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税理士の本音

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[消費税] カテゴリの記事

全37件 (37件中 1-37件目)

消費税の軽減税率の損得は？

　久方ぶりにブログを更新します。　最近、生鮮食品、加工食品等に対する軽減税率の適用範囲を巡る議論が、マスコミに取り上げられています。　仮に軽減税率が適用されるようになると、税理士の実務（中小企業の経理実務）がかなり煩雑になると思いますが、税理士としては、制度が決定されれば、それに従った実務を構築していくしかありません。　制度が煩雑・複雑になるからこそ、税理士の存在価値があるという側面もあるので、その点については、私の手間が増えても仕方がないと思います。　しかし、ここで視点を変えてみて、私が最終消費者であるエンドユ－ザ－の立場から今度の軽減税率の議論を眺めて見ると、日常的に借方・貸方の視点（簿記の視点）で仕事をしているせいか、軽減税率はやめた方が合理的なのではないかと考えます。　消費税の軽減税率が適用されるようになると、１　生鮮食品等を取り扱う事業者は軽減税率に対応するシステム投資を行う必要がある。２　事業者や税理士は従来よりも格段に消費税処理のための時間を要することになる。ｽ-ﾊﾟ-のﾚｼﾞﾍﾟ-ﾊﾟ-１枚を目の前にして、マ－カ－片手に食料品に色を塗るなんて作業をしたら、入力作業の時間が何倍にもなってしまいます。３　軽減税率対象品目を文章（条文）で厳密に定義することは事実上不可能。何をもって加工と定義するのか、加工品の販売とｲ-ﾄｲﾝ（店の中で食べる＝外食）をどうやって分別すれば良いのか。ﾚｼﾞで確認すれば良いという意見もあるかもしれませんが、それだと証跡が残りません。恐らく手間をかけた事業者だけが損をすることにもなるでしょう。４　そして上記の軽減税率導入に伴い事業者に発生したコストは、すべて、エンドユ－ザ－である最終消費者である皆さんに転嫁されます。事業者で発生したコストは、売上で回収するしかありません。　平成２９年４月からの消費税増税を前提に、低所得者層に対する負担軽減を模索するのであれば、各人別に金銭給付する方がはるかに合理的だと思います。　　単純に標準的な国民一人当たりの年間食糧費に増税分の２％を乗じて金銭給付した方が合理的ではないでしょうか。　基礎的食糧費　月額３万円×１２月＝３６万円　一人当たりの金銭給付額　３６万×２％≒７千円　　上記の基礎的食糧費は当てずっぽうな数字ですが、これだと日本の総人口１億２千８百万人（２０１０年国勢調査）を乗じても財源は8,960億円で住みます。　　これから一定の高額所得者を給付対象者から除外していけば金銭給付額はもっと絞れるでしょう。　　現状では適正な所得把握が困難で、高額所得者にも金銭給付をしてしまう可能性がありますが、将来的にはマイナンバ―の制度定着で個人別の所得把握も正確になっていくのでしょうから、その時点で金銭給付を停止すれば良いだけです。　最初から適正な所得把握が困難だという理由で、金銭給付を除外するのはナンセンスです。　これに金銭給付事務を担う市町村のコストを上乗せしても、今朝の新聞報道にあるような、外食分も含めた財源の１兆3千億円よりは安上がりになると思いますし、事業者が余計なコストを抱え込まない分、エンドユ－ザ－に提供する販売価額も据え置かれると思います。　報道機関には、対象品目の範囲や財源の話しだけではなく、軽減税率を適用した場合と金銭給付を適用した場合とのコスト比較など、もう一段掘り下げた議論をしてもらえれば嬉しい。　どちらが制度として、社会的コストが低く、社会的公平・社会的公正に資するのかについても検討して欲しいと思います。　

