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随筆の樺の木

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2008.07.19
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カテゴリ:小説を読書
『鳥類学者のファンタジア』を読み終えての奥泉光二冊目。
以前の作品はエンターテイメントとしての読みやすさ追求のために、あえて手をぬいて書く箇所が見られた。
しかし本作は圧倒的な筆力を最後まで貫く姿に死してなお行軍する兵士のような印象を重ねる。
<死>を目的に行軍する兵たちは、いささか浪漫的であるという会話が出てくる。
そして時に文章のあいまあいまに出てくる<希望>という言葉。
この二つは、この小説の中で同じような頻度で出てくるんじゃないか。

いつから歩きだしたのか、ほとんど思い出せないのは、歩きながら眠るせいである。

……とたびたび挿入される上の文章が示すように、熱病に浮かされるような意識の中で行軍をしているかと思うと、急に花見をする現代人の会話に移行する。

/があった展開が序所に消え去っていき、区別がなくなる。あらゆるものに対しての。
味方/敵、食えるもの/食えないもの、信じるもの/信じないもの。

夢のような、現のような境界を欠いた行軍に、引き込まれてしまう。





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Last updated  2008.07.21 13:34:41
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