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カテゴリ:竹亭の日常。
イスラエルと、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの戦闘がますますエスカレートしていますね。
両国で大勢の市民が、巻き添えをくって殺されたり傷ついたりしています。 レバノンで暮らすタイ人15人も、隣国のリビアに緊急避難しました。 イスラエルもレバノンも、日本で暮らしていた時は正直どこにあるのかさえよくわからない国でしたが、カオサンには兵役を終えたイスラエルの男女がたくさん旅行にやってきて竹亭の常連さんも多いから、今は他人事とは思えません。 なかでも気にかかるのが、最近は見かけないけど以前によく来てくれたイスラエル人男性ダンさんです。 イスラエル人は、良くも悪くもあくの強いわがままな人が多いのですが、ダンさんは普通のイスラエル人らしくありませんでした。 慈愛を感じさせる優しい目をした40台くらいのおじさんで、でっぷりと太った大きな身体をゆするように竹亭にやってきては大好きなサーモンの刺身を食べていました。 大阪で商売をやっているらしく日本語も少しわかるのですが、ビッグパパのような暖かい包容力を感じさせる人で大好きなお客さんの一人でした。 数年前、やはりイスラエルとレバノンの間の対立が深まり一瞬即発で戦争が始まりそうだった時、ダンさんは毎晩竹亭にやってきてはテレビのBBCニュースを食い入るように見つめていました。 彼は今でこそ商人ですが、もともとは陸軍の上級士官で今も予備役として登録されていると後で彼の友人のイスラエル人から聞いたのですが、ある夜ダンさんが悲しそうな顔をして私に話しかけてきたのです。 「僕は今、竹亭で御飯を食べています。でも、戦争が始まったら行かなければならない。もう二度と竹亭には来れないかもしれない。」 その言葉を聞いて、私は返す言葉を失いました。 タイや日本で普通に暮らしていたら生命の危険を感じることは滅多にないけど、彼らはいつミサイルや銃弾が飛んでくるのかわからないし、バスや市場、レストランでいつ自爆テロに巻き込まれるかもしれないという日常の中で暮らしているのです。 事故でもなく自殺でもなく、自らの意思とは関係なく突然殺されるかもしれない世界。 今頃、ダンさんはどうしているのだろう。 戦場と化した街のなかで、銃を握りしめているのでしょうか。 あの人はいい人だから、無事だといいけど。 一日も早くこの戦争が、一人でも少ない犠牲者で停戦することを祈ります。 ”もしもあなたが、空爆や襲撃や地雷による殺戮や、武装集団のレイプや拉致におびえていなければ、そうではない20人より恵まれています。” 「世界がもし100人の村だったら」 池田香代子 再話 C.ダグラス・ラミス対訳 マガジンハウス刊 明日は、今日よりもっといい日になりますように。 もし、この日記を気に入っていただけたら、ぜひクリックをお願いします。 人気ブログ満載のランキング集にジャンプします。 あなたのブログワールドが広がります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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