2015年12月12日

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改正消費税法　附則１８条

　平成２６年４月１日から施行が予定されている改正消費税法に係る景気条項です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・附則（社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律／平成24年8月22日　法律68号） (第1条～第21条) 第18条消費税率の引上げに当たっての措置消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3パーセント程度かつ実質の経済成長率で2パーセント程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。2　税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。3　この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うとともに、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第2条及び第3条に規定する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前2項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・　消費税の増税法案は、一内閣に留まらず、政権与党までをも吹き飛ばすメガトン級の爆弾です。せっかく可決成立した改正消費税法がダメにならないように、政権与党は死にもの狂いで景気対策を打ってくるのではないでしょうか。だから景気条項は発動されず、予定通り平成２６年４月１日から消費税率は増税されるのではないかと予想しています。　いずれにしても消費税率が１０％に上がるということを前提に事業計画を練る必要がありますね。

2012年12月28日

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消費税の益税？　その２

　昨日の日記ですが、表題に対する結論が述べられていませんでしたね。　昨日説明したとおり、消費税法では事業者に消費税の徴収を義務付けていません。　したがって事業者には消費者からの預り金は存在しない、というのが正しい法律的解釈です。そのため、理論的には、事業者には消費税の益税は発生していない、と結論付けることができます。　それでは消費税とは何かということになると、本質的には、事業者で発生した付加価値を課税標準とする付加価値税ということになります。　税金の負担者は事業者、税金を納める者も事業者ということになりますね。　もちろん事業者にとっては付加価値税たる消費税は原価の一部を構成するので、次の譲受人に転嫁しようとしますが、当事者の力関係によっては転嫁できないこともある、その価格決定力のない事業者に対する緩和措置として小規模事業者に対する納税義務の免除規定などを眺めれば、これらの消費税の負担を軽減させる特例制度には、それなりの存在価値があると考えることができます。　決して一部のマスコミや一部の経済評論家が述べるように、消費者からの預り金をネコババさせる規定ではない、ということができます。　木村裕税理士事務所　

2012年08月24日

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消費税の益税？

　みなさん、こんにちは。木村裕です。　消費税を語る場合に、マスコミなどで「事業者に益税が発生している」と報道されることがあります。　一般に想定されている益税とは、簿記会計における仮受消費税（売上の際に預かった消費税）と仮払消費税（仕入及び経費等の支出の際に支払った消費税）の差額を事業者が本来納付すべき税額として規定し、消費税法の特例的取り扱いにより本来納付すべき税額よりも少額の税額しか納めなかった場合の当該差額相当額、として理解されています。　このような差額（益税）を生じさせる特例規定としては、小規模事業者に対する納税義務の免除規定や、仮払消費税の概算計算である簡易課税制度などがあります。　一般的に上記の特例規定の設定趣旨は、小規模零細事業者の納税事務負担に対する配慮として説明されています。　確かに、小規模事業者に対する納税事務負担に対する配慮という側面もあるかもしれませんが、、別の視点で見れば、付加価値税を譲受人（消費者）に転嫁できない零細事業者に対する救済措置としての役割も果たしています。　消費税は一般的に消費者からの「預り金的性格のもの」として認識されていますが、厳密に言うと消費者からの「預り金」ではありません。　なぜなら、消費税法の規定には、所得税法の給与等の支払者に対する源泉徴収義務のような規定は設けられていないからです。　それはなぜか。　それは資産の譲渡等を行う取引当事者の値決めの問題だからです。値決めの問題は取引当事者の力関係で決するものであり、法律によって規定されるべき性質のものではありません。　仮に、消費税法で、「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を徴収し、これを国に納付しなければならない」と規定したとしても、力のある者は、消費税を上乗せする前の税抜対価の額を引き下げるように要求するでしょう。法律に規定しても実効性がないものは条文化されません。　今はｴﾝﾄﾞﾕ-ｻﾞ-である最終消費者の逆進性だけが問題にされている感がありますが、価格決定力のない小規模零細事業者に対する緩和措置も必要であると考えています。　木村裕税理士事務所　

