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2007.02.07
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    同僚の娘さんの修学旅行のお小遣いは、

       「 最低5万円は持たせて下さい 」

    と言われるものだった、と聞き、思わず目が三角になりかけた私。


    でもそれは、故ある5万円だった。


       娘さんは音楽高校。
       就学旅行先は、ドイツとオーストリア。 5泊。

       旅費は20数万円。

       お小遣いの5万円は、 
       連日連夜、自分たちが目指し、観たい、聴きたいと思う
       オペラやコンサートに行くお金だったのである。


    、、、最低5万円。 納得した。
    そして、遥か昔。 

    音楽高校へ行きたかった私の願いが却下されたことに、納得した。



       幼少時代の私の夢は、
       『 おかあさんといっしょ 』の うたのおねえさん、になることだった。

       地元の少年少女合唱団へ入団。

       合唱だけでなく、リコーダーの演奏も行なう合唱団で、
       TVに出演したり、万博に出演したり、
       アジア少年少女合唱祭などにも参加する、活発な合唱団だった。

       それでも、小学校時代は、なんとかバレーと両立できたが、
       中学へ入学すると、両立なんてとてもできなかった。

       中1の夏休みが終わった頃から、先輩たちに呼び出されては
       クラブか合唱団か選択を迫られ、辛くあたられる日が続き、泣く泣く合唱団を退団。

       高校選択時に、音楽高校で声楽を目指したい、と父に訴え、却下される。

         少年少女合唱団にも、父は反対であったのだ、と言った。
         父は反対だったのに、母がどうしても娘の願いを叶えさせたがったから、
         渋々認めていたのだ、と。

       「 いろんな女性の生き方を僕は否定しない。
         でも、自分の娘だけは、平凡な女性の倖せに在って欲しい。

         音楽の世界で生き抜くことは、並大抵のことではない。
         大成しなければ、音楽だけでは生きて行けないし、
         音楽高校を出たからって、何がどうなるものでもなく、
         音楽大学、その上、と、まだまだ長い道程が待っている。

         そうなれば、広島ではどうしようもない。
         だが僕は、結婚まで、娘を決して手元から離さない。
         いずれは出て行く娘を、どうして早くに手放さなくてはならないのだ。

         それに、そういった音楽の道に行かせてあげられるほど、うちは裕福でない 」


 
     お金がないから、行けない。
    「フツー」の道でないから、行けない。

       当時の私には、とても理不尽に思えた父の言の葉だったけれど、
       当時、父の言の葉は絶対、であったし、
       辛そうにも見えた父をとても論破できそうもなく、諦めざるを得なかった。

       そして大学で、合唱団に入り、昔取った杵柄でソプラノのパートリーダーになり。
       大きな演奏会でのソロで、ヴォイストレーナーとして音大の先生がついて下さり、
       その先生から、何故音大に行かなかったのか、と責められる。
  

          そのとき、ぱぁん、と脳裡で何かが弾けた。


       所詮、私の夢、ヤりたい、なりたい、、、、
       そういったような私の想い、憧れは、薄っぺらいものでしかなく、
       親の願い、親の涙を振り捨ててでも、
       自力で掴み取ってやろう、と努力を試みてみるほどのものでもなかったのだ。

       今在る自分の姿は、他の誰でもなく、自分自身が選び取り、歩いて来た自分の姿。
       「 不本意 」だなんて言える立場どころじゃない。
       いつまで、自分の姿の言い訳、責任転嫁をするつもりなのだ、と苦かった。
  

          少年たちの母となってみて、色々とまた物想う。


       何をも振り捨てて目指すもの、を見つけて欲しい、と願いつつ、懼れてきた。
      「 そこそこ 」の少年たちを、中途半端だと不満に思いながら、
       でも何処かで安心している自分が、苦いことに、確かに在る。



     そして、才能に恵まれ、
     また、少しでもそれを生かすことのできる環境に在るひとは、
     どうぞ心身を健康に保ち、歯を食い縛って頑張り、努力し、
     美しい花を咲かせて欲しい、と勝手に願ってしまう。


        才能に恵まれないひとの 環境が許されないひとの たくさんの涙が、
        頑張るひとの笑顔をきっと支えてる―――。



     などと、同僚の娘さんの話から、遥か昔まで遡って惚けていたら、

     職場に、一昨年ご紹介した広島高校の修学旅行 のパンフが届いた。 

     中高一貫のここの中学生が、毎年職場研究でうちの会社にやって来るのだが、
     その時に持参してくれたものである。

広島高校修学旅行パンフ



     朝日放送系列の『 素敵な宇宙船地球号 』で放映された旅行内容 さながらに、
     ニッポンの「フツー」の高校生と
     マレーシアのボルネオ島へ修学旅行へ行った高校生の1週間を、
     ページごとに対比させ、考えさせられる内容にして、よくできていた。

     夫が、実際に行って来たお嬢さんと話したが、
     毎年希望が多いために、まず適任者かどうかの試験を受け、
     マレーシアに行くまでに、何度も研修を受け、レポートを書き、テストも受け、
     1年かけて、ずっと準備して行ったそうである。



     一方、うちの少年たちのような「研修」旅行もあり。

     *『 ヒルトン東京ベイ 』 の、超豪華・気を失いそう・バイキングでは、
      美味しいケーキも山のようにあったが、すぐに売り切れ。

      ケーキのお代わりができずにがっかりしていたところに、
      当日がお誕生日の同級生3人に、それぞれ『 シェフの特製ケーキ 』が
      ワンホールプレゼントされ、大歓声があがったそうである。

      下の少年と同じクラスではなく、それも女子だったので、残念!
      それに、彼の誕生日は、僅かその2日前だったのだから、地団駄を踏んだようだった。




     高校、いろいろ。
     修学旅行、いろいろ。

     それぞれに楽しく意義深く、一生こころに煌き残る素敵な旅行でありますように。


ペンわー





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Last updated  2007.02.07 02:48:24
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