カテゴリ:日本ミステリ(は行作家)
「しゃばけ」、「ぬしさまへ」、「ねこのばば」、(感想)「おまけのこ」(感想)に続く、シリーズ第5弾。
今回は久々の長編です。 日本橋の大店の若だんな・一太郎は、摩訶不思議な妖怪に守られながら、今日も元気に(?)寝込んでいました。 その上、頭に怪我まで負ったため、若だんなに大甘の二人の手代、兄・松之助と共に箱根へ湯治に行くことになります。 にぎやかにお見送りを受けて出立した一行、まずは快適なはずの船旅でしたが、しょっぱなからハプニングが起きます。 仁吉と佐助が船上のどこを探してもみつからないのです。 二人の兄やは、片時も若だんなのそばを離れるはずがないのに……。 それだけでは終わらず、次から次に大変なことが起こります。 若だんな達を連れ去ろうとする侍たちに、天狗の襲撃、なぜか若だんなに反発する不思議な少女。 ただでさえ世間知らずで身体が弱い若だんななのに、雲行きは怪しくなるばかり。 どうなることかと、ちょっとハラハラしました。 今回、腹立たしい人たちも登場します。 自分のことに精一杯で、人のことまで思いやることが出来ない人々。 若だんなは、そんな人たちに対しても、優しく暖かいのです。 お金持ちの家に生まれ、何不自由ない暮らしをして、その上みんなに大事にされ、かわいがられている若だんなですが、一人前になりたい、何かの役に立ちたいという強い思いがあります。 このままの自分ではいけないと思っているからこそ、弱い者の気持ちもわかるのでしょうか。 のんびり湯治するはずが、とんでもないことになりましたが、若だんなは、身体は弱くても、心まで弱くはないことがわかりました。 不安につぶされそうな者に、勇気を与えることもできました。 そうそう、競争を勝ち抜いて、連れて来てもらえた3匹の鳴家(やなり)たちも、それなりに活躍します。かわいいです。 それに、松之助お兄ちゃんも、心配症なくらい若だんなには大甘だということも発覚しました。 かなり危険な目にもあったし、とにかく、みんな頑張りすぎるくらい頑張りました。 だから、色んなことが一段落して、今頃はみんなでゆっくり温泉に浸かっていられればいいな、と思います。 うそうそ :畠中恵 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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