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2017.08.03
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カテゴリ:わくわく児童文学
姉がイチオシの児童文学作家・高楼方子のデビュー作を読んだ。

〇ストーリー

金色の鍵を拾おうとして,人形のココは動けるようになり,子供部屋から町に出て,外の世界へと歩みだす。川辺でボートに乗ろうと思ったココは,ネズミのヤスに騙され,猫のカーポに売られてしまう。そうとは知らず,ヤスが迎えが来ることを待っていたココは,画学生のネズミ・モロと知り合い,ヤスの正体を知る。またカーポが贋作を作り,美術館の絵画とすり替えていたことを知り,ココはモロたちとそれを阻止しようとする。悪党の猫とココたちは絵画を前に大衝突となり,そして???

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人形とネズミの物語,古典的な少女マンガのような表紙,そして驚きの分厚さに尻込みして,なかなか手を出していなかった。「時計坂の家」「十一月の扉」から読み始め,今では絵本までも手に取るようになっていた。今般,「ココの詩」と上記の2作が福音館から再出版されることを知り,ほんの少しだけ小ぶりになっていたので読むことにした。

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物語は低学年向けの作品のように,人形・ネズミ・猫を主人公に始まる。人形は動けるようになるし,ネズミと猫は人間と同じように読み書きや経済活動をしている。安心して,読み進んでいたら,ココは悪いネズミのヤスに一度騙されたのに,どうしようもなく惹かれ,二度三度と同じことを繰り返す。

この辺りはさすが高楼方子だ。児童文学作品なのに,容赦なくリアルな人間心理が登場する。頭では分かっているのに,心では別の行動を取ってしまう,格好良いやさ男についほだされてしまう,って,大人の女性の世界だよ。

でも児童文学だから,と枠組みを作ってしまわずに,こうした心の動きを導入することもこれからは必要だろう。

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〈第一部〉で,人形のココは人間の女の子になり,〈第二部〉では少女になる。ココにも仲間は出来て,ネズミたちの冒険はクライマックスを迎える。ここで〈第三部〉と〈第四部〉が登場し,事前情報がなかった僕は心底驚いた。

〈第三部〉は文字の色も変わり,一大叙事詩が展開される,そしてとてつもなくアンハッピーな〈第四部〉で物語は終わる。

〈第二部〉までは,多少変則的な部分はあっても,児童文学作品としてのセオリーに則って進んでいたが,〈第三部〉の異次元っぷり,そして〈第四部〉の”きちんと元に戻らない”展開は,もうブンガク作品とも言える。

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〈第三部〉はただただ驚きなのだが,”元に戻らない”〈第四部〉が実に切ない。

内容をあまりネタバレしないように伝えるのが難しいが,後ろから思いっ切り押されたような,夜中に無理やり起こされたような,それぐらい急展開で別方向に行く衝撃があった。そして大事なのは,それが何やらヒリヒリと心に痛みを伴うということだ。

大人の僕がひどく驚いたのだから,少年少女へのインパクトを考えると恐ろしいとさえ言える。本当によくもまあこのまま出版したものだ。ある意味慧眼だけどね。

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20年間経っての原点回帰,おめでとうございます。

でもこの作品は,なかなかの決心が必要なので,あまり多く人にはオススメできない。














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Last updated  2017.08.05 18:49:57
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