2012年08月23日

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消費税のお勉強その６（最終回）

今月末期限の法人税の申告書も今週末には完成する予定です。税理士の仕事って、時間（期限）に追われながら仕事をするという点に関しては、漫画家さんの仕事に似通っている部分があるかもしれませんね。（笑）先週から、パートの方に私の事務所の仕事を手伝ってもらっています。良い方に巡り合うことができて心強いです。他にも、私の事務所の求人に際しては、多くの方からご応募をいただきました。私の事務所を手伝っていただくには、もったいないくらい、立派な経歴をお持ちの方ばかりでした。私のブログを見ていらっしゃる方もいらしたので、この場を借りて厚く御礼申し上げます。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○ テーマ11　申告・納付（１）中間申告消費税に限らないことですが、直前の計算期間（消費税の場合は「課税期間」）において、一定の税額が出た納税者については、税法の規定により中間申告義務を課しています。一般的に安定・平準的な歳入（国の収入）の確保の観点から、中間申告制度が設けられています。中間申告は仮（予納）の税金ですから、確定申告の際に算出した税金の額から控除（精算）されます。中間申告税額の方が確定申告税額よりも大きかった場合には、中間申告に際して余分に徴収された金額は、利子（還付加算金）が付されて納税者に還付されます。☆中間申告の回数　消費税の中間申告の回数は、直前課税期間の消費税額の大きさによって、定められています。直前課税期間の消費税額（年税額）が48万円以下であれば中間申告は不要ですが、直前課税期間の消費税額が4800万円超の場合には、年11回の中間申告が必要となります。☆中間申告税額の計算方法　消費税の中間申告税額の計算方法には、（１）前課税期間実績によるものと（２）仮決算によるものがあります。　（１）の前課税期間実績とは、前課税期間の確定消費税額をベースに自動的に中間申告税額を計算する方法のことです。（２）の仮決算の方法とは、中間申告の対象期間を一課税期間とみなして、その課税期間中の課税売上高と課税仕入等の税額により中間申告税額を計算する方法のことです。（３）確定申告事業者は課税期間終了の日の翌日から2月以内に消費税の確定申告書を提出する必要があります。会社であれば、通常、法人税の確定申告書と一緒に提出することになります。（法人税の確定申告書の提出期限も、その事業年度終了の日の翌日から2月以内とされているため。）　ただし、個人事業者の場合には、課税期間が暦年（1月1日から12月31日まで）のときには、翌年3月31日が消費税の確定申告期限となります。　

