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カテゴリ:滋賀医科大学管弦楽団
2019年6月8日、滋賀医大オケ記念の70回定期演奏会は、学生オケらしい選曲と高いレベルでの演奏、そして当日の熱演と多くのお客様のご来場で、記念の演奏会にふさわしいものとなりました。
《滋賀医科大学管弦楽団 第70回定期演奏会》日時:2019年6月8日(土)開場17時15分 開演18時00分 曲目: ワーグナー 楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕への前奏曲 リスト 交響詩「レ・プレリュード」 チャイコフスキー 交響曲第5番 指揮: 岩井 一也(音楽監督) 入場料: 無料 ![]() 演奏曲目別の詳細内容は、次のとおりです。 ・ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲 (16回目) 4Pult中3Pult-Out 独弓、4弦、 extender: C ・リスト:交響詩「前奏曲」 (2回目) 3.5Pult中3Pult-Out 独弓、4弦、 extender: 未使用 ・チャイコフスキー:交響曲第5番 (11回目、全曲演奏9回目) 4Pult中3Pult-Out 独弓、4弦、 extender: 未使用 (アンコール) ・エルガー:「エニグマ変奏曲」から第9変奏「ニムロッド」(3回目) 4Pult中3Pult-Out 仏弓、4弦、extender: C 演奏会場は、いつもの「栗東芸術文化会館さきら大ホール」。 梅雨入り間近でもあり、前日は雨、当日もややぐずついた空模様になりましたが、幸い582名のお客様にお越しいただき、熱気溢れる客席となりました。 5月中旬から6月中旬はアマチュアオケの春公演シーズン真っ盛りで、各団体の公演が重なることは珍しくありません。今回も奈良女子大オケの春コンサートと重なったようですが、滋賀医大オケは多くは土曜公演ということもあり、日曜中心の社会人オケとはうまくずらした日程となっています。曜日の選定は、お客様の入りだけでなく演奏をサポートするエキストラの手配にも結構影響大きい(トップシーズンは、奏者の取り合いになります)ので、その点でも良いところに開催ポイントを置いていると思います。 ![]() ステージ上は前回演奏会に続き、16型より少し小さいサイズでの編成となりました。(交響曲の演奏で、弦は上から 15-15-12-9-8人) 今回は両Vnが同数となり、一段とバランスが取れた編成となりました。中低弦は16型対応に近い8人でしたので、今回も分厚いサウンドになったように思います。弦の人数が多く、響きの豊かさと管楽器に対抗できる音量が必要なチャイコフスキーには、このくらいのサイズは欲しいですね。無理せず弾けて気持ちよかったです。後列に雛壇を入れた配置もここ数年安定してきていて、空間的には後列4人でも幅は大丈夫でした。 コントラバスのステージ配置は前4(レプレのみ3)-後4(人)。私は前列 3pult-out、京都市民管さんに続き、また一番客席寄り(笑)。雛壇に乗るのである意味首席奏者以上に目立つ場所におっさんかいな・・ありがたいことですが・・いいんかな。 低弦拡張は、エクステンダーを付けた私のみ。アンコールでは普通にコントラEs、D(E線開放弦の半音下/全音下)が出てくるので、一本での対応。この編成だとやっぱり5弦が欲しいですね。 さきらの雛壇は奥行きのあるもの(八幡市文化センターのような6~7尺位あるの)がなく、今回も譜面台を雛壇上かステージ置きかで悩みました。結局床置きだと譜面台が遠くなりすぎて見えない(年寄りには切実です(笑))ことから、強引に雛壇上に置きました。そうすると今度は奥行きが狭いことから楽譜が結構横からになってしまい、譜めくりが大変だったり、譜面と指揮者とお客様の方向が大きく違う、とか別の問題も出てきました。奥行きが狭いので管楽器奏者移動の動線は確保できるのですが、難しいところです。改善できないか、引き続き検討ですね。 ![]() コントラバスのメンバーは前回現役1名となってしまいましたが、ついに待望の新入生登場。しかも高校にオーケストラがある名門K高校ということで、即戦力。今回の1,3曲目でいきなりデビューを果たしました。また卒団生も前回参加のM君は新人研修医として忙しい代わりに、その1年上の二人、M君、K君がで参戦してくれました。特にK君は広島で勤務していて普段は個人練習しながら、土日の客演練習日には新幹線で練習に駆けつけてくれました。ありがたいことです。さらに看護科卒業生のOさん(結婚してKさんになりました)も前回のチャイ5経験者として参戦、現役2名、OB3名という自前で5名が揃う充実のメンバー。そのためエキストラは以前からの3名(Nさん、Kさんと私)のみとなり、合計で8名での演奏となりました。後列4人は全員前回滋賀医大のチャイ5経験者ということで、安定感ある演奏になったように思います。 指揮は同団OBで、長く音楽監督を務めておられる岩井先生。基本テンポはわりと快速ですが、往年の大家を思わせる濃厚な表情とアゴーギグがあり、今回の3曲ではその表情付けがことごとくハマっていった感じです。