みかん農夫の1年間の収支
今年も確定申告の申告書類が送られてきました。
みかん農夫は、この申告を1年間の仕事をまとめるための機会としています。
1年間のみかん仕事が、その動向や特徴が、収支の数字を通して見えてきます。
まず、みかん販売で入金した金額ですが、12月末時点ですが、74万円でした。
みかんは前提として、確定申告の1月1日から12月31日までの収支ではくくれないんですが。
中心をなす温州みかんですが、12月末までに木からすべての果実をおろして、
それを1月中には、すべて販売するようにしています。
したがって、温州みかんの年間サイクルの節目は、1月末が実際の決算なんですね。
この大事な1月の商いが、確定申告では翌年に繰り越されちゃうんですが、仕方がありません。
当方のみかんの特徴ですが、
小田原・真鶴でみかんを栽培・収穫して、東京の多摩市で販売していることです。
みかんの収入は74万円でした。
これはみかんを販売して、実際に入金した金額です。
この他に、まだ入金が出来ていない売掛金もありますが。
これに対して、支出は、1年間の栽培経費は、170万円でした。
これは当方の遠距離農夫の特徴なんですが、
東京・八王子と小田原・真鶴を往復する交通費として、
この中に、ガソリン代が24万円、高速料が15万円の、交通費だけでも39万円がかかりました。
これは、動力光熱費の35万円、荷造運賃手数料の23万円の中に含まれるんですが。
それに現地の住まいですが、小田原・早川に農家を借りていますが、
この賃貸料を合わせると、1年に75万円くらいはかかっちゃうんですね。
それに肥料や素材料、減価償却、租税公課などがかかりますから、あわせると170万円。
まぁ、年金とみかんの売り上げ金で、170万円を埋めようとしているわけです。
全体として赤字は赤字ですが、この収支の数値には出てこないメリットがあります。
精神的にですが、都会人のリゾート・オアシスを確保しているということです。
みかんの収穫には、東京などから27組86名が出かけて来てくれました。
いろいろ今の社会で問題になる根本は「金もうけ」です。
マルクスが『資本論』で解明した「剰余価値」の荒稼ぎですね。
「もり・かけ」問題も、とどのつまりはその現われですね。
そうした世相の中で、人間も自然のなかに生かされているんだということを、
東京の近郊にある小田原のみかん園で体感すること、
この大自然と豊かな恵みにふれることによって、人生にとっての英気を養うこと。
これは、社会主義になろうと、共産主義になろうと、尊重される宝なんですね。
したがって、今年度も都市と近郊農業の共存のために頑張ります。
これが大赤字をきたすようでは、ものごと続きっこありませんが、許容範囲とおもいます。
豊かな自然の産物を生かして、たんに金銭の損得勘定だけではなく、
都市と農村に暮らす人たちの、豊かな未来を探究しようというわけです。
これが、今回の確定申告の結論ですね。