賢治の学校の展示をみな見終わったので一旦屋外へと出て、傘をさして賢治の教室へと移動。
ここは全7棟のログハウスで、賢治童話に登場する「植物」「動物」「星」「鳥」「石」について、学ぶことができる。
一つ見終わって次の扉を開けて中に入るたびに、先ほどのテーマとはまた違ったものが楽しい空間で遊んでいた。
このお教室の中で私が一番心を惹かれたのが「星」のお教室だった。賢治の作品「銀河鉄道の夜」などで幻想的な美しさを演出する「星」の世界。これを大きく見たい方はこちらです。
7つあるうちの最後のログハウスは「森の店っこや」というギフトショップになっていて、ここで少ししおりを買う。
賢治のヒトガタをしたのは絵はがきで、120円切手を貼れば郵送もできる。
次は賢治の記念館だ。
これがまたここからはちょっと離れていて、急な上り坂を歩かねばならない。15分くらいかかるそうだ。
途中で雨に加えて風が激しくなってきて私の旅行用の500円の軽い傘が何度裏返ったことか...!
『雨ニモ負ケズ』『傘ノウラガヘルニモ負ケズ』『息ノクルシクナルニモ負ケズ』
呼吸が苦しくなってきて、何故バス亭を山の上まで延長しないのか、不思議に思った。
何度か止まりながらもヤットコサ頂上にたどり着いた。
もう私の生涯でこの坂を登ることは二度となしにしたい。晴れていればまた違ったのか?
賢治の作品は、残念ながら昭和20年8月10日の花巻の大空襲で焼けてしまったものも多く、ここでは、賢治の限られた作品や資料を手がかりに、視聴覚的に賢治の全体像に近づこうと試みている。
スライドも含めてじっくりとじっくりと見てゆくうちに、先ほどの童話村と合わせて賢治の感性が痛いほど胸に染みてきた。
あしたは盛岡市内を散歩する予定なので、その時に改めて「もりおか啄木・賢治青春館」も見学してみよう。
さぁ!お楽しみのランチの予定はレストラン『山猫軒』にて。
こちらは皆様ご存知の賢治の童話「注文の多い料理店」にちなんだレストラン。記念館に隣接して立っていた。
傘をさして近づいていく。
「どなたもどうかお入りください 決して遠慮はありません」なんてものが、霧の中にボーーっと見えてきた。
「ことに肥ったお方や若いお方は大歓迎いたします。」だって!?
ガーーーン!!そりゃ、演出だとはわかっていますよ。
わかってはいるけど、レストランのドアを開けるのがものすごく怖くなってきた。
ドアを開けた途端に大きなどら猫がナイフとフォークを持って待ち構えているような気がして...。こんな言葉と共に...!
「あやや?若くはないけどあんたみたいな肥えた人は大歓迎だ!さぁさ、胸のパワーストーンとやらのネックレスもここでは不要さ。そんなものはさっさとはずして、ほこりをはたいて。きれいにシャワーを浴びてきておくれ。そのあとバターを全身に塗りこむからね、そのつもりで」
ドッキン、ドッキン、ドッキン...............!
恐る恐るドアを開けると、中は普通のレストランだった!
メニューを見ると、「山猫がゆ」630円、「イーハトーブ定食」1450円、などなどたくさんおいしそうなものがある。
猫ではない、普通の女の人がオーダーを取りに来た。
(でも、私が経営者だったら、ここまできたら猫の着ぐるみくらいは着るかも)
お腹が減っていればイーハトーブ定食がなかなかの内容充実ぶりだった。
私は自分が食べられてしまうのでは?という緊張感から(?)あまり食欲はなかったので、すいとんセットというのを頼んだ。
店内のお客は私のほかに老夫婦一組。
フト壁を見ると、まだまだこんな注意書きが!
あぁ、びっくりするな、もう...。
しばらくすると、注文した「すいとんセット」が運ばれてきた。山盛りのサラダと大きな焼きむすびにはお味噌が塗られていて香ばしく、すいとんの温かくおいしいお汁が冷えた体にありがたかった。
でも、これって「すいとん」っていうけれど、平べったい形状といい、岩手名物の「ひっつみ汁」ではないのかなぁ。
売店があったので、キーホルダーやポストカードなどの買い物をした。
下の写真の山猫軒のお菓子は中にオレンジの輪切りがトッピングしてあるマドレーヌ型ケーキが5個入っていた。
ここの売店の方とお話してわかったこと。それは賢治は猫をこよなく愛したが、どうやら犬は苦手だったらしい。
これを聞いてへーー!と意外だった。こんな動物好きな賢治が、犬にがて?
小さい頃に犬に追いかけられて、トラウマになったそうなのだ。
続きます
山猫軒のお菓子
「注文の多い料理店」