カテゴリ:甲州ライフ
かなしい出来事は突然襲ってくる。
4月30日。 氣恵が企画した「動物の日」。 我が家の5頭のヤギ、 場所を提供してくれたオギハラさんのところの、 5頭のヤギさんとポニー。 それに、昇仙峡からオサダさんが馬を一頭連れてきた。 保育園にもチラシを配ってもらい、 たくさんの親子連れでにぎわいことは間違いなかった。 一番の目玉企画は、 馬のはじめちゃん(メス6歳)に乗るというエキサイティングな体験だ。 「お馬さんに乗るんだ」という、 子どもたちの声があちこちから聞こえてきた。 ところが、 馬運車に乗ってやってきたはじめちゃん。 乗馬の準備をしようと馬場に向かう途中、 手綱が足に絡まってパニックになってしまう。 右に左に飛び跳ねて、 ついには転んでしまった。 そして、 足を痛めて起き上がれなくなってしまった。 イベントは、 ヤギさんたちが子どもたちの相手をしてくれて、 とても盛り上がった。 横になっているはじめちゃんを気にして、 「だいじょうぶ?」 と近づき、横にしゃがんでなでてくれる子もいた。 何とか起き上がらせようと、 手綱を引っ張ったり、 元大工さんのリードで、 単管パイプでやぐらを組み立て、 滑車を使って立たそうともした。 しかし、 後ろ足にうまく力が入らないのか、 どうしても起き上がれない。 重機を使ってもダメだった。 結局、 横にしたまま、獣医さんを呼んだ。 骨折はないようだったが、 どうも右後ろ足の付け根の十字靱帯が切れているようだとの診断。 「手術ですか?」 「いや、ちょっと無理だな」 無理だなというのは、暗に安楽死しかないという見方だ。 馬は足を怪我すると、 体重を支えられず、結局、ほかの病気を併発して命を落とす。 長時間苦しい思いをさせるのではなく、 薬で楽にしてあげるのが当然の処置だ。 飼い主のオサダさんとしては悩むところだ。 彼も、はじめちゃんが倒れたときに、右足をはさまれて歩けない状態だった。 「何とか馬房まで連れて行ってあげたい」 それが彼の希望だった。 横たわるはじめちゃんの目はキラキラしていた。 苦痛があるとは思えないすんだ目だった。 飼い主さんが決めたことには従うという決意が感じられた。 重機で引きずるように馬運車に乗せ、 はじめちゃんはお家へ戻った。 オサダさんは病院へ向かった。 明日は、 オサダさんもつらい決断をしないといけないだろう。 突然のかなしみ。 声も出ない。 なぜ、このタイミングではじめちゃんは命にかかわる大けがをしないといけなかったのだろうか? 「すべてのことには意味がある」 ぼくが心に刻んでいることだ。 かなしい出来事ほど強い意味をもつような気もする。 翌朝、氣恵から連絡があった。 「はじめちゃん、朝の4時ごろに亡くなった」 安楽死ではなかった。 自分が選んで旅立って行った。 「オサダさんにつらい決断をさせたくなかったんじゃない」 弘美が言う。 そうだと思う。 動物たちは、人間以上に生と死のタイミングを感じ取れる。 生があれば死がある。 当たり前のことだけれども、 生と死のはざまには、 強烈なエネルギーがあって、 まわりの人たちの心を大きく揺さぶる。 揺さぶられた心から、 ぼくたちはさまざまな気づきをもらえる。 それが人の成長へとつながっていく。 はじめちゃん、 君はよくがんばってくれた。 はじめちゃんにあったみんなが、 君のこと大好きになった。 ありがとう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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