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テーマ:洋楽(3285)
カテゴリ:80年代洋楽
つまりヴォーカリストがサミー・ヘイガーに代わった頃だ。 それまでは、ラジオで流れていた「Jump」(過去ログ参照)以外ヴァン・ヘイレンをほとんど知らなかった僕は、「へ~、ヴァン・ヘイレンてこんな感じなの」と思いながら『5150』を聴いていた。 デヴィッド・リー・ロスのアルバム『Eat 'Em and Smile』が発売されたのは、それからほんの数ヵ月後(というかほぼ同時期)だったと思う。 ↑すごいジャケット……(笑 ヴァン・ヘイレンの前ヴォーカリストだった彼にとって初の本格的ソロとなる本盤は当時大きな話題となり、「ヴァン・ヘイレンに対する挑戦状」みたいな言われ方もしていた。 ラジオでは、シングル・カットされた「Yankee Rose」がかかりまくっており、あるDJなどは「こっちの方がヴァン・ヘイレンらしい」みたいなことを言っていた。 バックを固めるのはスティーヴ・ヴァイ(G)とビリー・シーン(B)という途方もないメンツである。 当時のデヴィッド・リー・ロス・バンドは、演奏力という意味では、本家にも決して劣っていなかった。 ハード・ロック好きだった僕の先輩も「絶対にデイヴ時代の方がいい。サミーはクソ」などと断言していた。 クソですか先輩。そいつぁヒドイ。 と言いつつ、サミーには悪いが、僕も65%くらい同感だ(笑 デイヴは技術的にうまいヴォーカリストではないが、ヴァン・ヘイレンのサウンドや音楽性にぴったりだった。 ワイルドでアクの強いダミ声とエンターテイメント性あふれるキャラは、エディのギターと合わさって唯一無比の"バンド・マジック"を生み出していたと思う。 サミーのヴァン・ヘイレンも決して悪くはない。 彼は歌は上手いしギターも弾ける。 だが、サミー時代のヴァン・ヘイレンは、商業的には大成功したものの、デイヴ時代にくらべて音楽的な面白みは低下していたというのが僕の意見だ。 ヴァン・ヘイレンは基本的にエディのバンドだ。 だが、デイヴという男がいてこそ、このバンドは輝きを増すのだと思う。 大股を広げてジャンプをするのが得意な彼の愛称は"ダイヤモンド・デイヴ"だ。 『Skyscraper』は、そんなデイヴの2ndアルバムである。 発表は'88年。これもまたヴァン・ヘイレンの『OU812』の発表と同じ年だった。 バックのメンバーは前作と同じ。 違うのは、前作に比べてポップ性がより増したこと、サウンド自体もやや丸くなったことだろうか。 ただし全体的なインパクトはもうひとつ。 ポップなのはいいんだけど、曲自体の出来がイマイチなんだよねぇ。中途半端というか。 ビリー・シーンのベースがおとなしめ(デイヴの指示だったらしい)なのも不満が残る。 これじゃ超絶テクのベーシストをやとった意味がないやん、という感じ ビリーが本作を最後に脱退するのもよく分かる仕上がりです。 「Just Like Paradise」は、そんな本盤の中でも突出した一曲だ。 シングル・カットされて全米6位を記録。 デイヴとブレット・タグルという人物の共作で、「まるっきりパラダイス」というおバカな邦題も納得のパーティー・チューンに仕上がっている。 80年代アメリカっぽいカラリとしたイントロが気持ちいい。 スティーヴ・ヴァイのギターも快調に唸りをあげる。 デイヴの悪ガキのような歌声は"うまいヘタ"を越えてロックだ。 輪郭のくっきりしたサビメロは一緒に歌うのに最適。 後ろできらびやかに鳴るシンセの音もイイっす あの時代に量産された産業ポップ・ロックのひとつといえばそれまでだが、デイヴらしさは充分に出ている。 ブレイクでの「Ho!」という雄叫びも気持ちいいこの曲は、彼がまだダイヤモンドの輝きをはなっていた時代の名作と言いたい。 PVと合わせて見ると楽しさ倍増ですぜ そういえば当時のデイヴは、東芝のCM(これね)なんかにも出ていましたね。 このシングルと共にアルバム『Skyscraper』も全米6位まで上昇。 一応の成功をおさめたデイヴだったが、この直後にはスティーヴ・ヴァイにも逃げられてしまい、以後は音楽的にも商業的にも失速してしまう。 21世紀に入ってからはカバー・アルバムを出したのみ。 すっかり"過去の人"という印象がついてしまった彼だったが、なんと2007年にはまさかのヴァン・ヘイレン復帰(※1)。 ベーシストとしてバンドに加入(※2)したエディの息子、ヴォルフガング・ヴァン・ヘイレンを「黙れクソガキ」と罵倒するなど、ロックな精神も忘れないデイヴ親父でした。 また日本に来るのかな~? ヴァン・ヘイレンとして…… つーコトで「Just Like Paradise」を聴くにはここをクリック! 「黙れクソガキ」発言の映像はこちら。 '08年1月26日のライヴ。 この日はエディの誕生日で、突然「Happy Birthday」を歌いだしたエディの息子にデイヴが「shut ur f***in mouth wolfie」と言っている(00:15あたりに注目)。 エディはうろたえて演奏を中断し、場の空気も凍ったが、4:58あたりの所でデイヴが一応フォローのコメントを入れている。 ※1 サミー・ヘイガーは'96年にバンドを脱退。三代目ヴォーカリストのゲイリー・シェローンもアルバム一枚のみで脱退した。 ※2 ヴァン・ヘイレン結成時からのベーシスト、マイケル・アンソニーは2002年に解雇。2004年のツアーにも参加しているが、"雇われベーシスト"扱いだったとか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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