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カテゴリ:漫画
50才になり、覚えず身辺整理のようなことを、そろそろやりたいと思うようになり、楽天さんのフリマに、いくつか出品することとなった。
平成元年ごろから、東京神田神保町の古雑誌など専門の書店へためしに行ってみたときは、塾の収入がまずまず安定していたにもかかわらず、昔の少年誌の相場がわからないので、正直価格を見てギョッとした。 その後、次第に購入欲求が増して、価格の高さをしのぐようになり、通販でまず「少年」昭和37年と39年のものを二冊購入した。今思えば、初めて直接書店を訪ねたときに、一冊なりとも買えばよかったとやや後悔している。確かその時は、もはや入手不可能な昭和30年代前半の、最も懐かしい表紙のものが何冊か棚に置いてあり、しかも今から見ると、さほど法外な価格でもなかったのだ。 思い直して通販で買おうとした時は、既に抽選方式になっていて、希望の冊子は遂にすべて抽選からもれた。かろうじて買った二冊は、思い切って書店に電話し、つい先日の抽選からもれたのだが、残るリスト中で、直接注文できるかと交渉めいたことをした結果、店の人の厚意で手に入れられたものである。 無論、これとても、懐かしい二冊には違いない。いずれの表紙も確かに記憶にある。昔特に本嫌いだった私は、この魅惑のかたまりのような「少年」の漫画を読むことは二の次で、まことに変な癖だろうが、本誌の表紙を飽かずながめることが、まず何よりの楽しみだった。更に不器用ゆえ、ろくすっぽ作れない紙製組立ふろくも、作ることは実際には余りせず、ビニール袋を解いて、取り出した紙製パーツを並べて、これまたしばしながめることが好きであった。 それにしても、特に「少年」のメインの組立ふろくは、毎号驚くほどの工夫がこらしてあり、ほとんど毎月その見事さにうなったものである。 さて、この雑誌はまず兄が定期購読し始め、ついで私が小学四年の時にバトンタッチされて、更にあと三年間購読継続したものである。記憶に間違いがなければ、兄の購読最後の昭和36年までは、いかにも都会的センスのスマートな容姿容貌のお兄さんが表紙モデルだった。 そして、翌年、私にバトンタッチされた年から、別の少年モデルに代わった。実はこれがちょっと残念だった。前のモデルは、ものの本で今見てもほれぼれするような美少年だった。それは今の若い娘どもが夢中になるタレントなどとは比較にならぬ、抜群に洗練された雰囲気のかっこいい少年モデルだった。 かつての少年雑誌をそれぞれの人が、お気に入りの雑誌としてこれが一番と評価するのは当然のことながら、表紙の洗練度では、断然「少年」が他をずっとリードして遂にその王座を守り通した。これはひいきだったからという私の独断ではない。所蔵する貴重な一書、串間努(くしまつとむ)氏の著書「少年のふろく」(光文社)本文中にもこうある。 「ぼくら」の編集をしていた富井は、怪獣ブームに乗せて「ぼくら」は売上を上げたというが、「少年」に対しては、「表紙から何から、どうしてこんなにできるんだろうと思うくらいスマートでしたよ。ケタ違いにあか抜けていて、゛都会的゛でした。デザイナーがいたんじゃないかと思うくらいです。 昔は、編集部が、表紙や誌面をレイアウトしていてデザイナーというのはいなかったんですよ。もう、ど素人のひどいものでした。私なんか、自分が昔やったものを今見ると、もう恐ろしくなりますもん」と手放しに誉める。 以上が本書中の抜粋である。 では、いよいよタイトルの話に入る。何年か前、通塾する女子とのあいだで、幼い頃読んだ月刊誌の話題が出たことがあった。私も経営のために、まずその女子が読み続けたという「りぼん」を称賛した。確かにこれは今に続く驚くべき長寿月刊誌である。思うに、男の子は、紙製ふろくなどというチャチなものを待たずとも、既に頑丈な玩具を容易に買ってもらえる時代になっていたので、あっさり月刊誌から離れた。 だが、総じて女の子は模型なぞには余り興味がない。ところが、小学低学年から中学年くらいの頃は、「りぼん」などにつく、手軽で又なかなか色彩に富むかわいらしいふろくに、かなり親しむことができたようだ。 ま、言ってみれば、より進歩した玩具に簡単に移行する男の子よりも、女の子のほうが、ある少女期、素朴な月刊誌ふろくに素直に興ずるところがあったのではないか。 だが、無論私が言いたいのはここまでではない。ひとしきり「りぼん」礼賛をしたあと、私たちが子供の頃の紙製組立ふろくのことに話題を移した。工夫をこらした「少年」のふろくは、先ほど書いた通り、驚くべき動きを見せる。私はダメだったが、三つ上の兄は、根気の続く性質で、しかも器用なので、ほとんど毎号の組立ふろくを首尾よく完成させた。 その中の一つを例に挙げて、話をした。つまり、「宙返り戦車というようなふろくがあってね、完成させて、ゴムを巻いて手を放すと、推進力がある限り、走りながらバタンとひっくり返って又正立し、方向を変えて又走ってはひっくり返るという凄い動きをしたんだよ」と言ったとたん、「つーまんなーい!!それだけ?」とほざきやがった。私はそのまま口をつぐんだ。 さて、別の時間に、工学部をめざす男子の塾生相手に全く同じ話をした。見ると、話が終わらないうちに、目が輝いている。私はわざと怪訝な顔を見せて「どうしました。もしかして、今のふろくの動きのメカニズムが不思議だと思ったのですか?」と言った。すると「ええ。凄いですね」と、明らかに単なる紙製ふろくの見せるアクションの複雑さにとても興味を示している表情である。 私はすぐこう付け加えた。「さすが工学部をめざすだけありますね。でも、あるクラスの女子はそれがどうしたの、つまらないふろくと言いましたよ。ちなみにその女子は文系志望です。人の悪口は言うつもりないけど、君のメカに対する素直な驚きの気持ちは、将来必ず何らかの形で実を結びますよ。でも、さすが理系のしかも工学部志望だけのことはありますね。感心しました」。 彼が莞爾(かんじ)としたのは言うまでもない。結論を極端に言えば、概して女は夢がない。いや、はっきり言ってバカが多い。 私のそれまでの不快感は、この優秀な男子生徒によって消え去り、溜飲が下がったのである。なお、この生徒は首尾よく名門の大学工学部に合格した。男の子万歳!!少年月刊誌万歳!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.04.07 21:33:59
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