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カテゴリ:奈良女子大学管弦楽団
<サマリー>
昨年12月に引き続きスプリングコンサートもようやくコロナ明けの復帰公演が開催されました。そのせいか多くの新入部員も入ってくれたようです。私も前回に引き続いてお声がけいただきました。木下先生と奈良女子大オケの名コンビの演奏に参加させていただき、映像にも記憶にも残る演奏会でした。 《奈良女子大学管弦楽団'22スプリングコンサート》日時:2022年5月21日(土)指揮:木下麻由加(客演) 曲目: ベートーヴェン ≪コリオラン≫序曲 ベートーヴェン ≪エグモント≫序曲 A.ドヴォルザーク 交響曲第8番ト長調 Op.88 ※今回は関係者のみの完全招待制で開催致します!無料配信も行いますので是非ご覧下さい! ⚠配信は5月22日(日)の20時頃から公式YouTubeにて公開を予定してます! 配信は以下のURLからご覧下さい👀 ![]() 演奏曲目別の私の演奏位置と使用弓、演奏回数は以下のとおりです。 ・ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 (4回目) Breitokopf旧版譜面 2.5Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C ・ベートーヴェン:「エグモント」序曲 (14回目) Breitokopf旧版譜面 2.5Pult中2Pult out 独弓、4弦 extendor-C ・ドヴォルザーク:交響曲第8番(6回目) Breitkopf(Klaus Döge校訂)新版譜面 3Pult中2Pult in 独弓、4弦 extendor未使用 (アンコール) ・ブラームス:ハンガリー舞曲第5番(13回目)(学生時代の演奏旅行を除く)Breitokopf譜面 3Pult中2Pult in 独弓、4弦 extendor未使用 <ホールの紹介> 今回の演奏会場は、奈良県橿原文化会館(大ホール)。奈良女子大オケは、マラソンなどイベントとの競合を除けば冬の定期を県立ホール(国際ホール)、春の演奏会を橿原か大和郡山のホールで、というのが最近の定番パターンとなっているようです。橿原のホールは近鉄大和八木駅から近く、車も隣の近鉄百貨店に大きなキャパの駐車場がある(有料ですが)ため使い勝手の良いホールです。音響的、ステージ的には、いわゆる「多目的市民会館」なので、浅い奥行きと幅広のステージ、デッド(話し言葉が識別できる程度)な残響ということで、クラシックコンサートには若干厳しいですが、それでも低音は比較的抜けてくる感じで助かりました。響かない分ステージ上でも直接音を拾えるので、アンサンブルはしやすいです。 <観客数> コロナ・オミクロン株の蔓延による練習や会合の制限(奈良女子大の学生以外が学内に入構できないため、指揮者、学外生、エキストラを含めた練習がいつもの学内講堂で出来ない)はまだまだ残っており、学校という組織の後進性と責任を回避する体質は(これは学校を問わず多くの大学で)相変わらずのようです。今回はようやく一部関係者のみではありますが、有観客での開催が公式アナウンスできるまでに出来ました。学生さん達の粘り強い交渉には敬服すべきものがありますが、ここまで収まって、日常生活では普通に人との接触が回復している中にもかかわらず頑なに他大学生との入構すら禁じる大学の姿勢には、疑問を感じざるを得ません。 ホールにはOGや現役生の知人、登録済みの新入生などを中心とした112名のお客様、そしてYouTubeによる無料での配信が実施されました。リアルタイムというわけにはいきませんが、順調にアップされました。こちらのチャンネルになりますが、曲ごとのURLはまた下に貼り付けておきます。 <オーケストラ編成、並び> コロナ下で団員、特に学外生(奈良唯一の学生オケとして、女子大以外の学生(男子含め)も受け入れているのです)との連携が厳しい中ですが、エキストラも含め少しずつ旧に復した編成が取れるようになってきました。 今回のドボルザークの弦楽器では、エキストラを入れて上から10-9-7-7-6人。中弦の人数不足とVcの充実から人数調整の結果、このような編成となったようです。Va以上がもう1~2名ずつ欲しいところではあります。 弦楽器の並びはチェロが内側に入った近代配置(下手から1Vn-2Vn-Vc-Va,Vcの後ろにCb)。奥行きが狭いホールのため、ティンパニは金管と同じひな壇下手で、横にTrp/Trb/Tu。ホルンは下手側に入り、Flの隣に1,2番、Clの隣に3,4番というシートでした。