恨みを越えて by ゆんたま
数年前に勤めていた会社が、この6月に廃業するという話を聞いた。私がそこに居たのはたった4年だったけど、初めてビジネスというものに触れさせてもらった会社だ。我が家では妹が若い頃の数年間、会社勤めしたことがある位で、恥ずかしながら会社組織の仕組みも私はそれまでろくに知らなかった。社長と専務・常務ぐらいまではわかるが、課長と係長ではどっちが上なんだか下なんだか、それすら分からなかった。(^^;ところで、この会社の内容にはかなり問題が多かった。創業者であり事実上のトップだった経営者は、会社に君臨する暴君だった。顧客のことは二の次で、営業マンを「生かさず殺さず」こき使い、何かというと社員を人格攻撃するようなタイプだ。無借金経営は立派かもしれないが、内部留保は経営者夫婦の退職金のつもりらしいので、社員に払うべき退職金は一円も出したくないようだ。現に私自身も、あと数日で退職金がもらえるようになるという時に辞める羽目になり、一銭ももらっていない。わずかな年数しか居なかったので、もらえても大した額ではないけれど。突然解任され、弁護士を立てて交渉してやっといくらかの退職金をもらった管理職もいたぐらいだ。私の場合は、注意のつもりか激励のつもりかしらないが、経営者から夜分に電話で数時間こっぴどく叱られ、それに耐えかねて翌日辞意を伝えて退職した。経営者夫人が私の直属の上司だったのだが、辞意を伝えると「やっぱりね」という表情だった。私にはああいう言い方をすればきっと辞めるだろう、とわかっていたのだと思う。後から考えると、その数ヶ月前からテレマのマニュアルをまとめたりさせられていて、業務の引き継ぎに便利なようになっていたので、私を辞めさせることは夏頃から計画していたのだろう。で、頭に血が上っていたので、退職金のことなんかまるで気がつかなかった。結局、有給消化しても日が足りず、退職金なしで辞めることになったのだ。自分ではパワハラで辞めさせられたと思っている。冷静になって考えればあまりに短慮だったとは思うが、営業成績が伸びなかったので、精神的にかなり追い詰められていて、もうそれ以上耐えられなかったというのが正直な気持ちだ。だから、廃業するという話を聞いて「ざまぁ見ろ!」と思った。私が入社して1年程たった頃に、これまで取り扱っていた商材から胡散臭い健康商材に変わったのだが、それが今になって足を引っ張ったようだ。まだ内部留保がある内に店仕舞いして、自分達夫婦の退職金を確保しておこうというところだろう。社員に払う退職金は一円でも少なく、と今頃必死に画策しているに違いない。そんなこんなで遺恨はあるが、この会社が私にビジネスというものを教えてくれたこともまた確かだ。テレマーケティングとはいえ、一応営業的な業務である。それまで営業なんてまったく縁がなかったので、見るもの聞くもの新鮮で、たくさんのことを勉強させてもらった。精神的にきつい仕事ではあったが、大切な出会いもあったし、あの4年間がなかったら今の自分はなかった。いろんな感情を味わい、いろんな人を見、それまで気づかなかった自分の弱さもわかった。だから、この会社との出会いはきっと必然だったのだろう。そう思えば、すべては感謝、かな。**********************************************森の記憶~スローライフの楽しみ~新規開拓営業支援Navi