イルカみたいに生きてみよう～心の力を抜いて楽しく生きていきませんか

実家へ電話をしたら、母から父も徐々に回復していると聞かされほっとした。
15年も前に前立腺がんになり、ずっと共生してきた。
ところが、今年になってマーカーが上がり出し、きつい薬を処方されて、
それを真面目に飲んだものだから、いろいろな不調が出てきた。

ついには、腸が働かなくなり、大便が出ないということでしばらく入院していた。
かなり体力を消耗したようだ。
いよいよかなと覚悟もしたが、80年以上生きた人間というのは、そんなに軟にできていない。

退院後、久々に検査を受けたようだ。
そしたら、前立腺がんのマーカーはかなり高くなっていたと言う。

そのときに主治医に言われたそうだ。
いい薬があります。これを使えばマーカーは下がります。
ここまではいい。

でもね・・・と話は続く。

副作用で肝臓が悪くなってしまいます。

マーカーが正常値であるに越したことはない。
しかし、ひとつを正常にするために、ほかの臓器がダメージを与えるという治療、
ちょっとおかしいんじゃないかと思う。

さすがに主治医も、その薬を強硬にすすめることはなかった。
父も、「薬は飲みたくない」と言っている。

結局、もう治療法はないですよと言われたようなものだ。
しかし、
それで終わりと考えることはない。
人間には生命力とか運とか、
目に見えない力が働いている。
何が起こるかわからない。

体調はいいのだから、わざわざ薬を飲むことはない。

もう米寿になろうとしている。
人生の総決算の時期だろう。
自分の88年を振り返ったり、やり残したことをやったり、
すぐにあちらの世界へ行かなくても、
ひとつの区切りとして整理をするのはいいことだと思う。

本当によくがんばってきた父親だ。
家族のために必死になって働いた。
石橋を叩き壊して「やっぱり危ないだろ」と引き返すような性格だから、
大きなことはできなかったが、
それでも人を裏切るようなことはしなかったし、生まれつき器用な人だったから、
職人としては大成功したと言っていい。

あちらの世界へも、
慎重な人だからさっさと行くということはしないと思う。

これから、どのようなラストシーンを父は演出していくのか。
見守らせてもらおうと思う。
遠くにいて大した役にも立てないが、
手伝えることがあれば力になりたいと思う。