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テーマ:洋楽(3396)
カテゴリ:60年代洋楽
ジェスロ・タルといえば、案山子(かかし)よろしくな格好でフルートを吹くイアン・アンダーソン。 少年の日のワタシも、ガッコの音楽の時間には片足一本で立ってフルートを演奏したものです(ウソですけど)。 イギリスはブラックプール出身のジェスロ・タルがデビューしたのは'68年。 フルートを取り入れたブルース/ジャズ・ロックは注目を集め、1stアルバム『This Was』は全英10位を記録する。 また、イアン・アンダーソンが片足で立ちながらフルートを吹き、パントマイムさながらのパフォーマンスを見せるというライヴは大きな評判となった。 そのため、デビュー直後という立場にも関わらず、彼らはローリング・ストーンズの特別番組『Rock'n'Roll Circus』に招かれて、「Song For Jeffrey」を演奏している。 なお、その時のギタリストは急遽引き入れられたトニー・アイオミ(※)であり、番組中では終始うつむきながらエア・ギターを披露している(アンプはつながれていなかった)。 また、デビューしたその年、「メロディ・メーカー」誌での人気投票で、彼らはビートルズに次ぐ第2位に輝いている。 そして翌'69年には、2nd『Stand Up』(上ジャケット)を発表。 同作は全英1位、全米でも20位に入るヒットとなり、バンドは確実に足場をかためていく。 その2ndアルバムで、いちばん有名なのは「Bouree」だろう。 バッハの曲をジャズ・ロック風にアレンジしたインスト・ナンバーで、イアンの吹くフルートと間奏のベース・ラインがとても印象的だ。 だが、アルバムにはほかにも印象深い曲がいくつかある。 中でも「Reason For Waiting」は自分がいちばん好きな曲だ。 作者はイアン・アンダーソン。 トラッド、ブルース、クラシックという要素を彼ら流に昇華した傑作である。 静かに、だが情熱的にかき鳴らされるアコ-スティック・ギター。 そこに叙情的なフルートと淡い音色のオルガンがかぶさってくる。 安らかで、どこか幻惑的な音世界。そこには程よい緊張感もただよう。 イアンの歌声はアクが強いが巧みに抑制をきかせており、演奏とうまく溶けあっている。 後半からはオーケストラも導入され、曲はシンフォニックに盛り上がっていく。 四分という楽曲の中での、緩急を効かせたドラマティックな作りは見事。 この構成力は、のちの名作『Thick As A Brick』('72年)へとつながっていく。 イアン・アンダーソンは、この時まだ22歳だった(写真を見るとずいぶん老けてるが…)。 なお、アルバム『Stand Up』のアナログ盤はジャケットをひらくと、紙人形が飛び出してきて、メンバーが"Stand Up"するという仕掛けになっていた(下写真)。 ダウンロードという形式は味わえない遊びゴコロですな 現在発売されている紙ジャケ盤ではこの仕様が再現されているので、買うならそちらをオススメしたい。内容的にもソンはしませんぜ。 一般的には"プログレ"の枠で語られることの多いジェスロ・タルだが、実はハード・ロックやトラッド、あるいはフツーのロック・ファン(?)が聴いても充分イケそうなバンドだと思う。 '87年のグラミー賞では、ベスト・ハードロック/ヘヴィメタル部門(この年に新設)も受賞してるしね。 頑固親父顔をした"一本足の笛吹き"イアン・アンダーソンの世界は幅広く、そして奥が深い。 養鮭業で大成功したという実績も持ってるしね、この人。ほえ~ そして今年の秋あたりには、新作の発表も予定されているという。 ジェスロ・タルのアルバムは傑作揃いだが、まずは『Stand Up』から『A Passion Play』('73年)あたりを聴いてみよう。 つーコトで「Reason For Waiting」を聴くにはここをクリック! ※ ブラック・サバスのギタリスト。ジェスロ・タルへの参加はこの時のみで、収録直後にサバスに戻っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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