ちなみに交響詩「前奏曲」は初めての指揮だったとのこと。全くそうは思わせない自在なオケドライブでした。 1曲目はニュルンベルクのマイスタージンガー「第1幕への前奏曲」。ワーグナーの管弦楽曲定番の有名曲で、学生オケ時分は演奏旅行で、ジョイントコンサートで、入学式・卒業式で、ととにかくよく演奏しました。演奏旅行や入学式・卒業式の演奏を除いても過去演奏16回というのは、私が演奏した中でも最多の部類になると思います。今回の演奏は、よく省略されてしまうハープがしっかり編成に入り、終結部の編曲(原曲はそのまま楽劇本編になだれ込むため、後世の人が単独で終結できるように補筆しています。バリエーション各種)も、学生時代のやり方そのままで、非常に懐かしさ度の高い演奏でした。音の維持などの解釈も当時に近く、またこの曲で最重要パートと思われる3番トランペットにエキストラの名手が起用されていたことから、本番も素晴らしい演奏になりました。 私は自楽器のエクステンダーレバーを倒し、コントラCを曲の冒頭とコーダで披露(チェロがC開放線を重音で弾くところをなぞる感じです)しました。なにせ大音量のところなのでどこまで客席で聞こえたか。。。録音要チェックです。もういきなり1曲目から「ブラボー」をいただいてしまいました。 2曲目はちょうど30年ぶり2度目の交響詩「前奏曲」(略称レプレ)。曲としては有名ですが、意外と実演、特にアマチュアオケでの演奏機会は少ないもののひとつです。理由としてはチェロ以上の弦楽器が難しい(ピアノの細かい分散和音をそのまま弦楽器軍に移したようなところがあり、音符が細かい)わりに映えないこと、ハープが必要なわりに出番は割と地味なこと、近年のプロの名録音が少ない、というかこういう哲学的で「重い」内容の曲調でしか演奏できない曲は、(特に若者には)流行らないのかも知れません。 私なんかだと、フルヴェン(フルトヴェングラー)のベートーヴェン交響曲のLPにカップリングされた演奏やカラヤンの演奏が刷り込まれているクチ(たぶんマエストロもそのあたりの世代)ですので、オールドファンには「おっ、これがレプレだよなー」という演奏だったと思います。なにせ楽譜どおりのインテンポ、強弱指示ではイマイチ冴えない。ちょっと団内指揮者だけでは持て余す曲ですね。マエストロも「これが一番時間がかかって、チャイ5の練習時間が足りるか心配だった」と本番後述懐していました。 本番はエキストラのハープの見事な演奏、管楽器ソロ奏者の頑張りに加え、弦楽器が思いっきりさらった結果での波打つ和声が指揮に食らいついて、なかなかの名演になったと思います。特筆すべきはティンパニ。この合いの手の偉容が曲のサイズを決めるキーなのですが、直前のマエストロや打楽器エキストラの指導が実り、ようやく本番になって、「どどん」と肺腑を抉る音が出てきました。これが練習時から聴きたかったよ(笑)。 ![]()
70回の演奏会を誇る滋賀医大オケでも何度か取り上げられており、直近では6年前にも素晴らしい演奏を披露しています。この6年間での滋賀医大オケの実力向上は質・量とも目を見張るものがあり、それに応えたかのようにマエストロの解釈も、一段と自在にオケを動かすようなものになりました。それでもオケはちゃんとついてくるので、お客様で「岩井マジック」好きな方にはたまらない演奏になったのではないかと思います。個人的にも、初めてこの曲を演奏させてもらった京都府立医大オケ(現:三大学合同オケ)で一緒に弾いたNさんとのプルト、ということでこれも感慨深いものがあり、二人して現役の前列(トップ)プルトに爆音を浴びせてしまいました。というトップのIさんは中学からコントラバスを教わり、今も京都ジュニアオケで弾いている、京都のコントラバス奏者の若きエリート。(現役国立医大生ですから、勉強もエリートですが)凄いメンバーに囲まれて、思いっきり弾くことが出来ました。 ![]() 次回の定期演奏会は暮れも押しつまる12月28日、同じくさきらにて岩井先生の指揮で予定されています。曲は未定ですが、そろそろ決まるようです。噂ではかなり久しぶりの曲になるとか・・楽しみです。そして期待の新入生が全曲デビュー。これからの伸びが楽しみです。 過去の演奏経歴です。通算334ステージ目。 ■ワーグナー:「ニュルンベルグのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲 (入学式・卒業式での演奏除く) ・1983/12 京都大学交響楽団/上原 康(岡山大ジョイントコンサート) ・1984/07 京都大学・北海道大学ジョイントオケ/岡添 隆 ・1986/07 京都大学・岡山大学ジョイントオケ/柿元 生也 ・1987/03 京都インターユニバーシティーオーケストラ/斎藤 栄一 ・1992/04 横浜シティ・フィルハーモニック/鎌田 由紀夫 ・1993/04 東京グリーン交響楽団/堀 俊輔 ・1996/06 駿河フィルハーモニー交響楽団/関谷 弘志(アンコール) ・2001/01 沼津交響楽団/北原 幸男 ・2007/11 八幡市民オーケストラ/井崎 正浩 ・2008/06 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 ・2011/06 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也(アンコール) ・2011/07 八幡市民オーケストラ/安藤 亨 ・2011/11 八幡市民オーケストラ/村尾 浩也 ・2016/09 墨染交響楽団/脇坂 英夫 ・2017/02 京都大学交響楽団100周年祝祭オーケストラ/寺本 義明 ■リスト:交響詩「前奏曲」 ・1989/07 習志野フィルハーモニー管弦楽団/田久保 裕一 ■ チャイコフスキー:交響曲第5番 ・1986/11 京都府立医科大学交響楽団/加藤 完二 ・1992/09 横浜シティ・フィルハーモニック/鎌田 由紀夫 ・1992/09 横浜シティ・フィルハーモニック/児玉 章裕(3,4楽章のみ) ・1992/11 東京グリーン交響楽団/堀 俊輔 ・1994/03 ニューシティー・オーケストラ/上野 正博 ・2000/05 清水フィルハーモニー管弦楽団/藤崎 凡 ・2005/12 富士フィルハーモニー管弦楽団/小林 研一郎 ・2013/12 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 ・2017/09 墨染交響楽団/滝本 秀信 ・2019/04 奈良学園・奈良学園登美ヶ丘室内楽部/上田 風友(1,4楽章のみ) ■エルガー:「エニグマ変奏曲」から第9変奏「ニムロッド」 ・2014/2/9 びわこフィルハーモニーオーケストラ/有馬 純昭(ニムロッドのみ) ・2017/5/28 京都市民管弦楽団/中橋 健太郎左衛門(全曲) 滋賀医科大学管弦楽団での演奏記録(24回)です。 ・第9回定期演奏会 1988/6 滋賀医大学内講堂 (ペールギュント組曲他) ・第47回定期演奏会 2007/12 しが県民芸術創造館 (「新世界から」他) ・第48回定期演奏会 2008/6 栗東芸術文化会館さきら(「悲愴」他) ・第49回定期演奏会 2008/12 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第4番他) ・第50回定期演奏会 2009/6 栗東芸術文化会館さきら(「田園」他) ・第51回定期演奏会 2009/12 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第2番他) ・第52回定期演奏会 2010/6 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第8番他) ・第53回定期演奏会 2010/12 栗東芸術文化会館さきら(チャイコフスキー交響曲第1番他) ・第54回定期演奏会 2011/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第3番他) ・第55回定期演奏会 2011/12 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第7番他) ・第56回定期演奏会 2012/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第1番他) ・第57回定期演奏会 2012/12 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第5番他) ・第58回定期演奏会 2013/6 栗東芸術文化会館さきら (「新世界から」他) ・第59回定期演奏会 2013/12 栗東芸術文化会館さきら(チャイコフスキー交響曲第5番他) ・第60回定期演奏会 2014/6 栗東芸術文化会館さきら(シューマン交響曲第4番他) ・第61回定期演奏会 2014/12 栗東芸術文化会館さきら(シベリウス交響曲第2番他) ・第62回定期演奏会 2015/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第4番他) ・第63回定期演奏会 2015/12 栗東芸術文化会館さきら(チャイコフスキー交響曲第1番他) ・第64回定期演奏会 2016/6 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第6番他) ・第65回定期演奏会 2016/12 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第1番他) ・第66回定期演奏会 2017/6 栗東芸術文化会館さきら(ブラームス交響曲第2番他) ・第67回定期演奏会 2017/12 栗東芸術文化会館さきら(ドボルザーク交響曲第5番他) ・第68回定期演奏会 2018/6 栗東芸術文化会館さきら(チャイコフスキー交響曲第4番)他) ・第69回定期演奏会 2018/12 栗東芸術文化会館さきら(カリンニコフ交響曲第1番他) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.06.18 12:31:57
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