1億円越えの抽象絵画
絵画や彫刻など美術作品はそれを見る個々人の感性によって価値観の違いがとりわけ大きいものですね。まぁ、それを云ってみれば、どんなモノでも。例えば世界最大のダイヤモンド原石と云われる「カリナン」なんて3,106.75カラット(621.35g )もありますが、私にしたら「それがど~した」でしかない。それよりスタバの"抹茶クリーム フラペチーノ」の方がよっぽど価値観あります。そんなだから芸術作品なんて、ある人から見たら1億円出しても欲しいものが、ある人にはただの落書きにもなってしまう。きょうは、そんな「落書き」ぢゃないの? と思うような絵画の中から、オークションで1億円越えした作品のご紹介。先ずはイタリアの芸術家ルーチョ・フォンタナの「空間概念」シリーズの1つ「期待」から。これが、その作品です。落札額は1億4,000万円でした。フォンタナは、前衛芸術運動にさまざまな影響を与えた点で、20世紀美術史上重要な位置を占める作家なんですな。この作家さん、キャンバスを切り裂いたり、穴を開けたりした作品が有名です。フォンタナの作品に驚かされたら、こっちのドイツ人芸術家ゲルハルト・リヒターの作品はもっと驚きますよ。これの落札額は1億円です。作品名は「ブラッド・レッド・ミラー」。リヒターは現在、世界で最も注目を集める芸術家のひとりで「ドイツ最高峰の画家」と呼ばれています。2012年にオークションにかけられた絵画は、現存作家として最高額の26億9,000万円で落札されてます。終戦後の抽象表現主義作家のなかで色面の輪郭が目立つ作風、いわゆる「ハード・エッジ」絵画で代表的な作家のひとりがエルズワース・ケリーです。ハード・エッジは、くっきりとした幾何学的形態の色面、色相対比を意識した色の組み合わせ、変形キャンヴァスの使用などにより、形態と色彩という視覚的効果を訴求する作品です。そのエルズワース・ケリーの作品で1億5,000万円の値がついた作品がコレ!「権利を獲得する」と云うタイトルが付けられてますが、どこが権利なのかチンプンカンプン...ケリーの作品は数多くの似たようなものが多い。これって、めっちゃ省エネですよね。マーク・ロスコと云うロシア人作家がいました。抽象表現主義の代表的な画家で、日本でも「深い精神性を持つ」と高く評価されてる(らしい)作家なんですが、この人は「無題」と題した(?)作品が多い。その無題作品のひとつに26億3,000万円もの値がつけられたのがあります。ロスコの探求は「現代人の精神的な空虚を和らげる」と云うことらしい。ロスコはいろんな美術館で分散展示することを嫌い、ひとつの美術館に多くの作品を集中的に展示することにこだわりました。そのため、彼の作品のほとんどは世界中で3つの美術館で所蔵されてます。ロンドンのテート・モダン(テート・ギャラリー)、ワシントンのフィリップス・コレクション、そして千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館です。ブリンキー・パレルモと云うドイツの抽象画家。ニューヨークでの活動を終えて、西ドイツへ戻った矢先の1977年、旅行で訪れたモルディブ諸島にて33歳で突然その生涯を閉じてしまいました。パレルモは、よく単色の帆布と、フレーム上でカット、ステッチ、ストレッチされた単純な長さの色の付いた布素材で作られた「ファブリックペインティング」で知られていました。またアルミニウム、鋼、木、紙などにも絵を描いていて、絵の具の代わりにテープで線を引いたりもしてました。下の作品が2010年、サザビーズで1億6,000万円で落札されたパレルモの「無題」作品です。50年代末~60年代にかけて、アメリカを中心に活発となった抽象絵画の一動向に「カラーフィールド・ペインティング」と云うものがあります。キャンバスに何が描かれてるか明確にせず、キャンバス全体を色数の少ない大きな色彩の面で塗りこめると云う作法です。アメリカ人のバーネット・ニューマンがその作家のひとりで、彼の「White Fire」シリーズの1作目は3億6,000万円で落札されました。タイトルの「White Fire」は「見る者に精神の深淵にある感覚を訴えかける」ユダヤ教の言葉らしいです。私には分かりません!(笑)こちらは9億4,000万円の値がつけられたニューマンの「Black Fire I」お次は究極の"落書き"です。落札額は2億2,000万円!アメリカのサイ・トゥオンブリーの作品です。しかし、この作品には敵いませんな。ポップアートの旗手"アンディ・ウォーホル"が1963年に発表した「トリプル・エルビス」と云う作品。こんなチンケな(失礼)作品が91億5,000万円なんですから。