2007年11月23日

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消費税のお勉強その５

○ テーマ10　税額控除等（１）課税仕入に係る消費税額の控除A　概要　消費税の納税額の計算は、課税標準額に対する消費税額（課税売上の際に預った消費税額のことです。）から課税仕入等の税額（商品の仕入・経費の支払などの際に事業者が支払った消費税額）を控除することにより計算すると説明しました。　上記のことをより正確に説明すると、課税仕入等の税額のうち課税売上に対応する部分の金額だけが、課税標準額に対する消費税額から控除される課税仕入等の税額となります。　算式で示すと以下のようになります。　課税仕入等の税額×課税売上割合＝控除対象仕入税額　課税売上割合＝課税売上高 / 課税売上高＋非課税売上高（４つの課税対象要件を満たす収入）　つまり非課税売上に対応する課税仕入等の税額については、消費税の控除対象としないということです。　非課税売上の場合には、課税仕入に含まれる消費税額は、最終消費者に転嫁されないこととなりますから、非課税売上を行った事業者が最終消費者として消費税を負担することになります。　上記のように、実際の課税仕入等の税額のうち課税売上に対応する部分の金額を控除対象仕入税額とする方法を、本則課税又は原則法と呼びます。　課税標準額に対する消費税額から控除される課税仕入等の税額の計算方法には、上記の原則法の他に、簡易課税と呼ばれるものがあります。　簡易課税とは、事業者が商品仕入などに際して、実際にいくら消費税を払ったかに関わらず、概算により課税仕入等の税額を求める方法です。　算式を示すと以下の通りとなります。　課税標準額に対する消費税額×みなし仕入率　実際の課税仕入等の税額を用いずに、事業者が営む業種ごとに定められているみなし仕入率を課税標準額に対する消費税額（売上に係る消費税額）に乗じることによって、課税標準額に対する消費税額から控除する課税仕入等の税額を計算します。　例えば卸売業を営む事業者のみなし仕入率は９０％ですが、卸売業者であれば、課税売上100に対して、90程度の課税仕入等が生じているだろうという仮定のもとで控除対象消費税額を計算することになります。B　本則課税（原則法）　課税標準額に対する消費税額から控除する課税仕入等の税額（以下「控除対象仕入税額」と表現します。）は、課税仕入等の税額に課税売上割合を乗じて算出すると説明しました。　しかし、課税売上割合が９５％以上の場合には、その課税仕入等の税額の殆どが課税売上に対応する状況に鑑みて、課税仕入等の税額の全額が、控除対象消費税額となります。　課税売上割合が９５％未満の場合には、消費税本来の考え方に立ち戻って、課税売上割合に対応する部分だけが控除対象仕入税額となります。課税売上に対応する課税仕入等の税額の算出方法として、消費税法上２つの方法が定められています。☆個別対応方式　個別対応方式とは、先ず課税仕入等を（１）課税売上対応分（例えば商品の仕入など）（２）課税売上・非課税売上共通対応分（課税業務と非課税業務の両方を行っている事務所の家賃など）（３）非課税売上対応分（土地の整地費用など）に分類します。　課税仕入等のうち、（１）の課税売上対応分に係る課税仕入等の税額は全額控除対象とし、（２）の共通対応分に係る課税仕入等の税額は課税売上割合を乗じて算出した金額だけを控除対象とし、（３）の非課税売上対応分に係る課税仕入等の税額については、全額控除対象としない、という計算方法です。　算式で示すと以下の通りとなります。　課税売上対応分の課税仕入等の税額＋共通対応分の課税仕入等の税額×課税売上割合　＝控除対象仕入税額　☆　一括比例配分方式　一括比例配分方式は、個別対応方式のように、課税仕入を分類せず、全体の課税仕入等の税額に課税売上割合を乗じて控除対象消費税額を算出します。　算式を示すと次の通りです。　課税仕入等の税額×課税売上割合＝控除対象仕入税額☆個別対応方式と一括比例配分方式の選択摘要　原則法（本則課税）により消費税を計算するに際して、個別対応方式と一括比例配分方式のいずれの方法を採用するからは、事業者の自由選択です。　ただし、いったん一括比例配分方式を選択した場合には、最低2年間の継続適用が要求されます。C　帳簿及び請求書等の保存　原則法（本則課税）により控除対象仕入税額を計算する場合には、実際に課税仕入れが存在したか否かを判断するための資料として、一定の事項を記載した帳簿と課税仕入等の相手方から交付される請求書等を会社内部に一定期間保存しておく必要があります。　保存がない取引については、原則的に、課税標準額に対する消費税額からの控除が認められません。D　簡易課税制度　簡易課税は、概算で控除対象仕入税額を計算する方法です。　小規模零細事業者の事務負担（帳簿請求書等の保存・課税仕入の分類など）への配慮から、原則として、その適用を受けようとする課税期間の直前課税期間までに「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、みなし仕入率を用いて、控除対象仕入税額を計算することができます。　いったん簡易課税制度を選択した場合には、「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出するまでの間は、原則法（本則課税）により、控除対象仕入税額を計算することはできません。また、簡易課税については、最低2年間の継続適用が法律上要求されています。（２）売上に係る対価の返還等に係る消費税額　事業者が売り上げた商品について、値引き・返品等があった場合には、その値引・返品により返還した対価に含まれる消費税について、課税標準額に対する消費税額からの控除（税額控除）を認めるという制度です。　算式を示すと次のようになります。　売上値引きによって返還した対価の額又は減額した売掛金の額×４／105（３）　貸倒れに係る消費税額　事業者の課税売上に係る金銭債権（売掛金・受取手形）などが回収不能となった場合には、その回収不能額に消費税額について、課税標準額に対する消費税額からの控除（税額控除）を認めています。　貸倒れ（回収不能）の認定は、（１）法律的に債権が消滅したか（２）経済的実態からみて債権が消滅しているか（３）一定の形式基準により貸倒れとみとめられるか、により判定されます。

