テーマ:フュージョン(487)
カテゴリ:フュージョン、AOR、ワールドMusic
アルト・サックス が聴きたくなる。 昨年も、秋になってジャズが聴きたくなった、と書いたら、 「私は一年中、ジャズを聴いているので、秋になったからって特にどうということはない」とおしかりを受けてしまった。 でも、やっぱり四季折々の気候や感情があるのは、広い世界でもそんなに多くの国にあることではない。四季の変化があることに感謝している。 日本先行発売で発売されたデヴィッド・サンボーンの「Closer」 クローサー●3000円以上購入で全国送料無料!(一部地域除) 買ったときは、まだピンとこなかったのに、今、この季節に聴くと本当にぴったりなのだ。 ベースとパーカッションの動きが一瞬サンタナ風 のイントロ、 アルト・サックスの音色が入ってくると、一般でデヴィッド・サンボーンの世界になる。 アルバム最初の曲「Tin Tin Deo」 この1曲目で、ぼくは一発でやられてしまった。 デヴィッド・サンボーンの独特のむせび泣くアルトは、健在で、あるときは強く突き刺さるように、演奏され、 あるときは、やさしく心に迫る。 デヴィッド・サンボーンのことを知らなくても、おそらくみんなは一度は彼のサックスの音色、むせび泣くフレーズを聴いた事があると思う。 というのも、彼はキャリアの最初の頃は、スタジオ・ミュージシャンとして、それも主にロックやR&Bのフィールドで活躍していたからだ。 スティービー・ワンダー、ジェイムズ・ブラウン ポール・サイモン、イーグルス、ブルース・スプリングスティーン、ジェームズ・テイラー デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズ など、彼のアルト・サックスを知らないうちに聴いているひとは多いと思う。 その後、ジャズ・フュージョン・シーンで活躍し、デビュー・アルバム「Taking ’Off」 (1975)を出し、 1980年の「Hideaway」 で、人気が定着した。 その他、深町純とニューヨーク・オールスターズ でのライブ・演奏、 ビブラフォン奏者にして、プロデューサーでもあるマイク・マイニエリの「Love Play」 (名盤)でのソロなど、名演を残し、 今ではすっかりジャズ・フュージョン界のアルト・サックスの重鎮のようになてるが、彼の人生は、そんなに順風満帆ではなかった。 3歳の頃、小児麻痺をわずらい、一時は人工肺を使わなければならないほどの状態だったそうだが、命をとりとめてから、医師の強いすすめで、治療・リハビリの一環としてサックスを始めたらしい。 彼がロックのスタジオ・シーンからフュージョン界に出てきた時も、多くのロック・ファンは、彼の音楽を支持したが、ジャズ界からはしょせんジャズのふけない奏者として軽く位置づけられていたとぼくは思う。 しかし、それから19枚のCDを出し、 アメリカのバラエティ番組「サタディ・ナイト・ライブ」 のレギュラー・バンドの一員として活躍し、6度のグラミー賞を受賞した彼を軽くあしらうひとはもうどこにもいない。 何が彼をそこなで成功させたか。 それは、なにおおいても、彼のアルト・サックス の音色とフレーズ。 一聴してすぐに彼と分かる、独特の泣き節にあるとおもう。 スピード感あふれて、するどく切り込んでくる時も、 ゆったりしたバラードでせつなく歌うときも、 彼のアルト・サックスはほんとうに表情豊かに泣いている。 One and Onlyのサウンド。 これが、ファンをとりこにしてしまう魅力だと思うし、またぼくもそうした彼のプレイが大好きだ。 アルバム「Closer」では、 ベースのクリスチャン・マクブライドのベースを中心にサウンドが組み立てられていて、実にしっかりしている。 そして、セッション数、スタジオ・ワークの数ではおそらく世界一ではないかとおもう、スティーブ・ガッド がドラムスをたたいている。 あんまり激しい演奏は今回はしていないが、やっぱりぴたっとつぼにはまるリズムだ。 ギターは、ダイアナ・クラールのバンドに一時いた、ラッセル・マローン 。 そしてマイク・マイニエリ のビブラフォン もう、このメンバーを見ただけで、このCDは即「買いだ!」とおもわせるほどのメンバー。 実際、NYのジャズ・フュージョンの音が聴こえてくる。 クリスチャン・マクブリッジのベースがうねり、スティーブ・ガッドのドラムスがそのリズムを強化するごとくよりそう、 「Senor Blues」 マイク・マイニエリの美しいビブラフォンに、ジャズというかR&Bよりのアプローチの女性、リズ・ライトが歌う 「Don’t Let Me Be Lonely Tonight」 ホレス・シルバーの曲をウッド・ベース、ラッセル・マローンの透明感あふれるギターにのってアルトを歌う 「Enchantment」 チャップリンの有名曲「Smile」 では、 デヴィッド・サンボーンのアルトがむせび泣きながらメロディを奏でる。 オリジナル曲で美しいバラード 「Another Time, Another Place」 アコーディオンのサウンドもフィーチャーされ、スティーブ・ガッドのさりげないブラシがさえる、 「Capetown Fringe」 ラッセル・マローンの透明感あふれロマンティックなギター・ソロが聴かれる 「You Must Believe in Spring」 などなど、デヴィッド・サンボーンのアルトの魅力満載で、バック・ミュージシャンたちの安心して聴けてかつ心地よいサウンド。 やっぱり、デヴィッド・サンボーンの「Closer」は、今の季節、 秋の夜長にこそ聴きたいCDだ。 オススメです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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