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萬華鏡-まんげきょう-

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2007年07月31日
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また長らく更新が空きました…( ̄▽ ̄;)
このシリーズ日記もいい加減完結させます(笑)





やがて赤薔薇一族の理智門が「正義」と言う名目の下、北で兵をあげ、久秀も謀反を企てたと悪三郎のもとへ知らせが入ります。


右大臣(今井朋彦)は現在、悪三郎の家臣ですが、妻の連れ子が理智門。
つまり義理の息子。

近臣さえ誰も信じられなくなった悪三郎は激情。
暴言を吐き散らし、もはや家臣の気持ちは離れていくばかりなんですよね、きっと。


今井さんの右大臣が巧く家臣らの気持ちを代表するような演技をしていたのが印象的。


進軍する悪三郎の元に姿を表す母、皇太后。
白石さんの4役目ですが、左腕は悪三郎と同じように醜く湾曲していました。

彼女の人生も波瀾万丈ですね。
白薔薇と赤薔薇の戦争によって夫は殺されました。息子の一郎は玉座に座る栄華を迎えたものの病に倒れ、二番目の善二郎は牢獄にて無惨に殺され、残った悪三郎は、冷酷で世にもおぞましい鬼となってしまった…。いっそ、腹の中にあるうちに絞め殺せたなら…




プレビュー公演や2回目の観劇では私自身がこの母・皇太后の真意をしっかり感じることができなかったのが正直なところ。

戯曲のイメージが強かったんでしょうか。「リチャード三世」では、いとも簡単に母と息子は現世での別れをお互いの憎まれ口で締め括るイメージが強くて、


「母として悪三郎を愛してあげなかったから、こうなったんでは?」と思う印象が強かったんです。


※新訳リチャード三世
公爵夫人「残虐に生きたおまえは、残虐な最期を迎えろ、生き恥をさらしおって、死に恥もさらせ」
(退場)



となっているし、文面で読む限りでは親子の情もうまく汲み取れなくて( ̄▽ ̄;)





三神勲氏の翻訳本「リチャード三世」では
リチャードが母に向けて言う台詞

「断食のお仕置きをうけたとき、母上はわたしを外して、おひとりで朝食を召し上がったことがある。だが、このわたしがそれほどにお目障りなら、このまま行かせていただこう、ご不快にさせては申し訳ない」


とあります。

なんだかちょっと切ないです。

現代にある「子が母を、母が子を殺す事件」の印象もあるせいか、徹底的にお互いの溝は断絶していて、愛の欠片だってないように感じてしまったんですね。

私の読み込む力が足らなかったのだと思うんですが( ̄▽ ̄;)


幼心に母から疎まれている事実を「朝食のこと」になぞらえて、ずっと記憶しているのは母に対する慕情の証なのかもなぁ。


国盗人の舞台では、この複雑な親子愛を感じることができました。

私が二度、三度感極まったシーンで、過去の日記にもクドクド書いてます。



母は悪三郎を振り返らず去っていく。

「絶望して死ね」

ショッキングな台詞であまりに残虐なのに、絞り上げるように悪三郎に言い聞かせる白石さんの演技に呼吸を忘れるほど。

悪三郎にとって安息の場所とは「死」であり、罪はその「死」をもって償え。
母としての愛を感じるようになったのは本公演2回目の鑑賞からでした。


「もう二度と会うことはない」
白石さんの物言わぬ後ろ姿に母としての強い愛情と決意が…(T-T)



クライマックス。

理智門(今井朋彦)と言う青年が赤薔薇軍を導き、高らかな声で出陣の号令をかけますが、悪三郎の陣とシンクロしながら戦いの様相を表現。

悪と善の対比を巧く魅せる演出だと、他の方たちの評判をチラホラ聞いた場面です。


死した者たちの呪いは能面を用いた演出で、悪三郎の夢に現れ、苦しめます。


今まで俺は悪に徹するのだと、迷いもなくひたすら走り続けて来た悪三郎は
「己が振り返りもしなかった善の心」との葛藤が首をもたげはじめるのです。


何より、良心の呵責が我が身を苦しめはじめたとき、悪三郎はえもいわれぬ恐怖に襲われていく…。

悪三郎には良心の呵責が一番の敵だったのかな。


…あくまで観客として観ている私のイメージですが…




もうこのあたりは苦しくて、悪三郎を見ているのが辛くなるほどでした。

戦場では王の身でありながら剣を振るって闘いますが、理智門に破れて死んでいきます。

「馬だ、馬だ!馬をよこせば国はくれてやる」


リチャード三世の有名な台詞。



勝鬨をあげる理智門はハムレットのフォーティンブラスさながらの清らかさ。
今井さん…現在放送中の風林火山、へっぽこ信濃守護、小笠原殿とは明らかに違い(笑)かっこよかった(^ー^)


息絶えた悪三郎に当たるスポットライトがその表情を照らしていましたが、何だか安らかな美しい顔でした。




暗転。



白いワンピースを着た女性が手にした悪三郎の面を元の場所に置き、その場から立ち去ります。


「兵どもが…夢の跡」



この国盗人は夢幻。


能のような余韻を残し、終幕を迎えました。





[【6】まで来てしまい、いい加減長ったらしいので(笑)後半は急ぎ足…]

全て書ききれずいくつかのシーンはカットしました( ̄▽ ̄;)


あらゆるシーンを回想したくて、物語をつらつら書いてきましたが記憶違いは御許しを(苦笑)



凝り性な自分としてはかなり名残惜しくて、ウンタラ語りつつ、国盗人東京公演後も随分と堪能しました(。-∀-)

きっと再演はあるでしょうね。すでに河合先生はその気満々のようなお話ぶりでしたしね(^ー^)

スタンダードなリチャード三世のイメージが強かったのと、ポスターは陰惨な空気を感じさせるおどろおどろしいものだったので、初めて悪三郎に出逢ったときは見事に度肝を抜かれましたゎ、参った(笑)


プレビュー公演一回こっきりしか観なかったら、こんなにハマらなかったかもしれない(笑)

回を重ねる毎に役者のテンションも上がり精度が高まったように見えたし、舞台進行もスムーズで、かなり物語の中に入り込めたもの。

ただ、ひとつだけ。
あの国盗人と白石さんならば、わざわざ四役に拘らなくてもいいかなぁと思ったり。
多分、政子と皇太后の二役だけで十分存在感があるような。
戯曲だけだとあんまり魅力がないんですが、国盗人の中で白石さんが演じた女たちはかなりインパクトありましたもん。



それから、私としては「政子VS王妃」女の激しいバトルも観たかったなぁ(。-∀-)


王妃に夏木マリさんなんて、いいなぁ。
ものすごいバトルになりそう(笑)




国盗人・悪三郎祭り。
書きたいことはほぼ書いた、かな( ̄ー ̄)


楽しい夏祭りでありました(≧m≦)←まだ梅雨明けてないんじゃ…








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最終更新日  2007年07月31日 17時36分36秒
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