2007年11月16日

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消費税のお勉強その４

○ テーマ６　消費税の納税義務の判定（１）　費税の納税義務者消費税法の5条において、「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務（消費税の申告書を提出して、税金を納付する義務のある人という意味です。）がある。」と規定しています。　課税資産の譲渡等とは、消費税の4つの課税対象要件を満たしている取引（課税対象取引）のうち、非課税取引とされる取引以外のものをいいます。　上記規定から、読み取って頂きたい内容は、消費税を納めるのは、国内において課税資産の譲渡等を行った事業者（つまり「売り手」）だということです。消費税を負担するのは商品を購入して最終的に消費する人ということになります。（2）小規模事業者に係る納税義務の免除消費税法の5条において、事業者が課税資産の譲渡等を行った場合には消費税の納税義務があると規定していますが、小規模零細事業者の納税事務負担に対する配慮から、法律で定める基準額以下の取引しかない事業者に対しては、消費税法の9条1項において、消費税の納税義務を免除する旨の規定が設けられております。　その規定の要旨は以下の通りですが、会社であれば基準期間（前々事業年度）の課税売上高（消費税抜きの金額）が1000円以下であれば、原則として、消費税の納税義務が免除されることとなります。　その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1000万円以下の事業者については、原則として、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等について、消費税の納税義務を免除する。※課税期間とは、消費税の計算期間のことをいい、基本的には会計上の計算期間（会計期間）と一致します。（会社であれば事業年度、個人事業者であれば暦年となります。）※基準期間とは、消費税の納税義務などを判定する際の基準となる期間のことをいい、原則として、個人事業者であればその年の前々年、法人であればその事業年度の前々事業年度となります。　　（3）課税事業者の選択基準期間における課税売上高が1000万円以下の場合には、原則としてその課税期間（会計上の「当期」）の消費税の納税義務は免除されますが、事業者は課税事業者選択届出書を提出することにより課税事業者となることができます。課税事業者選択届出書の提出の効果は、原則として、届出書を提出した課税期間の翌課税期間からです。※（３）の選択届出書を提出した場合には、原則として最低2年間、課税事業者の状態が継続することとなります。（4）課税事業者選択不適用の届出　事業者が（３）の課税事業者選択届出書を提出した場合には、「課税事業者選択不適用届出書」を提出するまでの間、（３）の課税事業者の選択届出の効力は持続します。課税事業者の選択をやめようとする場合には、忘れずにの不適用届出書を提出する必要があります。　（３）の選択届出書の効力が喪失するのは、（４）の届出書を提出した課税期間の翌課税期間からとなります。（４）基準期間がない法人の納税義務の免除の特例例えば、新規に立ち上げた法人の場合には、基準期間（前々期）は存在しないこととなります。基準期間が存在しない場合には、基準期間の課税売上高自体も存在しないわけですから、原則とて、（２）の小規模事業者に係る納税義務の免除規定により、消費税の納税義務は免除されます。但し、基準期間が存在しない法人（会社と考えて頂ければ結構です。）であっても、期首資本金の額が1000万円以上の法人については、消費税の納税義務が免除されないことなります。　（５）その他上記のほかに、相続により事業を承継した場合や、企業合併や企業分割が生じた場合に、事業者の納税義務判定の際の基準期間における課税売上高をどのように計算するかなどについても消費税法に定められていまが、実務における使用頻度が少ないため、説明を割愛させていただきます。○ テーマ7　資産の譲渡等の時期消費税の課税売上の認識時点（計上時期）は、原則的に企業会計の実現基準（引渡し基準）と同じです。但し、法人税や所得税の所得金額を計算するに際して、割賦基準などを適用している場合には、一定の要件のもとに、消費税法においても、資産の譲渡等の時期の繰り延べなどを認めています。○ テーマ8　納税地（1）納税地の意義　納税地とは、各種税金について申告などをする際の基準となる場所のことをいいます。その場所を管轄する税務署が、申告などの提出窓口となります。（2）消費税の納税地　個人事業者については、原則として、その個人事業者の住所地が納税地となります。住所地とは、当該個人の生活の本拠となる場所のことをいい、基本的には、住民基本台帳に登録されている場所となります。　法人（会社）については、原則として、その本店所在地が納税地となります。本店とは、会社の本社のことをいい、会社の登記簿謄本に本店所在地として記載されている場所のことをいいます。○ テーマ9　課税標準及び税率（1）課税標準課税標準とは、税金を課する場合の基準となる金額・数量などのことをいいます。例えば法人税であれば会社の利益金額が法人税の課税標準となりますし、所得税であれば個人の所得金額が課税標準となります。自動車税であれば車の排気量が課税標準となります。このように、税金の種類によって、それぞれ異なる課税標準が設けられています。　　消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額（基本的には消費税が課税される売上金額のことです。）が課税標準となります。消費税の課税標準は消費税抜きの金額となりますので、課税売上高に１０５分の１００を乗じて、課税標準額を求めることとなります。　なお、105分の100を乗じた金額に千円未満の端数が生じた場合には、その千円未満の端数は切り捨てとなります。（2）税率消費税の税率は４％です。地方消費税の税率は1％となります。上記（1）の課税標準額に消費税の税率4％を乗じて、課税標準額に対する消費税額（課税売上に係る消費税額）を算出します。

