6月4日から、八幡市民オケはいよいよ次回10月25日の演奏会に向けて練習開始です。
まずはお約束の初見大会。ま、初見と言いながらほぼ全員出席(弦は10型相当、管はほぼ全員出席)で、管メンバーは結構さらってきてらっしゃるし、弦も見てきている方、初見に強い方がいらっしゃるので、素手で(文字通りの)初見で座ると痛い目に遭います。(特に今はバスの人手が少なく、いきおい前の方で弾くことになりますし・・)
というわけで、一番ややこしいラヴェルのValses Nobles et Sentimentales (高雅で感傷的なワルツ)についてです。
何がややこしいかといいますと、
・ハーモニクス等の特殊奏法
・複雑なdivisi(パート内をさらに分割して別の音を弾く)
・楽譜の指示が基本フランス語(これが一番苦手・・)
というあたりになります。
そこで、演奏の入り口で必要な
・ハーモニクスの記譜音と実音の対比(楽譜上は、軽く触る位置を書いているので、楽譜上の音と、実際出る音が異なる)
・ミュート(弱音器の出し入れ)
に絞ってまとめておくことにしました。
■ハーモニクスの音と実音
この曲の記譜法では、白抜き四角音符は「その位置を軽く触って自然ハーモニクスを出す」ですが、弦は複数本有り、同じ音でも弦を違えて弾ける可能性もあるわけですが、実際に自然倍音(自然ハーモニクス)を出せる音の「ツボ」は決まっていますので、触る弦も必然的に決まってきます。以下にコントラバスの各弦における、ローポジションでの自然ハーモニクスの記譜と実音を書きました。通常の全音符が実際になる音です(コントラバスなので、実際はオクターブ下の音が出ます)。
各小節の「on*」は、各弦で、と言うことです。(on Aは、A線で、の意味)
これでわかるように通常のポジションと異なり、ポジションが低くなるほど高い音が鳴ります。
#そして高い実音を出す位置の方が難しくなります。少しのずれや弦のつかみそこねで、違う倍音が鳴る可能性がありますので
実際にはG線で言うAis/Hあたりを押さえるハーモニクスになると、押さえて音を出す位置とハーモニクスのでるツボの位置がほんの少しずれてきます。これは実際に体感してみてください。要はハイポジションでのハーモニクスを上下ひっくり返して出しているだけです。
このうち、弦が異なって同じ音が出る位置は、チューニングの際に使う音ですので、バス弾きにはお馴染みですね。
弦の自然倍音列を使っての技法ですので、全弦楽器とも原理は同じです。そのまま音を移動させれば、他の弦楽器の弦にも当てはまります。
■弱音器の出し入れ
手元のKalmusの譜面(パート譜)は、実はこの出し入れでミスプリントがあり、しばらく悩んでしまっていました。今のところ見つけているパート譜のミスや、奏法確認も含め、書いておきます。冒頭ローマ数字は曲のナンバー(この曲は全8曲に分かれていて、そのうちIII.~V曲は続けて演奏(各曲末のEnchaînez)する)に対応しています。
- II.(Assez Lent) 最初(練習番号11)から弱音器をつけて(パート譜記載もれ)
- II. 練習番号16からsul tasto (指板の上で弾く) 練習番号17の前の小節後半で通常弾く位置に戻す(jeu ord.)
- III.(Modéré) 最初から弱音器をはずして (Sans sourdine)
- III.練習番号24から弱音器をつけて (Mettez la Sourdine)
- IV. 最後(2番括弧)弱音器をはずして (Otez les Sourdines)
(念のため、ページをめくった先のV.冒頭に Sans sourdineとしてミュート無し確認) - V.(Presque lent.) 最後から2小節前、2部に分かれた上パート(arco準備)のみ、弱音器をつける (Sourdine)
- V. 最後の小節、2部に分かれた上パートのみ弱音器をはずす(Odez les sourd.)
(念のため、VI.冒頭に Sans sourdineとしてミュート無し確認) - VI. (Assez vif.) 練習番号41の前2小節、div.の下パートはpizz.(パート譜記載もれ)
- VI. 練習番号41、div.の下パートはarco.(パート譜記載もれ)
- VII. (Moins vif.) 練習番号53の3小節目 div.の所から sul tastoで(上下とも)
- VII. 練習番号56の4小節目から通常奏法へ( sul tasto解除)
- VIII. Epilogue (Lent.) 最初から弱音器をつけて (Sourdine) (最後までつけたまま)
また発見ありましたら追記します。