Timp以外の打楽器については、2ndVn奥の床直置き(といってもアンコールでしか出番がなかったりするので、移動の関係で仕方ない)でした。 ![]() <コントラバス編成、並び> 今回もMax6人と言うことで、前列とメイン・アンコールでの客席寄りを団員の皆さん、後列をエキストラでの配置となりました。(メインは2回生、アンコールでは1回生が後列団員席) メイン、アンコールは前2-後4、上回生のみ出演のベートーヴェンでは前2-後3、という編成。後列は今回も雛壇をいただけたので、指揮者、コンミスへの見通しもよく、また音もとなりのTさんのCマシンと合わせて箱鳴りを利用できたので、かなりいい感じにならせたのではないかと思います。雛壇も当初3×6尺2枚横並べだったのですが、追加でもう2枚出して縦置きにしてもらい、横12尺奥行き6尺としてもらいました。 バスの置き椅子込みだと一人に4尺×4尺が最低でも必要なので、4人並ぶとやや幅が厳しい状態でしたが、一番客席寄りの置き椅子をひな壇から床に落とすことで、何とか対応できました。 <メンバー詳細> 前回ご一緒したメンバーがそれぞれ進級し、現役は3回生2人、2回生1人です。そして今年入団の新入生が経験者と言うことで、1名アンコールでデビュー。その際は2回生の方が打楽器に廻って対応していました。なので次回は現役生4名という、楽器をフルに使う奈良女子大での現役Max編成となります。というか、楽器の数しか入団できないのがCbの制限(もちろん楽器持って入団する方が居れば別ですが、ごく希なケース)です。できればもう1~2台くらい楽器、できれば5弦楽器が欲しいところです。ベートーヴェンやモーツァルト、シューベルトが中心になるなら、なおさら5弦で欲しいところですね。 そんな中でエキストラは3名。他弦楽器とのバランス上若干多い?という気もしましたが、ベートーヴェンで2回生が乗らない(総勢5名)となるのでこんなもんかな、というところです。トラ3名が乗った演奏はパワフルでした。録画でもベースの音がもりもり聞こえてきています・・ 3名のエキストラは、私とここ数年常トラとして参加されているイケメンCマシーン楽器奏者Tさんに加え、久しぶりの奈良女トラ参戦の、地元奈良響の5弦奏者、Tさん。私以外の2名はお若いですが、安心?の既婚者であります。 <指揮者、ソリスト> 指揮は、これで奈良女大オケは10回目となる木下麻由香先生。50回の記念定期演奏会の後も、新入生へのアピールとなる大事な春の演奏会のタクトを託された形となりました。すでにメンバーとも、OG、エキストラとも顔なじみなので各パート、奏者の状況も熟知しておられ、リハーサルも非常に効率よく進みます。総練習には学外の施設を使わざるを得ない現状では、リハーサル効率はこれまで以上に曲の完成度に響いてきます。楽団側としてベストの選択だったと思います。 奏者の方にもエキストラメンバーとして、OG、他大学学生、そして私のような一般トラがはいるわけですが、弦楽器の男性エキストラは前回より増えて7名。Vn4/Va1/Cb3ということで、もう少しでコロナ前の状態に戻る感じです。 <曲目別感想> 学生オーケストラのプログラミングというと、一部の優秀で大規模な大学オケを除き、編成と難易度の絡みで選択肢が狭まってくる(選曲する学生さん達の、クラシック楽曲の知識量にも依存します)わけですが、ベートーヴェンの序曲2連発というのは、私も初めてで、ちょっとビックリしました。しかもベートーヴェン中期の有名曲2曲と言うことで、編成的にはほぼ同じですが、お客さん側としてはどうだったかなぁ、とちょっと心配でした。もちろん演奏する側としては、オーケストラの基本レパートリーと言って良い名曲2曲なので、大学生が若いうちにさらって身につけておくには素晴らしい曲2曲ではあります。これからレパートリを身につけていく若い学生オケメンバーとしては、こういう名曲の繰り返し(じつは奈良女でもエグモントは5年前の再演なのです)で良いのかも知れない、とも思うようになりました。 ![]() というわけで1曲目は「コリオラン」序曲。ベートーヴェン中期の傑作序曲として次に演奏する「エグモント」序曲と並び称される曲ですが、エグモントが劇付随音楽の正真正銘な「序曲」として作られたのに対して、こちらは純粋な演奏会用序曲。それもあってか、曲の作りも凝っていて、演奏難易度がエグモントよりもかなり高くなっています。 特に展開部でのVcの延々と続く八分音符は、アマチュアではなかなか難儀なところで下手なアマオケだと止まりそうになってしまうところですが、昨年からのメンバーがほぼスライドして乗っているVcパートはがっちりさらってきていてくれて、とても安定感のある演奏を披露してくれました。