最終日に間に合った
昨日26日上野の東京国立博物館にいってまいりました。「運慶」です。実は、ちょうど優待券を持っていたのだ。例えば前売り券や招待券であったら、きちんと予定をたてて行く方法を考えるのだが、優待券という微妙な券であったので、引き出しに突っ込んだまま忘れていた。9月の終わりごろ、この展覧会のニュースをTVで見て、とぐろを巻いて行列する人々の映像に恐れをなし、また10月はなにかと用事があったり、忙しくしていて、ちょうどホッとしたこの時期、フッと思いついたまでです。どうもオーディエンスの関心は「怖い絵」展にいっているらしいという情報も後押ししてくれました。ここ、思えば8年前の「阿修羅展」以降久しぶりです。待ち時間は10分でした、チケットを持っている人の駆け込み来館を覚悟して行きましたが、そうでもないようです。とりあえず一番人気の八大童子立像を観るぞ!との意気込みでした。噂にたがわず素晴らしい、見仏記のみうらじゅんさんは、「仏師というより彫刻家、和製ミケランジェロ」と運慶のことを評しおられましたが、むべなるかなという感じです。私が一番好きだったのは十二神将立像です。それぞれキャラが立っているというか、個性というものが存在するのですよ、ほのかにユーモアがただよっているのが堪りません、混んでいる会場にもかかわらず何回も行ったり来たりしました。目録を見ると、5体はここ国立博物館ですが、7体は世田谷の静嘉堂文庫にあるそうで、久々の再会?運慶というと、昔はあー日本史の教科書に載ってたわーというくらいでしたが、特別な存在であったと認識したのは、夏目漱石の「夢十夜」を読んで以来。夢の中に運慶が出てきて不動明王を作っているのですが、彼は鑿を用いて仏像を形作っているのでなく、もともと木の中にある仏像を鑿で掘り出しているーと運慶の天性の才能を讃えていました。さすが漱石先生でした。ところで、熱に浮かれたようにあちこち歩き回ったせいで、今日は筋肉痛です。8年前の「阿修羅展」より確実に体力が退化しているようです。