度二百メートルまで落とすと、伊二五号の艦橋で大きく手を振っているのが見えた。艦尾方向から着水した。母艦の傍に着け、揚収用デリックの下に進めた。エンジン停止、デリックを巻き上げられて、機を艦上に下ろすと、直ちに分解格納されたそうだ。日頃の訓練の賜とはいえ、すばやい限りだった。

(カモメ)田上艦長に藤田飛曹長らが報告すると「ご苦労、話は艦内で聞く」と言い、「航海長、あの二隻の商船を撃沈する」と命令を出したのです。「魚雷戦用意!」と。

(ウツボ)そのとき、突如、「敵機!」と見張りが大声で叫んだ。艦は急速潜航した。潜った途端、ドドーンと大爆発音が起こった。艦は損害を受けたが軽微だった。その後も敵機は執拗に爆弾を落として行ったが、伊二五は無事にやりすごすことができた。

(カモメ)このあと、伊二五は軍令部よりの電報を受信しました。これにより、今回の森林爆撃が相当の効果があったことが分かったのです。その電報は米国サンフランシスコ放送を傍受したもので、その内容は次の通りでした。

(ウツボ)読んでみよう。「日本潜水艦より発したと思われる小型飛行機がオレゴン州山林に焼夷弾を投下、数人の死傷者と相当の被害を受く。わが爆撃機は敵潜水艦を攻撃し損害を与えた」

(カモメ)伊二五ではもう一度焼夷弾攻撃を実施することに決めたのです。九月二十九日の夜、藤田飛曹長と奥田飛兵曹は再びカタパルトで飛び出したのですね。

(ウツボ)そうだね。今度は高度二千メートルで進入、森林に二発の焼夷弾を投下した。同じように火災が発生したのを見届けて帰投した。だが、後で分かったことだが、大火災にはならなかった。

(カモメ)今度は母艦にたどり着くまでに、かなり探したのです。藤田飛曹長も奥田飛兵曹も夜中の海面を、探したが、見つかりにくかった。

(ウツボ)一般的に、潜水艦を発進した飛行機は、帰投は非常に難しい。広い海上に豆粒のような潜水艦を発見する訳だね。夜間は特に困難だ。

(カモメ)したがって、潜水艦は飛行機を発艦する場合は島陰などの波や風の少ない、帰投目標になりやすい地点を選ぶのですね。

(ウツボ)一方、潜水艦は飛行機の帰投を容易にするため、信号灯を点けたり、エンジンをわざと不完全燃焼させて煙を出して場所を教えることもしていた。だが、これにより、発見される確率も大きくなる。

(カモメ)母艦の伊二五は前の敵機の爆撃で損傷して油を引いていました。それが藤田飛曹長の目についたのです。やっとのことで母艦を見つけた藤田飛曹長は、発行信号をパカパカ送ると、伊二五もただちに応答してきました。ただちに、静かな月光の海面に着水しました。

(ウツボ)ちなみに、それほど難しい潜水艦搭載機であるのだが、潜水艦の飛行長は兵曹長や少尉クラスの若い士官だった。戦艦や巡洋艦では、飛行長は中、少佐、大尉クラスだった。

(カモメ)そのようですね。潜水艦を軽視していたのでしょうか。その後伊二五は米国の大型タンカー「カムデン」に魚雷二本を命中させました。さらに別の大型タンカーも撃沈したのです。

(ウツボ)また、伊二五は引き続き、二隻の潜水艦を発見し、そのうちの一隻を撃沈した。伊二五の乗組員はみな米国の潜水艦だろうと思っていたが、戦後、ソ連の潜水艦(L16)であることが判明した。

(カモメ)当時日ソ間には不可侵条約があり、両国は戦争はしていなかったが、このような戦場を通行する二隻の潜水艦の行動について通報を受けていなかったのですね。

(ウツボ)それなら、仕方がないという訳だね。その後、伊二五は故国に向け航海を続け、十月二十四日、横須賀に帰港した。大成功だった。

(カモメ)ちなみに、こんな話もあります。昭和十八年十月十七日、伊三六(艦長・稲葉通宗中佐)は、ハワイの飛行偵察を命じられました。苦心の末、ハワイの一九〇度一二〇海里という洋中で、夜間に飛行機を発進させたのです。

(ウツボ)そうだね。だが、飛行機は予定帰着時間の一時間後偵察報告を打電したまま帰投しなかったんだ。搭乗員は富永、大森両飛行兵曹長だった。このような悲劇もある。

(カモメ)ところで、潜水空母の話に戻りますが、昭和十七年一月十三日、当時、海軍艦政本部第四部設計主任・片山有樹海軍技術少将(東大工学部造船学科・後技術中将)は軍令部から「航空魚雷一個または八〇〇キロ爆弾一個を搭載する攻撃機を積んで、四〇〇〇〇海里航行できる潜水艦ができないか」という相談を受けました。

(ウツボ)それまでは潜水艦の航続距離は、伊六(一九〇〇トン・水偵一機)の二〇〇〇〇海里が最大であり、伊九型(二四三四トン・水偵一機)や伊一五型(二一九八トン・水偵一機)など主力潜水艦は一四〇〇〇海里だった。

(カモメ)この時点で、日本は緒戦で大勝利を得ていましたが、米国との国力の差は歴然で、いつまでも優勢を保つことは難しいと日本海軍は判断していたのです。

(ウツボ)だから日本が優勢なうちに、さらに敵の戦意を砕くような作戦が必要だった。このようなことから、米国本土に爆弾の雨を降らすことはできないかと考えた。

(カモメ)つまり、航空母艦による空襲など本格的な本土進攻は無理にしても、潜水艦搭載機による奇襲なら可能ではないかと考えたのですね。航続距離四〇〇〇〇海里は地球を一回り半できる距離ですからね。








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最終更新日  2015.08.15 09:23:34


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