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カテゴリ:休日の過ごし方
この土日、母校のキャンパスで精神科医療関係の学会があり、患者さんにも精神科病名の方が増えてきていたために参加した。
30数年ぶりのキャンパスはすっかり変わってしまい今時の若者の姿が似合うものになっていた。 コメディカルだと二日間で4000円。ランチョンセミナーに参加すると昼食もお茶もついて、ドリンクコーナーでの飲み物も自由。専門的な話も多く、すごくお得な学会だった。 有病率だと精神科疾患は日本でも大一位。鬱病はドンドン多くなっており、認知症も増加。アルコールや覚せい剤などの薬物依存、ギャンブル依存、性依存などはどんどん増えており、さらに高齢化が加わり社会全体で対応しなければ行き場が無い方々がどんどん増えていくことになってしまうらしい。 精神科医療に40年近く携わった医師が、ご自分の医療を振り返りはたして自分は何をしてきたのだろうとおっしゃっていた。さまざまな依存による精神疾患も鬱病の増加も現代社会が生み出したものであり、アベノミクスのようなピラミッドの頂点から上層にいるもの以外は生活苦に陥るような世の中では、これからもどんどん精神疾患は増えて行き、行政は殆ど無策なのでと今の日本社会のありようについて嘆いておられた。 別の医師も、世直しする力は無いので、せめて臨床で患者のためになる治療をどうするか悩みながら日々過ごしているとも。 参加され方の中には、自分に合った見やすい患者だけを診て、治癒率が何%とか平気で出している「貴族医師」がいるから困るような意見も聞かれた。 長く務めた総合病院の精神科を退職してクリニックを開設して訪問診療や相談業務、救急医療、ディケアなど総合的な地域の精神科医療を展開している医師の話が多かった。病院の中だけで働いていてもそれだけでは精神科医療を受ける患者の生活は改善しないという臨床経験から新たな場を切り開いている医師たちの話は頼もしく、このような医師がいるからこそ地域の生活は成り立っているのだと思う。 80年代から自助自立、自己責任といった言葉が医療の世界にも広がってきて、病になるのも貧困に陥るのも自己責任といったある意味誤った理解が、常識とも思えるほど認知されてきている。 患者も医療者も、お互いの責任を問いすぎて、何とも殺伐とした感じだ。 昨今話題になっている新型インフルエンザだって、外国との往来が盛んでなければ、交通網の整備が充実していなければこんなに問題にはならないはずだし、アルコール飲料の流通機構が発展していなければアルコール依存だってこんなにも増えないはずだし。人間の病気は皆社会生活との密接な関連があるのに、その社会の問題は枠外において個人の能力や性格の問題に収斂し過ぎてはいないだろうか。 一人ひとりの能力も社会の中で育つものであって、人間は一人で成長なんかできない。 お互いに攻めすぎると息苦しいし、それを廻りで見ているものもどんどん委縮していくし、自由でのびのびとして一人ひとりが尊重されるような空気がほしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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