地球の裏側、メキシコ。この地を芸術の神様は愛しているにちがいない。
和紙造形の作品を紹介いたします。これ以外にも、過去に紹介した作品は左のカレンダーの下の方にあるフリーページの「和紙造形作品」でご覧いただけます。「王朝の華 1」W79×H65cm 伊藤直美-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------いまから十数年前に初めてメキシコに行ったときのことです。メキシコ人の体型や顔つきはなんとなく日本人に似たようなかんじで、親近感がわきます。同じモンゴロイド系に属しているというのがわかります。しかし、いろんなところを見て行くうちに、その感性の違いに気づかされてきます。メキシコ国立人類博物館はバスケスの建築を見るのも楽しみでしたが、それ以上に、展示内容の充実ぶりに圧倒されます。1日では足りないくらい。ですが個人的に一番衝撃をうけたのは、その点数の多さではなく、形の面白さであり、豊かな表現力です。日本では無表情の人物を埴輪のようだといいますが、メキシコの土偶は違います。天を仰いで笑っていたりしますから(薬物でハイになっているとの説もあり)。どれを見ても表情が豊かなんです。また顔の表情だけでなく、ポーズも多彩です。腹筋運動しながら顔だけ右を向いていたり、ユニークなものが多く、けっこう笑えるので楽しいんですよ。思わずツッコミを入れたくなるようなものばかりですから。メキシコに行ったらぜひ博物館を見てもらいたいです。レプリカでなく本物でも、触っていいものもありましたし…。先頃、メキシコで制作した岡本太郎の壁画「明日の神話」が渋谷に設置されることになったそうですが、その岡本太郎の原点もここにあるのではと感じます。オアハカのホテルに泊まった時は、トイレットペーパーに感銘を受けたのです。トイレットペーパー、三角にたたんでます?ここではもっと手間のかかることをしていたのですよ。形がどんなものだったかどうしても思い出せないのが残念ですが…。折り紙のようなことをしていたのです。日本人だってこんな手間のかかることを毎日のルーティンワークに取り入れたりはしないなあ、と思ったものです。そしてホテルのレストランでのことです。食の細い日本人には食べきれない量の料理がでますから、持ち帰りにしてもらったのです。そしたら料理を一旦下げ、しばらくしてトレイに乗せて持ってきたものは、なんとアヒルの形をしたアルミ箔でした。料理をアルミ箔で包んで、その両端を片方は首と顔、もう片方は尻尾の形に持ち上げていたのです。最近は日本のレストランでもたまに見かけるようになりましたが、当時そのようなことは見たことがありませんでした。このホテル「Casa Conzatti」カーサ・コンサッティというのかな?部屋数もそんなに多くないコロニアルスタイルのホテルです。こぢんまりとしたホテルだからできることだったのでしょうが、それにしてもその感性に脱帽です。この時のオアハカの話しはこちらから、4回シリーズです。「地球の裏側にもいた、紙を愛する男・アルベルト」~偉大なる師、その足跡を振り返る~その3「メキシコの素材で紙布織りを作る」~偉大なる師、その足跡を振り返る~その4「メキシコ時間の洗礼を受ける」~偉大なる師、その足跡を振り返る~その5「和紙造形の旅は楽し」~偉大なる師、その足跡を振り返る~その6美術館やギャラリーを数カ所回って驚いたのは、その展示方法です。普通作品を上か下で揃えたり、センター合わせにしたりしますよね。ここでは展示方法にも個性が表れています。ある作家は壁面に掛けているのですが、最初は目線の位置だとしたら次は少し高く、その次はもう少し高く、そして次は少し低くというようにして、全体にゆるやかな波のうねりをイメージさせるような配置にしていたのです。また別の作家は、壁面は使わずにすべて天井からつり下げています。入り口に立つと、左右にある作品はすべてこちらを向いて、手前から奥に行くに従って少しずつ位置が高くしてあるので、全体が見られるのです。大きな美術館では壁面よりもパネルを多様して展示していました。3枚のパネルで立方体にしたり、4枚の立方体であったり。またはパネルをくの字において、その表と裏に作品を掛けたり…。会場にそれらが距離をおいて配置してあるので、来場者は見る順番は気にせずおもむくままに、八の字に見て回ったり、欽ちゃん走りをしたり、自由に動き回っているのです。このようにどの会場も同じ展示方法ではなく、それなりに工夫を凝らしているのです。メキシコ人の芸術に対する底力をこんなところにも感じます。太古の作品から現代の作品までどれを見ても日本人の感性とは異なる発想があり、またホテルで目にしたことやメキシコ人の日常の生活ぶりを見るにつけ、地球の裏側のこの地メキシコを芸術の神様は愛しているにちがいないと思います。前置きのつもりで書き出したことが、こんなに長くなってしまいました。メキシコで開催した展覧会の話をしようと思っていたのです。それはまた次回に。読んでいただいてありがとうございます。よろしければ、上の「blog Ranking」のバナーをクリックしてください。1日1回クリックしていただけると、たいへんうれしいです。お手数ですが、よろしくお願いします。参考までに、上の「blog Ranking」のバナーをクリックしても、ブログランキングのページが表示されるだけです。なにかを記入したりする必要などはまったくありません。ブログランキングのページが表示されたら、他のページをのぞいてもいいですし、終了するのも自由です。●yunさんの運営する「和紙造形のコミュニティ」がMixiにあります。Mixi会員の方だけになりますが、ぜひのぞいてみてください。http://mixi.jp/view_community.pl?id=2305021