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2006年09月09日
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カテゴリ:日中関係
国連事務総長選については、韓国外相の当選はないということが分かったのでブログとしては取り上げませんが、少しずつアップデートはしています。喜んだ人も、がっかりした人もこちらをご覧ください。

事務総長選挙についてのブログを見て回っていたのですが、あるブログ・エントリーの中に、日本が常任理事国入りを目指していたとき中国は何をしていたのか、その裏話が紹介されている箇所がありました。中国がどう反対キャンペーンをやったのか、その具体的手法が書かれていて面白いので、ここにも書いておきます。

今回、事務総長選に立候補しているヨルダンのゼイド・アル・フセイン王子を中国が承認するかどうかという話の中で紹介されていた「中国から見た世界」というコラム(ニューヨーク・タイムズ)からの抜粋です。中国の外交官もわざわざ本まで配布して、お忙しいことです。

(※ 読みにくいので改行を加えました。)





2005年4月、日本、ドイツ、インド、ブラジルが安全保障理事国への立候補を正式決定するとすぐに、中国で反日デモが巻き起こった。日本大使館や企業が破壊され、日本人はデモの性質の悪さ、中国政府がそれを許容あるいは許可している態度にショックを受けた。

その間、ワン(中国国連大使)と部下たちは、(安保理拡大案に)まだ賛否を決めかねている国の大使たちに働きかけていた。ヨルダンは安保理拡大案の共同提出者に名を連ねようか思案していたが、ゼイド・アル・フセイン王子(ヨルダンの国連常駐代表)によると、ある中国の外交官から安保理の一室で会いたいとの連絡が入ったという。

「彼はひどく興奮してた。そしてこう言ってきた。『重要な真実を認めることもできないくせに、自分のよい行いだけを自慢する国がどうして偉大な国になれるのか?』」

その後、この外交官はゼイド王子に、『レイプ・オブ・ナンキン:写真にみる否定できない歴史』と題された一冊の本を送っている。ヨルダン政府は決議には賛同したものの、共同提出者になることは断った。(※ この2文はそれぞれ事実でしょうけれども、必ずしも因果関係とは限らないので、その点は注意しておく必要があります。)



アフリカ諸国に対しては、中国は安保理拡大案を否決するように説得してまわったがそれには失敗した。しかし8月上旬、(日本を含む)4カ国とともに常任理事国入りを目指す2カ国を決めるために、リビアで開かれたアフリカ連合首脳会議の席で、中国はうまく最後の一撃をくらわせている。

この会議の数週間前、中国はジンバブエのロバート・ムガベ(近年暴君と化しつつある風変わりな権力者であり、古くからの中国の取引相手)を国賓として豪華にもてなしていた。帰国後、ムガベは、アフリカ諸国は拒否権付の常任理事国になるべきだと言い出す。もちろん、中国を含む常任理事国が拒否権の価値が下がるようなことに同意するわけもなく、この種の主張が通るはずがない。

にもかかわらずトリポリ(リビアの首都)では、たくさんの中国人外交官たちが、アフリカ人のプライドを刺激したり、世界の平等を訴えたりしながらロビー活動を行った。首脳会議の席では、拒否権を要求することが決まり、この時、安保理拡大案は死に体と化したのである。そのなきがらに中国の指紋は残されていなかった。

In April 2005, soon after Japan, Germany, India and Brazil formalized their candidacy for an expanded Security Council, anti-Japanese demonstrations sprang up in China. Japanese missions and businesses were trashed. The Japanese were shocked both by the virulence of the demonstrations and by the obvious signs of high-level toleration, if not approval. Meanwhile, Wang and several of his lieutenants worked on the ambassadors of wavering countries. Prince Zeid Ra’ad Zeid al-Hussein, the permanent representative of Jordan, which was considering becoming a co-sponsor of the resolution expanding the council’s permanent membership, says that he was called to a caucus room at the Security Council to meet with a Chinese diplomat. “The guy was apoplectic,” Prince Zeid recalls. “He said, ‘How can a great power refuse to accept essential, fundamental truths and yet take pride in the good works it does across the globe?’ ” He later sent Prince Zeid a copy of a book titled “The Rape of Nanking: An Undeniable History in Photographs.” Jordan continued to support the resolution but declined to become a sponsor.

China failed to persuade African countries to reject Security Council expansion as such, yet it still delivered the coup de gra^ce at a meeting of the African Union in Libya in early August, where heads of state met to choose two nations that would join the other four in seeking permanent membership. Several weeks earlier, China was the host of a lavish state visit for Robert Mugabe, the increasingly tyrannical and eccentric Zimbabwean strongman and a longtime Chinese client. Soon after returning, Mugabe declared that African countries must insist not only on permanent representation in the Security Council but also on the veto. This demand was obviously self-defeating, since neither China nor the four other permanent members would agree to dilute the value of their veto. Nevertheless, vast shoals of Chinese diplomats roamed the halls in Tripoli, appealing to African pride, to the imperative of global parity and so on. The demand for an African veto carried the day, and with that, Security Council expansion died. The corpse bore no sign of Chinese fingerprints.

前文はこちらへ。(登録、ログインが必要です。)
James Traub(国連問題に詳しい), Columnist, New York Times




追記

このコラムの中で特に注目したい点は、中国が一度アフリカ諸国を説得しようとしてそれに失敗したという記述です。

もしこれが事実であれば、少なくとも現時点では、中国はアフリカ諸国に強い影響力を持っているわけではないと解釈できるのではないでしょうか。

経済技術協力、中国市場の開放、アフリカへの投資、鉱物資源の輸入、武器輸出、独裁政権への支持など、あらゆる利益を提示しながら説得したはずです。もっと直接的に金品をちらつかせたかも知れません。それでも説得に失敗し、戦術を変えるしかなかった。そしてナショナリズムの高揚に最後の望みをかけた。外交官の大量動員はあせり表れだった。

とすれば、まだまだ日本の外交当局にも巻き返しのチャンスは十分にあるはずです。中国との競争で外交の目標が明確化され活性化されるのなら、ぜひぜひ競争していただきたいと思います。





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最終更新日  2006年09月11日 09時07分06秒
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