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カテゴリ:小説・日本
図書館の棚でみつけた本です、読んでみました。
あらすじはamazonからのコピペ、 朝顔栽培だけが生きがいの同心・中根興三郎は、宗観という武家と知り合ってから、思いもよらぬ形で「桜田門外の変」に巻き込まれていく。 第15回松本清張賞受賞。 松本清張賞受賞作品ですが、謎解きを主眼においたミステリーではないので、内容に深く触れています。 未読の方は、お気をつけ下さい。 ペリー来航後の日本の、井伊直弼殺害までを描いてます。 主人公の興三郎は同心だが、閑職の名簿記録の仕事をしていて、政には関心がない。 彼は朝顔栽培を生きがいとして生きています。 夢は大輪の黄色い朝顔を咲かせること。 黄色い朝顔は、朝顔が黄色の色素を持っていないので不可能と言われているが(←青い薔薇と一緒ですね)、かつて一度だけ咲かせた事実があると言う。 タイトルの「一朝の夢」はこう言う興三郎の思いからきている。 興三郎は学者肌で朝顔に興味があるだけで、品評会のような場所に作品を出品する気はないが、出せば賞をとれるくらいの実力はあるみたいです。 話は、そんな彼がかつての幼馴染の女性が借金に困っていることから、上出来の朝顔を譲り、それが回りまわって茶人の宗観の目に止まり、親交を深めて行く様子が描かれています。 宗観は実は井伊直弼。 しかし興三郎とは、朝顔を愛でる同志として接する。 一方で、興三郎の家に出入りする三好と言う浪人がいて、実はこれが直弼暗殺者の一人でもある。 当時の政局を詳細に説明している。 しかし興三郎の場面になると、今度は朝顔についての説明。 このギャップが面白いです。 激動の時代にあって、その主役たる人々の中に在り、巻き込まれていながら、朝顔に興味をもっている興三郎。 そこに直弼も三好も癒しを、そしていつかはそう言う時代がくると言う夢をみたのかな、と思う。 興三郎は、直弼にも三好にもその性質を愛され、守られたと言う気がしてならない読後でした。 直弼側、三好側、どちらのサイドにも作者は正誤をつけず、それぞれが国を思っていたとしたところに、個人的に好感が持てました。 そんな熱い思いも、通り過ぎて振り返ってみれば、「一朝の夢」と言うところでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年01月24日 14時16分52秒
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