介護を代わってくれる人がいない、
どの場面でもヘルパーが足りない――。
京都市内に住む障害児の親らにアンケートをした結果、
行政からの支援が不足していると、切実な声が寄せられた。
調査した団体は、
「SOSを出せる仕組みがほしい」
と理解や支援を求めている。
アンケートを実施したのは、
知的障害児の保護者や大学教授、
障害児の生活を支援するNPO法人の関係者らでつくる
「子どもと親のSOSをキャッチする仕組みを考える」実行委員会。
実行委ができたきっかけは、2020年7月、
重度の知的障害があり
市内の総合支援学校に通う高校2年生(当時)の生徒が、
母親に命を奪われた事件だった。
母親は一人で介護を続けて心神耗弱状態だったとみられており、
なにか支援ができなかっただろうか、と関係者が集まった。
アンケートは、今年4~6月に実施。
市内に住む知的障害のある児童や成人の家族、
計485人から回答があった。
集計の結果、小中学生の子どもがいる家族は、
今後の進路について「大いに不安である」が71・8%、
「まあまあ不安である」が22・5%と、
9割以上が不安を抱えていた。
自由記述欄には
「卒業後の進路は限られている。正規で働くのは難しい現状」
「(進路について)多様な話が聞ける場が定期的にほしい」
などの意見があった。
ショートステイや、ホームヘルパーを「利用していない」
と回答した人は7割を超えた。
理由は
「コロナの影響もあり、
ショートステイの予約がほとんど取れない」
「どの場面でもヘルパーさんが足りていない」
など、支援制度の不足を訴える声が多かった。
介護する家族の状況も聞いた。
自分以外に、介護を代わってくれる人がいないと答えたのは178人。
うち47人が「(介護が)とても負担」と答えた。
介護のためにフルタイムで働けないなどの事情から、
全体の57・9%が「経済的ゆとりが無い」と回答。
障害児の家族が思いを書く自由記述欄には
「5分でもいいので子どもより長生きしたい」
「孤独感・孤立感を常に感じてきた。寄り添う支援が欲しい」
などの意見もあった。
実行委は、調査の結果を受けて
京都市に親らを支援する体制の整備を要望した。
要望内容は、入所施設など社会資源の整備
▽障害児を対象とした福祉サービスのニーズ調査を行うこと
▽ケアを担う家族の就労状況や健康調査すること、
などの6項目にわたる。
実行委のメンバーで、
自身も障害児の親として福祉事業所を経営する竹口宏樹さんは、
「事件について聞いた時、状況が手に取るようにわかった。
わが子の支援の行き詰まりを感じたのだと思った。
できることから解決することで未来が見えてくる、
と同じ境遇の人に伝えたい」。
NPO法人福祉広場の池添素さんは
「SOSを出せない人がたくさんいる。
行政も支援が不足していることを把握して、
具体的な方法を考えてほしい」
と訴えた。
実行委はアンケート結果を基に、
支援策などについて考えるシンポジウムを
25日の午後2時~4時、
中央区の佛教大学二条キャンパスで開く。
参加には資料代300円が必要。
【朝日デジタル】
障害の有無に関わらず、育児に不安はつきもの。
誰でも気軽に相談できる場所があるといいですね。☄