2007年11月13日

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消費税のお勉強その３

研修会の講師をお引受けするのは嫌いではないのですが、参考資料の作成が結構大変です。たいしたことを書いているわけではないのですが、それなりに時間がかかってしまいます。（苦笑）独立開業当初の税理士であれば、最初の１、２年は仕事が余り無いので、専門学校の簿記検定講座や税理士講座の非常勤講師による収入が結構ありがたかったりします。（笑）・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○ テーマ５　輸出免税取引（１）輸出免税取引の定義消費税法の7条1項に次のような規定があります。事業者（個人事業者及び法人のことです。）が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものについては、消費税を免除する。A　本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付B　以下省略　　上記の規定の表現のうち、1行目後半の「課税資産の譲渡等のうち」と表現されている部分に注目してください。消費税の課税対象要件を満たす取引のうち非課税取引に該当しないものを「課税取引（課税資産の譲渡等）」と呼んでいます。輸出免税取引は課税取引に該当します。（２）輸出免税取引の内容例えば、日本の自動車メーカーが国内の工場で製造した車を海外に輸出した場合に、その輸出した車の販売代金に係る消費税については、免除することとしています。課税取引なのに消費税が免除されるということから、上記のような輸出免税取引に係る売上のことを「0％課税売上」と表現することもあります。（３）輸出免税取引が必要とされる理由　消費税の負担者は、商品を販売した事業者（納税義務者）ではなく、最終消費者だと前のテーマで説明しました。輸出取引に消費税を課した場合、その消費税を負担する人は、最終消費者（海外に所在する人）ということになってしまいます。国内で消費される物やサービスに対してのみ消費税を課する（消費地課税主義）ということが国際慣行になっているようですから、輸出取引については消費税を免除することとしています。また輸出免税取引が課税取引とされている理由は、当該輸出された資産を製造するに際して生じた消費税額（原材料の購入費に係る消費税額など）を当該輸出を行った事業者に負担させないためです。消費税の負担は、販売をする事業者ではなく、当該資産の最終消費者が負担するのですから。（４）　課税対象外取引・非課税取引・輸出免税取引の相違点消費税が課されないという点では同じですが、消費税の納税額の計算に対する影響という点では、上記３つの取引は異なります。課税対象外取引は、消費税の計算に一切関係させないのに対して、非課税取引及び輸出免税取引は、消費税の計算に影響を与えます。非課税取引は、課税売上割合の分母にのみ取引金額を加算し、輸出免税取引は、課税売上割合の分母及び分子に取引金額を加算する（その分だけ課税売上割合が上昇する・仕入に係る消費税額の控除額がおおきくなる。）ことになります。　【例題】　次の資料（全て消費税抜きの金額）に基づき、当社が納付すべき消費税額及び地方消費税額の合計額を、計算過程を示して答えなさい。なお、当社の基準期間における課税売上高は1000万円超であり、簡易課税制度選択届出書は提出していない。課税標準額に対する消費税額から控除する課税仕入等の税額の計算は、一括比例配分方式によること。（１）売上に関する資料　商品の売上高（全て課税資産の譲渡等に該当する。）　A　国内販売分　2000万円　B　輸出販売分　3000万円　　遊休地の貸付に伴う賃貸料収入　5000万円（２）仕入・経費に関する資料　A　商品の仕入高　3000万円　B　その他の経費　6000万円（当該経費のうち消費税の課税取引は3000万である。）★ 解答（１）　課税標準額　　　　2000万円（２）　課税標準額に対する消費税額　　　（１）×４％＝80万円（３）課税仕入等の税額　　　A　課税売上割合　　　　2000万＋3000万円/2000万＋3000万+5000万＝50％　　　B　課税仕入等の税額　　　（3000万+3000万）×4％×50％＝120万円（４）国税の還付税額　　　（３）－（２）＝40万円（５）地方消費税額の還付税額　　　（４）×２５％＝１０万円（６）消費税額及び地方消費税額の還付税額合計　　　（４）＋（５）＝50万円

