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カテゴリ:マンガ
Dr.キリコ 白い死神のご紹介です。
手塚治虫先生の名作ブラックジャックのスピンオフ作品です。 ブラックジャックの対極にいる存在で、金で安楽死を請け負う医者Drキリコ。 ブラックジャックの中で同じキャラクターが再登場することは少ないのですが、キリコはかなりの再登場率を誇ります。 本作はそのキリコを主人公にした作品です。 ![]() 【中古コミック】Dr.キリコ〜白い死神〜 全巻セット(全5巻セット・完結) sanorin 【原作のテイストを失わない名作】※若干ネタバレありです。 ブラックジャックといえば、神の手を持つ無免許の医者ブラックジャックが様々な人たちの命を救おうとする姿を通して、生きる意味や命について考えさせられる作品です。 一方でキリコは手の施しようのない患者に対して死という救済を与える存在です。 自らの死を望む者が依頼人となる訳ですが、ブラックジャックとはまた違った切り口で命について考えさせられました。 回復の見込みがない苦しみだけでなく、自分が生きていることで家族や大切な人の重荷になってしまう苦しみといったリアルな部分も描いているのが良かったです。 本作の魅力は、原作であるブラックジャックのテイストをしっかりと引き継いでいる所だと思います。 基本的には死によって救いをもたらす話が多いのですが、逆に生かすことで救いとなった話やコミカルな話、キリコも力及ばず苦い思いをする話など、様々な結末の話があります。 こうした色々なパターンの終わり方はブラックジャックにもあったように思います。 安楽死といっても金さえ払えば良いという訳ではなく条件があって 回復の見込みがないこと。 生きているのが苦痛であること。 本人が死を望んでいること。 キリコはこの3条件に合わないものは安楽死を拒否しています。 このポリシーがあるお陰で作風がぶれなかったように思います。 例え自分の身が危険になろうとも頑なにポリシーを貫く一方、依頼人の真剣さに心動かされた時は若干このポリシーを曲げることがあります。 こうした強情とも言える意志の強さと人間臭さが同居するのは、ブラックジャックにも通じる魅力であるように思います。 そして作中にキリコの妹ユリが出てくるのも、細かい所まで配慮が行き届いていると思います。 さらに最後のエピソードは、キリコを主人公にするにあたってこれ以上ないくらいの終わり方であったと思いました。 【ファンには嬉しいおまけ】 本作のおまけエピソードとして「二人の黒い医者」が収録されています。 原作ブラックジャックでキリコが登場した話と同名で、こちらはキリコの視点から描いたカバー作品とも言えるエピソードです。 当然原作とは作画も違えばコマ割りも違う訳ですが、同じ話を違う表現で描いているのはファンとしては一層楽しめました。 個人的にはキリコが蝶の死骸を風にゆだねながら「生き物は自然に生きて自然に死ぬものだ。それを人間だけが、無理やりにでも生きようとする」と言うシーンが再現されているのが良かったです。 医療では命を救い、死を遠ざけることを是としてきました。 尊厳死という言葉を聞くようになったのは近年です。 死によって患者の幸福と尊厳を守る。 キリコの言葉は許されざる独善なのか、時代を先取っているのか? それは我々に突き付けられた課題なのかもしれませんね。 よかったらクリックお願いします。 にほんブログ村 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.08.27 20:00:10
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