作品制作のために道具を出して、準備を整える。これが儀式となる?
関東地方は晴天が続いています。例年より水温も高いようで、和紙造形の作品制作にはもってこいの日よりですね。乾燥も早いですし…。ところで作品を制作するときに、なにかBGMなどを流したりしている人はいますか?さすがにテレビを見ながらという人はいないでしょうが、ラジオを聞きながらする人はいるかもしれませんね。「いや、気が散るからいっさい聞かない」という人も、もちろん多くいるでしょう。私の場合は、我が家にはテレビはないので、ラジオならたまに聞きながらすることもあります。ですが、まったく無音のときが一番多いかもしれません。また朝からやる気満々のときなどは、そういったことにはいっさいかまわず、気がついたらすでに取りかかっているという状態で、仮になにか音を流していたとしても、何を聞いていたかなどは覚えていないですよね。いつもそのくらい集中できるといいのですが、通常は道具をだしたり、素材の準備などをするうちに徐々に気分が高まってくるといった感じでしょうか。和紙造形の場合は道具の準備が必要なので、専用の工房がある人は別ですが、そう簡単には取りかかれないのです。道具をそろえるのが一連の儀式のようにもなっています。テーブルの上を片付けて、プラ舟を置き、2本の支え棒を適度な間隔できちんと平行に並べる。そして簀(す)を軽く水洗いするときに、網をそっと撫でて今日の具合を推し量る。「張りの具合はどうかな?」「うまく流れてくれるかな?」道具との対話がはじまるのです。次に、ボールに水を注ぎ入れ、楮の繊維をぽんと投げ入れて、素材作りのはじまりです。大きく開いた右手をおもむろに水の中に浸していく。「今日の水温はどうかな?」「おっ、心地よい冷たさだ!」そこから一気に力を加えて、攪拌! ジャバジャバっと音が立つ! 手首を振ってさらに攪拌!水と繊維がたわむれる。繊維がほぐれる。水が歓喜であふれかえる。気分も高揚してきます。体と素材が一体となる瞬間です。ここまできたら、後は簀に素材を流し込むだけ。気持ちが宿った素材ですから、流し込むのも容易なもの。小さいボールでこの素材をたっぷり掬い、簀に流し込むと、それはまるで波に乗るサーファーのように繊維が網の上を気持ちよく滑っていきます。「道具を出して、準備を整える」、この作業のひとつひとつを意識的にこなすことで、やっと制作態度が出来上がるように感じるのですが、これって儀式のようだなと思うわけです。筆で描いても思うように描けないことがあるのでしょうが、水を使う和紙造形ではもっと不憫な思いをすることが多いのです。「わらをもすがる」ではないですが、「水に祈り」を込めたくもなるのです。和紙造形を体験したことのない人にはイメージしずらいかもしれませんね。参考までに関連した写真を掲載します。左は攪拌しているところ。右は流し込んでいるところ。1月17日(土)に和紙造形の体験コースが恵比寿であります。まだ少し空きがありますので、興味のある方はこちらもご覧ください(毎月第1土曜日に開催していますが、今月だけ変則の日程で17日開催になっています)。和紙造形アートスクールのサイト。今日は音楽の話をするつもりでしたが、こんなところに着地してしまいました。この続きはまた明日(たぶん大丈夫)。読んでいただいてありがとうございます。よろしければ、上の「blog Ranking」のバナーをクリックしてください。1日1回クリックしていただけると、たいへんうれしいです。お手数ですが、よろしくお願いします。参考までに、上の「blog Ranking」のバナーをクリックしても、ブログランキングのページが表示されるだけです。なにかを記入したりする必要などはまったくありません。ブログランキングのページが表示されたら、他のページをのぞいてもいいですし、終了するのも自由です。●yunさんの運営する「和紙造形のコミュニティ」がMixiにあります。Mixi会員の方だけになりますが、ぜひのぞいてみてください。http://mixi.jp/view_community.pl?id=2305021