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意外な戦史を語る~  カモメとウツボのメクルメク戦史対談

意外な戦史を語る~ カモメとウツボのメクルメク戦史対談

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2009.05.15
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(ウツボ)米国本土、西海岸のみならず、中枢であるニューヨーク、ワシントンを攻撃できれば、米国の国民性から世論は沸騰し、国民の士気を厭戦に導くことも不可能ではない。それが潜水空母誕生の要因だった。

(カモメ)「潜水艦史」(防衛研修所)によると、軍令部部員・藤森康男中佐(海兵五六・海大三八)が第二部長・黒島亀人少将(海兵四四・海大二六)から聞いた話として「この艦型(潜水空母)を建造する発想は、山本五十六連合艦隊司令長官(海兵三二・海大一四)であり、同長官は米海岸の作戦を企図していた」と記していますね。

(ウツボ)そうだね。山本五十六ということだね。ちなみに、当時の連合艦隊参謀長は宇垣纏少将(海兵四〇・海大二二)、軍令部第一部長は福富繁少将(海兵四〇・海大二四首席)、作戦課長は富岡定俊大佐(海兵四五・海大二七首席)、潜水艦参謀は有泉龍之助中佐(海兵五一・海大三五)だった。巨大潜水艦は設計主任の片山技術少将が中心となり、設計作業が進められた。

(カモメ)「幻の潜水空母」(佐藤次男・図書出版社)の中にも、「この潜水空母構想を要求したのは、当時の連合艦隊司令長官・山本五十六大将だった」と記されています。

(ウツボ)開戦直後に、山本連合艦隊司令長官は黒島亀人参謀に「米本土に手をかけねばならん。方法はこれしかないじゃないか」と言って、潜水空母を造ることを命じたと言われている。

(カモメ)その作戦構想は、数個潜水隊編成の潜水空母部隊を大西洋に進出させ、搭載の攻撃機で米国本土東海岸の大都市、ワシントン、ニューヨークを急襲、爆撃し、米国国民の戦意を喪失させ、厭戦気分を出させようというものでしたね。

(ウツボ)そして、二次的、三次的には、西海岸のサンフランシスコ、ロサンゼルス、パナマ運河も攻撃目標に含まれていた。

(カモメ)以上のように、山本長官は当初、潜水空母による米国本土東海岸の大都市爆撃作戦を構想していました。だが、昭和十七年後半になって、緒戦の潜水艦作戦に参加した、実戦経験のある潜水隊司令や艦長などから潜水空母反対の声が上がってきたのですね。

(ウツボ)それはね、水上偵察機の発進と収容は、潜水艦にとって、自殺行為に等しいというものだった。また、潜水艦は所詮、商船攻撃兵器であって、通商破壊戦に全力を注ぐべきであるというものだった。それらが実戦に従事する艦長らの主張として上がってきた。

(カモメ)つまり、伊四〇〇型のような超大型艦は、果たして現在の戦況にどの程度寄与することができるか疑問だという考えが出て来た訳ですね。

(ウツボ)当然出てきた。実は当時の潜水艦主務参謀・井浦中佐もその代表的な一人だった。潜水空母建造に反対していたんだ。「直ぐ実戦に使用できれば別だが、完成するまでには二ヵ年を要する。搭載飛行機も試作の段階で実戦使用は相当遅れる」と反対理由を述べている。実戦的でないし、戦略的にも遅いと思ったんだ。

(カモメ)そこのところは、井浦中佐は「少数機を持ってする敵要衝の攻撃は、米国民及び米海軍に対する脅威、あるいは神経戦的な効果を狙うには役立つかもしれないが、実質的な戦果は多くを期待されない」と述べていますね。

(ウツボ)このようなことから、井浦中佐は、潜水空母建造計画総責任者の片山技術少将に対して建造の全面中止を提案した。

(カモメ)これに対して片山技術少将は「伊四〇〇型は、すでに四隻程度原材料を発注し、準備に入っているので、全廃は難しい」と回答しました。

(ウツボ)これを受けて、昭和十八年五月、海軍省軍務局、軍令部、艦政本部の三者で検討した結果、伊四〇〇型十八隻の計画は、半分の十隻に縮小されることになった。

(カモメ)この時期は、潜水空母提案者の山本五十六連合艦隊司令長官が四月十八日、前線部隊激励のため、一式陸攻でラバウルからブインに向う途中、待ち伏せした米のP三八戦闘機十六機に急襲され、戦死した直後でした。

(ウツボ)つまり山本司令長官の戦死により、原案が変更される流れが出てきた訳だ。

(カモメ)このように伊四〇〇型潜水艦が、予定の隻数の建造の見込みがなく、戦機もすでに失していたので、替わって、パナマ運河爆撃作戦が浮上してきたのですね。

(ウツボ)それはね、昭和十八年八月、当時の軍令部第一課長・山本親雄大佐(海兵四六恩賜・海大三〇首席)と参謀・藤森康男中佐がラバウル基地を視察した時、「米の後方補給路を絶つため、パナマ運河を攻撃すべきである。その兵力としては潜水空母が最適である」と意見が一致したことから動き出した。

(カモメ)パナマ運河攻撃の着想自体は、開戦以来各方面で提案されていたので、この時点で事新しいことではなかったですね。

(ウツボ)そうだね。それで直ちに藤森参謀が潜水空母づくりとパナマ運河爆砕作戦の研究、準備に入った。軍令部上層部からも「できるだけ早く決行できるようにせよ」と指示が出た。

(カモメ)例えば、真珠湾攻撃の直後、軍令部第一課作戦主任の神重徳大佐(海兵四八・海大三一首席)がパナマ運河爆破作戦を提案しています。だが、海軍省兵備局長・保科善四郎少将(海兵四一恩賜・海大二三次席)から「着想は奇抜だが、実現は難しい」と言われて断念していますね。








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最終更新日  2015.08.15 09:22:57


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