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December 11, 2004
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もう世間では一段落してしまったOECD学力調査の結果に、もう少ししがみついてみます・・・。

今回の調査で、科学大国であるアメリカが何位だったかご存じですか?
実は29ヵ国中24位という成績でした。
(この結果についてのアメリカの反応が、
PISA結果に対するアメリカの反応
で解説されています)。

いずれにしろ、24位というのは日本と比べものにならない順位。
なぜ、国民の学力がこのレベルなのに、アメリカは世界に冠たる科学大国なのか。

答えは簡単です。

アメリカは、完成した科学的な頭脳を「輸入」しているからです。

ちょっと古いデータしか見あたらなかったので申し訳ないのですが、
以下のようなデータがあります。

1999年の理工系における博士号取得者の割合

米国民 54.9%
アジア系以外の留学生 21.4%
アジア系の留学生 23.6%

National Science Foundation "Science and Engeering Indicators 2002"より

また、
トウモロコシ畑のハイテク都市から
というHPに、日本語に訳された
アメリカの大学の教育スタッフの出生地割合
という表がのっています。
この表から、1997年の段階で、工学系の大学スタッフの36.3%が外国人である
ことがわかります(理工系全体でも20%)。

主に、中国、インドからの留学生、研究者がアメリカに流入しているという話です。

何で見たのか忘れてしまったのですが、1,2年前に、
博士号取得者の総数に占める留学生の割合が50%を超えた、
という記事を見た覚えもあります
(裏付けするデータを探したのですが見あたらなかったので、不確かな情報です・・・)。

つまり、アメリカの科学水準は「外国人(移民)によって支えられて」いるわけです。

私が解説するまでもないことなのですが、
アメリカは、多民族国家で貧富の差も大きく、
裕福な家庭が集まる地域と、そうでない貧困地域に完全に分かれています。
教育に競争性を導入し、完全に自由化した結果、学校も、
裕福な家庭が集まる地域ではよりレベルの高い教育が行われ、
貧困層ではまともな教育が成り立たない、という、困難を
抱えるようになったそうです。
だから、トップクラスの学生は高水準の教育を
受けられるけど、それは少数。
大半の子供たちは質の高い教育を受けられないでいます。
その状態でテストを行い、点数を平均した結果が、学力調査の順位が下位、
ということになっています。

そこで、自国民を1から教育するよりは、国の科学水準を
支える頭脳を海外から「買って」来た方が手っ取り早い、
という作戦に出ているわけです。
日本の高校や大学にもアメリカの大学の「ヘッドハンター」が
来ているという話も知りました。
まあ、世界の富の何分の1かがアメリカに集中していると
いわれていますから、「買い集める」力は十分にあるのでしょう。

歴史的に詳しいことは↑の「トウモロコシ畑のハイテク都市から」
に解説されていますので、興味のある方は読んでみてください。


ここからは非常に偏った私見なのですが・・・。

私が学生だった頃(二十?年前・・・)、
Look Americaといわんばかりに日本はアメリカに追いつき追い越そうと
していました。
アメリカの真似さえすれば、日本も豊かな国になる、と、
いろいろな手法をまねしようとしてきました。
(よく「欧米では」とヨーロッパもアメリカも
一緒くたにしたような言い方がされますが、
本当は「米では」であって、「欧」の方を本当に見ていた
とは思えません・・・。)

その1つが、ゆとり教育だったのではないでしょうか?
アメリカのように、週休2日、夏休みも長くとって、
放課後は宿題もなし、そんな「ゆとりある暮らし」を
子供たちにさせれば、日本の子供たちも優秀になる。

お役人さん方は、そんな幻を信じて疑わなかったような気がしてなりません。

しかして、その実態は・・・。アメリカの高い科学水準は
「輸入された」頭脳によって成り立っているのであって、
決して、アメリカ式の教育が育てたものではなかったのでした。
アメリカ式の教育の結果、
「大学生が分数計算ができない」「基礎的な単語の意味を知らない」という
現状が、アメリカではすでに十数年前に起きていたといわれています
(アメリカの大学では、そういう学生はばしばし振り落とされます)。

日本の対局を行って、OECDの学力調査で高い評価を
得た国があります。

その1例がオーストラリアです。

日本式の「基本をたたき込むスタイル」を、かの国独自のシステムに
導入した結果、
最近では「自前の」頭脳で科学水準を上げつつあります。
(もちろん、アジア諸国からの留学生を積極的に迎えている、という背景もあるにはあります)。
一見、のんびりした国に見えて、
スポーツの分野では世界レベルの選手を輩出しているのは知られるところです。
日本のプロ野球もオーストラリアのアマチュアチームに
負けましたよね。
実はオーストラリアで野球は、「そんなスポーツは知らない」という人がほとんど。
全然人気のないスポーツなのですよ~。

ま、スポーツは別の話ですが、
「自律を促す」「自分で考える」という従来からの教育方針に、
基礎をしっかり身につけさせる日本の教育方式を
いつの間にか採り入れていたようで、
その結果として、二十?年前は「大学に行く人は変人」なんて言われるほど、
大学へ進学する人は少なかったといわれるコアラとカンガルーの国が、
上位入りを果たしました。


日本の政府は、教育を自由化して競争させる、というアメリカ式
を目指しているように見受けられます。
でも、国民全体の教育レベルを上げるには、実は日本の
昔からの公立による一斉教育システムのほうがあっています。
一つ工夫しなければならないのは、激しい詰め込み教育に戻らないようにする点でしょうか。

けじめをつける、
基礎力がつくまで繰り返す、
自分の頭で考える習慣をつける、

この点さえしっかり守られていれば、日本の以前の教育システムが
そう悪いものであるとは思えません。
この3点が総崩れになっているのが、今の公立学校なのではないでしょうか?

以前、高校の同窓生のメーリングリストで、
「日本の子供たちが重大犯罪を起こしているのはなぜか」という
話になったことがあります。
そのときに、南米のある国に住んでいる人がこんなコメントをしていました

「日本が大変だって言うけど、
政情が不安定で治安も荒れているこの国だけど、
一般市民は酒を飲んで楽しそうに暮らしているよ」

そんなもんかな、と思いました。
日本が大変といいつつも、まだ、希望を捨てるほどの状態ではないのかもしれません。

でも、だからこそ、
「政情が不安定で治安も悪い国」になる前に、
日本という国に危機感を持って、国民がいろいろ考えることが大切なのかもしれない、
とも思いました。

またまた、長文失礼しました。

これからは、通常モードに戻りま~す。





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Last updated  December 11, 2004 03:53:20 PM
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