さらにエキストラのTp、Eさんがモダン楽器でもナチュラル管風に演奏した(一部の音がナチュラル管では音程が外れ気味になるのを忠実に、大きく気にならない程度に寄せていた)のが印象的でした。 最初に練習参加したときにTpパートにわざわざ確認に行ったら上記のような話をしてくれて、びっくりでした。どうやら他のメンバーは気づいていない(か気づいても問い合わせなかったみたい)でした。 こちらがその時の動画です https://youtu.be/bIxwA8VO91Y 2曲目は「エグモント」序曲。さすがに過去演奏回数も多く、奈良女子大オケでも5年前に、そしてもちろん私も学生時代に1回生オケで弾いて以来(団内発表会のため、演奏会カウントには入っていない)弾き続けています。コリオランに比べればCbパートの音の噛み合わせは簡単とは言え、音程のとりにくい♭系の曲、しかも音程がわかりにくい低い弦でのロングトーンが多くて、低音の音程をちゃんと取れているかどうかが演奏結果にダイレクトに効いてくる怖い曲でもあります。 さらに木管楽器は各楽器パート単位で交互に入っていく所が多く、木管にとってはひょっとしたらコリオランよりも怖い曲かも知れません。 本番もちょっとした事故はありましたが、分厚い低音が聞こえる重厚な演奏となりました。 こちらがその時の動画です https://youtu.be/ijagN2pKsuE そして3曲目は、ドヴォルザークの交響曲第8番。新世界に次ぐ人気を誇り、チューバを含むフル2管編成でハープ無し、という学生オケにうってつけの編成もあり、アマチュアオケ、学生オケでは常に選曲候補に挙がる曲でもあります。 とはいえ、私にとっては実は久しぶり。2010年に滋賀医大と墨染さんで続けて演奏して以来、実に12年ぶりの演奏となります。 今回渡された譜面も実は初めてのご対面。ブライトコプフの校訂譜でした。過去Kalmusやスプラフォンの譜面ばかりだったので、時代を感じました。さらに過去譜面上の疑問があった箇所も、校訂譜での修正、そして自筆譜のファクシミリがネットで閲覧できる環境になっており、これまでの疑問も一気に氷解しました。 それらの顛末は、こちらに別掲させてもらってます。 【解決】ドボルザーク交響曲第8番と第9番の謎 (2022/2/10) https://plaza.rakuten.co.jp/tamamo/diary/202202100000/ 演奏自体は、以前びわこフィルで演奏したときに首席奏者として色々と(他パート含め)経験した蓄積もあり、当時の指使いも思い出しながら、懐かしく演奏してました。現役の皆さんも頑張っておられて、4楽章のパートソロも破綻なく立派な演奏となり、過去の自分が参加した演奏の中でも十分に素晴らしい演奏となりました。 こちらがその時の演奏動画です https://youtu.be/S2i5wLO5AOQ <アンコール> アンコールもようやくできるようになり、さて、スラブ舞曲?と思いきや、そこでハンガリー舞曲第五番となりました。譜面は学生時代の演奏旅行以来慣れ親しんだ、ブライトコプフ(シュメリング編曲)のもの。以前とある学生オケさんがダウンロード譜面使ったときにパーロウ編曲版を用意してしまって、エキストラ陣や指揮者からブーイング受けてしまったのを思い出しましたが、こちらはちゃんと一般的なものを選択されたようです。おかげで私もほぼ暗譜状態で指揮に集中できました。 演奏としては、楽譜記載以外の慣用的な動きは極力抑えた、すっきりしたものとなりました。経験値の少ない学生さん中心で、しかもリハーサル回数も少なかったことを考えると、リーズナブルな選択だったと思います。 こちらがその時の演奏動画です https://youtu.be/sepHjb9dQYI ![]() <打ち上げ> 今回もいわゆる「打ち上げ」は出来ずでした。が、終演後客席に集合し、(通常打ち上げ前半にやる)指揮者からのコメント、部長、コンミスなどからのコメントを聞くことが出来ました。写真撮影もする、と言うことで残ったエキストラも多かったのですが、結局撮影するのは現役対象だけで、それで帰りの電車を結構見送ってしまった方も居たようで、ちょっぴり残念なコミュニケーションロスでした。(私は車だし、講評も聞きたかったので、問題なかったですが) <次回> コロナもなかなか頑強で、モードを変えつつ予断は許さない状況です。とはいえ、世の中は確実にコロナとの共存に舵を切っているので、ここらあたりを大学当局がどう受け入れていくかだと思います。次回は第51回定期。12/18だそうです。長年続いた木下先生から指揮者も交替し、私も12/18の日程確保は不要と言われたので、次回の成功を祈りつつ、他オケに出演(もしくは練習)となりそうです。 過去の演奏経歴です。通算373ステージ目。