市場回り(24)
葛西市場は江東青果から東京千住青果に会社が変わったが、tetywestの産地を担当している職員はF原部長、H間課長とも以前と同じメンバーだ。事務所に行くと、社長室に案内される。支社長のK田さんとお会いするのは3回目になる。最初は江東青果が合併する前の2001年2月だったので、正確には2回目だった。東京千住青果は10月1日に東京丸生青果と合併した。会社名は変わらないが頂いた名刺に印刷されている会社のマークは「○の中に千」から「○の中に生」に変わっている。「卸売会社は産地の皆さんの払ってくれる手数料で成り立っているのですから、産地と一心同体なんです」というのは支社長の持論なのだろう。今回もその話を聞かされた。委託手数料の自由化が行われれば、今より上げることはまず不可能だろう。小売が量販店主体に大型化し、バイイングパワーが強大になるに従って市場の価格形成能力が低下しているというのは誰もが認めざるを得ない。そのために愛媛県青果連では市場を通さないスーパーとの直接取引のウエイトをかなり増やしている。その方が中間マージンが少なくなる分、小売にとっても産地にとっても有利になるからだ。その上、次第に増加している輸入農産物や加工食品はほとんど市場を経由せずに取引が行われているのだ。市場の将来に対する見通しも決して楽観的なものではない。産地が崩壊するのは個人個人の判断で辞めていくだけなので他への影響は少ないが、卸売会社が倒産すればそこに働く従業員や、関連した輸送会社などその影響は広範囲に及ぶだろう。今は経費削減と人件費の切り詰めによって何とか対応しているが、もう後2・3年不景気が続けば倒産する卸売会社が続出することだろう。せっかく産地から来ていただいたのに暗い話ばかりでは申し訳ないと、案内された昼食は豪華なものだった。F原部長の話では「あまりに寒かったので鍋にしました」とのことだったが、それ以外に刺身の盛り合わせ、天ぷら、クジラの竜田揚げ、ウナギの蒲焼まで出て、酒を飲まないtetywestでもお腹が一杯になった。おまけに食事が済むと支社長の専用車で羽田まで送ってもらった。販売課長と営農課長はタクシーだったのだが・・・羽田までの1時間足らずの間、tetywestはほとんど眠っていた。ANAのカウンターで搭乗手続きを済ませてセキュリティゲートをくぐるときに、副部会長は何度やってもブザーが鳴った。そのたびに金属製のものをはずしていくのだが、ズボンのベルトまではずしたのにまだ鳴りつづけている。とうとう係員が手に持った金属探知機でズボンの裾から背広の内側、股間までくまなく検査してようやく通過させてくれた。tetywestもショルダーバッグに入れていたモバイルギアに問題があったようで、「パソコンか何か入ってますか。もしそうなら出していただけますか」と言われ、もう一度バッグを機械に通し直された。こんなことは初めての経験だった。テロが噂されているときだったので警戒も普段より厳重だったのだろう。搭乗ゲートへ向かう途中で、突然副部会長が、「そうや。今朝、寒かったらいかんと思うて背中にホッカイロを貼ったんを忘れとった」とつぶやいた。それで先ほどのセキュリティ・チェックが通らなかった理由が判明した。(※皆さんも冬場に飛行機に乗る時はくれぐれもホッカイロを背中に貼らないようにしてくださいね・・・笑)夕焼けに染まった空を背景に、半分雪を被った富士山が雲の上に浮かび上がっている美しさに感動しながら高松空港に到着したとき、どんよりと雲に覆われた空は今にも雨が降り出しそうだった。まるで、今年のミカンの市況を予感させるかのように・・・・※これで、「市場回り」は全部終わりです。実際に書き終えたのは1月3日なのですが、去年の年末に日記をサボっていましたのでそっちへアップします。長い間お付き合いくださった皆さん、どうもありがとうございました。