嚥下障害があり、水分の薄めとろみを外す目安について、私が経験的に考えていることをまとめました。
<今回想定した患者>
- 脳血管障害
- JCSⅠ桁、簡単な会話可能
- 今回の発症前は嚥下障害なし
- 発症後、1ヶ月以上経過(ある程度自然回復しても、嚥下障害が残存している)
- お茶を細いストローから摂取し、10~20口に1回程度、軽度のむせがある。
- 固形物の嚥下は問題なし。薄めのとろみ茶を摂取。
- ティースプーンで一口ずつ飲むなどは現実的に困難。
<私が経験的に実施している「薄めとろみを外す目安」>
- 本人の強い希望がある(飲み方の注意喚起を受け入れてもらいやすい)。
- 咳嗽力がある。むせた時に、2~3回の咳嗽で喀出できる(むせが続かない)。
- 唾液によるむせがない。
- RSST 2回以上、MWST 4点以上(随意的な嚥下反射が不十分でも、唾液でのむせがなければ、ある程度の量を取り込めば、嚥下反射が起きるという考え)。
- 痰の増加がない。
- 細いストローでの摂取の受け入れが可能、または一口量の調整が可能。
- 一旦誤嚥性肺炎になっても回復が見込める体力がある(平行棒以上の歩行訓練を実施、リハ・食事・入浴以外にも車椅子離床しているなど)。
- 現在、誤嚥性肺炎以外の要因でも発熱していない(尿路感染での発熱中であれば、誤嚥性肺炎との原因の切り分けができないため)。
<その他>
- CRPが「基準値以下(0.3以下)」。少なくとも「上昇傾向でなく、1.0以下(これはあくまで目安)」ただし、回復期では頻回な血液検査をしていないことが多い。最終の血液検査で0.9となっていても、実際は現在0.4かもしれない。また、尿路感染の改善後や、関節の炎症などでも上がっていることもあるため、CRPを誤嚥だけの目安にするのは難しい。
- 咳嗽力の目安 最大呼気流量が、「240ℓ/分 以上:自己喀痰が可能」「100ℓ/分 以上:気管吸引が不要」「100ℓ/分 未満:気管吸引が必要」
- VF検査では、10~20回に1回のむせは出現しにくい。