clair de lune

　5時前に起き、シャワーを浴びる。
　家を出た時は、まだ雨は降っていなかった。
新幹線に乗る頃には、本格的に降りだすが
北へ向かうと、天気は曇りへと変わる。

　目の調子が悪いので
新幹線の中で、モバイルを出す気が起きない。
早起きというより、ほとんど仮眠で
脳（あたま）の中も、膜がはっているよう...。
朝１の「こまち」はガラガラで、後ろの席もいない。
リクライニングを最大に倒すと
知らない間に、眠りに落ちていた。

　東北の時間は、やはり、ゆっくり流れる。
仙台の事務所に到着すると
「あれっ、どうしたんですか？」
と女性スタッフが驚く。
そういえば、急遽決まった日程で
女性たちには知らせていなかった。

　一時期、かなりの日数
ここに詰めていたので
まるで、ホーム・グラウンドのようだ。

　ハーゲンダッツのギフト券を
「おやつに食べて」と渡すと
素直に喜んでくれて、こちらも嬉しい。
東京だと、「あっ、どうも」くらいなのに。

　棚卸を予定通り済ませ
早々に東京へ引き返したかったのだが
結局、18時の新幹線になってしまった。
そして、帰りは混雑した車内の中
報告書を片手に持ちながら
再び眠りに落ちる。

　何故だろう、遠くの事務所にいるのに
気持ちが伝わり、理解してもらえる。
向かい合わせの席に、いつも座っているのに
何を考えているのか解らない、うちのスタッフの１人。

　解り合えるということは
距離ではなく、回数ではなく、時間ではない。
知ろうとしなければ、情報は得られず
知ってもらおうと思わなければ、伝わらない。
簡単なことなのに、いつも「おざなり」に済ませてしまう。

　久しぶりの仙台は、ホームのように暖かく
そして、少しだけ気持ちが楽になった。