安倍元首相銃撃事件
「民主文学」誌には現在が描かれない(まったくということでないにしろ)という議論があり、その例として安倍元首相銃撃事件をあげる意見を聞いた。 そこで事件を小説にできるかどうかを考えてみたのだが、すぐに行き詰ってしまった。 事件の経過については報道でほぼ明らかになっている。銃撃したのは別人だとするような陰謀論もあるが、説得力はない。 容疑者についてはいろいろ報道されていたが、鑑定留置されていることもあって、無責任な憶測記事は比較的少ない印象がある。父親の自殺や母親の入信からの生活の困窮、本人の自殺未遂などといったことは、どこまで正確かは別にして情報はある。 父親の自殺などがあって母親が統一教会にのめりこみ、多額の献金で家庭が崩壊する。それを恨んだ容疑者が統一教会の後ろ盾と考えた安倍元首相の殺害を計画した。というわかりやすいストーリーが想定される。 ところが、ひっかかるのは容疑者の年齢だ。1980年生まれの41歳(事件当時)。ふつうは家や親にわずらわされる年齢ではないだろう。 ただし3年間の任期制で海上自衛隊に入ったのが2002年という就職氷河期世代だということは、無関係ではないという気がする。