(学生時代の演奏旅行を除く) ■ベートーヴェン:「コリオラン」序曲 ・2011/09 墨染交響楽団/池田 俊 Bärenreiter版 ・2016/11 高槻室内管弦楽団/寺坂 隆夫 ・2022/01 京都プレザントオーケストラ/仙崎 和男 Breitkopf旧版 ・2022/05 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加 ■ベートーヴェン:「エグモント」序曲 ・1988/06/04 滋賀医科大学管弦楽団/船曳 圭一郎 ・1991/12/08 緑交響楽団/奥村 智 ・1991/12/15 アンサンブル・フィガロ/星野 貢 ・1992/10/10 北里大学交響楽団/長田 雅人 ・1993/10/03 秦野市民交響楽団/川合 良一 ・1996/11/10 駿河フィルハーモニー交響楽団/関谷 弘志 ・2005/12/04 富士フィルハーモニー管弦楽団/小林 研一郎 ・2009/04/26 びわこフィルハーモニーオーケストラ/有馬 純昭 ・2009/11/22 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司 ・2013/06/22 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 ・2017/02/11 京都大学交響楽団100周年祝祭オーケストラ/寺本 義明 ・2017/04/30 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加 ・2019/12/28 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也![]() ・2022/05/21 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加 ■ドヴォルザーク:交響曲第8番 ・1984/06/01 京都府立医科大学交響楽団/加藤 完二 ・2001/03/31 富士フィルハーモニー管弦楽団/堤 俊作 ・2008/06/08 びわこフィルハーモニーオーケストラ/有馬 純昭 ・2010/06/19 滋賀医科大学管弦楽団/岩井 一也 ・2010/09/26 墨染交響楽団/滝本 秀信 ・2022/05/21 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加 ■ブラームス:ハンガリー舞曲第5番(学生時代の演奏旅行を除く) ・1989/01/11 京都大学交響楽団/田中 良和 ・1989/01/13 京都大学交響楽団/田中 良和 ・1992/11/08 麻生フィルハーモニー管弦楽団/山下 一史 ・1994/10/09 北里大学交響楽団/小林 幸人 ・1998/12/13 旭富会クラシックコンサート部/伊藤 章 ・2009/11/22 草津チェンバーオーケストラ/宅間 司 ・2012/07/29 八幡市民オーケストラ/安藤 亨 ・2012/09/17 墨染交響楽団/粟辻 聡 ・2016/07/31 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 ・2017/07/01 京都市民管弦楽団/藏野 雅彦 ・2017/08/06 コバケンとその仲間たちオーケストラ/小林 研一郎 ・2021/02/23 びわこフィルハーモニーオーケストラ/川上 肇 ・2022/05/21 奈良女子大学管弦楽団/木下 麻由加 奈良女子大学管弦楽団さんとの演奏履歴(通算9ステージ目)です。 1983/11 第14回定期演奏会 奈良県文化会館(ベートーヴェン交響曲4番他) 1984/11 第15回定期演奏会 奈良県文化会館(シューベルト交響曲6番他) 1988/05 1988スプリングコンサート 奈良女子大学講堂(旧講堂)(スコットランド他) 1988/11 第19回定期演奏会 奈良県文化会館(ブラ2他) 2016/12 第46回定期演奏会 奈良県文化会館(ブラ1他) 2017/04 2017スプリングコンサート 橿原文化会館 (シューマン「春」他) 2019/12 第49回定期演奏会 橿原文化会館(エロイカ他) 2021/12 第50回定期演奏会 奈良県文化会館(ライン他) 2022/05 2022スプリングコンサート 橿原文化会館 (ドヴォルザーク交響曲8番他) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.08.17 22:05:10
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