|
カテゴリ:本・書籍
ただいまざんねんな生き物が子どもから大人まで人気ですね。
本書はざんねんな生き物を監修した今泉忠明さんが監修しています。 おいおい書評を書こうかと思っていたら、先日テレビ番組の地球ドラマチックで取り上げられている者がいたので、テンションが上がり、ピッチを上げてしまいました(笑)。 ![]() わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑 [ 今泉忠明 ] 【聞いてくれ、その理由を!】 題名のとおり、本書では絶滅した動物とその理由が紹介されています。 一言に絶滅といっても、その理由は様々です。 ~パンダに負けて絶滅~ ギガントピテクス 我々に近い類人猿で、植物や果物を食べていました。 地球が寒冷化した時に食糧不足になり、成長の早いササを食べるようになりました。 しかしササは栄養価が低く、3mの巨体を維持できませんでした。 ちなみに当時ササを取り合っていたパンダはそれほど巨体ではなかったので、ササで間に合ったようです。 ~角に栄養をとられて絶滅~ オオツノジカ 角が横幅3m、重さが45kgもありました。 しかも角は毎年生え変わるので大量のカルシウムやリンが必要となり、肝心の本人は骨がスカスカ。ちょっとしたことでも骨折…… こうしたやりすぎ感はつい笑ってしまいます。 ~暑さにも寒さにも弱くて絶滅~ ティタノボア 地球ドラマチックに登場していました。 全長13m、直径1mという、史上最大のヘビです。その大きさはアナコンダのゆうに5倍。 ワニなどの大型動物を餌にしていました。 ですが大型化しすぎて体温調整がうまくいかず、30~34℃でしか活動できなかったため環境に適応できず絶滅しました。 ~筋肉ムキムキで絶滅~ スミロドン サーベルタイガーのような動物です。 マンモスなどの大型獣を押さえ込み、その長い牙で狩っていました。 そのガッシリした重い体が災いしてすばしっこい動物を捕らえることができず、大型獣が絶滅するとともに滅んでしまいました。 ~クジラの逆襲で絶滅~ メガロドン こちらも地球ドラマチックに登場していました。 「ジョーズ」で有名なホオジロザメの3倍もの体長を誇るサメです。 体長4mクラスのクジラを餌にしていましたが、海水温が下がり活動が鈍りました。 さらにクジラから進化したシャチなどに追いやられ、絶滅しました。 【生き残るってたいへんだ】 種族が絶滅する理由はいろいろありますが、理由の圧倒的第1位は環境の変化です。 火山の爆発や隕石の落下、気温や酸素濃度の変化などにより環境が変わってしまい、適応できない種が滅びました。 環境が急変した際はほとんどの種が滅んでしまう「大絶滅」が起こり、そのたびに地球のメンバーがガラリと入れ替わって来ました。 絶滅の理由第2位はライバルの出現です。 自分たちより環境に適応した種が現れ、生存競争に敗れてしまうことが原因です。 そして第3位は我々人間のせいです。 1、2位より割合は低いものの、人間ほど他の種族を滅ぼしてきた者はいません。 狩りつくしてしまったり環境を変えたりして、多くの種が絶滅に追いやられました。 この地球で生き延びていくのは容易ではなく、種族の99.9%は絶滅していると言われています。 しかも絶滅理由第1位の環境変化の前では種族の優劣はほとんど関係なく、たまたま難を逃れた種が生き延びたに過ぎないのです。 【どっこい彼らは生きていた】 そんな中、絶滅しそうでしなかった者たちも取り上げられています。 ~森に引きこもって助かった~ コビトカバ 地球の気温が下がり気候が乾燥してくると、森林が減りサバンナや砂漠が増えました。 そのため木の葉を食べていた哺乳類の多くが森を離れた中、コビトカバは森にとどまりました。 おかげで生息地はごく限られてはいるものの、彼らは昔と変わらない姿で生き続けています。 ~深海に迷い込んで助かった~ シーラカンス 生きた化石として有名ですね。 はるか昔に滅びたと思われていたのですが、たまたま深海に進出した者たちが子孫をつなぎ、3億5000万年前とあまり変わらない姿で今も生きています。 ~進化がおそくて助かった~ オポッサム 有袋類の中でも原始的な種です。 特定の環境に適応していない代わりにどの環境でもそこそこやっていけるため生き延びました。 子だくさんで何でも食べるので、多くの種がネズミに負けて絶滅する中、彼らは力強く生きています。 ~気づいたら別の場所にいて助かった~ クニマス 絶滅したと思われていましたが、さかなクンが発見したことで話題になりました。 もともとは秋田県田沢湖に生息する固有種でしたが、水力発電のための開発で絶滅しました。 いきさつはよくわかっていないそうですが他県の施設に受精卵が送られていたらしく、山梨県西湖で生存が確認されました。 そんな彼らも今や絶滅危惧種。彼らを滅ぼした人間によって守られる身になったのですから、何とも皮肉な話ですね。 【この世界を生き切った者たちに学ぶ】 本書にあったとおり、生きていくのは大変だと思いました。 絶滅した理由は様々ですが、彼らから学ぶことはたくさんありました。 種の繁栄には環境に適応することが重要ですが、適応した体になっているからこそ環境の変化についていけないというケースがありました。 他にも強力なライバルに敗れる、個性を伸ばしすぎたために自滅など、我々人間のビジネスシーンでも身につまされるものがありました。 では絶滅は悲しいことなのでしょうか。 地球で生きられる生き物の数や資源には限りがあります。 かつて地球の王者だった恐竜が滅びることで、哺乳類や鳥類が進出して来ました。 種族が絶滅することで地球に空席ができ、そこに座った新しい種族が進化していくのです。 つまり絶滅と進化は背中合わせなのです。 本書は生き物が絶滅した理由を哀愁たっぷりに伝えるだけのものではありませんでした。 先に紹介したような絶滅に関する基礎知識や、絶滅は悲しいことばかりではないということもしっかりと書かれていました。 巻末には別冊として絶滅全史という冊子がついています。 地球が生まれてから現在までの種族の繁栄と絶滅の歴史がざっくりと書いてあります。これが本当に分かりやすいです。 全体として平易な文章と楽しいイラストが多く、大人から小さな子どもまで味わえるようになっています。 この夏休みに家族で読んでみるのも面白いかもしれません。 そして絶滅は次の世代の進化を促しますが、人間による絶滅は次の進化した動物を生み出さないという本書の言葉を深く受け止め、人と自然の付き合い方を振り返ってみてはいかがでしょうか。 ![]() わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑 [ 今泉忠明 ] ![]() 続わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑 / 今泉忠明 【本】 続編です。こちらも併せてどうぞ。 紹介記事はこちら。 よかったらクリックお願いします。 ![]() にほんブログ村 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.05.23 08:47:49
コメント(0) | コメントを書く
[本・書籍] カテゴリの最新記事
|