2007年11月11日

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消費税のお勉強その２　

日記投稿につき、字数制限に引っかかってしまいましたので、制限超過部分を追加します。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・【例題１】　次の取引のうち、非課税取引に該当するものを選択しなさい。（１）金融機関から受け取った預貯金の利息（２）土地の貸付（貸付期間1月以上）（３）一般の株式の譲渡（株式の譲渡は一定のものを除き、原則非課税となります。）（４）ゴルフ場利用株式の譲渡（実態はゴルフ会員権の譲渡と考えます。）（５）失火に伴う火災保険金の受け取り（対価を得て行われる資産の譲渡等には該当しま　　　　せん。即ち課税対象要件を満たさない課税対象外取引に該当！）（６）住宅の貸付（住宅の賃借料に消費税が貸されたら嫌ですよね！法律も考慮してま　　　　　　す。）（７）駐車場の貸付（アスファルト舗装されている。）（８）店舗の貸付（９）手形の割引料（性質が利息に準じます。）（１０）商品券の売却（商品券を使って実際の物の売買を行えば・・・。）（１１）住民票の交付手数料（行政手数料は原則非課税です。）★ 解答　非課税取引に該当するもの・・（１）　（２）　（３）　（６）　（９）　（１０）　　　　　　　　　　　　　　　（１１）【例題2】　次の資料に基づいて、当社が納付すべき消費税額を計算しなさい。　なお、当社の基準期間における課税売上高は1000万円超であり、簡易課税制度選択届出書は提出していない。課税標準額に対する消費税額から控除する課税仕入等の税額の計算は、一括比例配分方式によること。（１）商品の売上高（すべて課税資産の譲渡等に該当する。）　　　3000万円（２）非課税売上高（保有する土地を売却した代金）　　　2000万円（３）課税仕入れ　　　商品の購入代金　2000万円　　　その他当社の経費のうち消費税が課された取引　500万円※ 取引金額は全て消費税抜きで表している。★ 解答（１）課税標準額　　30,000,000（２）課税標準額に対する消費税額　　30,000,000×４％＝1,200,000（３）課税仕入等の税額　　A　課税売上割合　　30,000,000 / 30,000,000+20,000,000＝６０％　　B　課税仕入等の税額　（20,000,000＋5,000,000）×4％×60％＝600,000（４）納付税額　　（３）－（４）＝600,000（５）地方消費税額　（４）×　２５％　＝　150,000（６）消費税額及び地方消費税額の合計額　　（４）＋（５）＝750,000

2007年11月09日

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消費税のお勉強その２

本日は２回目です。概ね２日間程度（約１０時間）で、消費税の概要を説明して欲しいということでしたので、細部については説明を割愛しておりますが、消費税の全体像については理解していただけるように工夫しております。この後何回かに分けて公開いたしますので、実務でこれから消費税を勉強しなくてはならない方、ご参考になさってください。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○ テーマ３　課税対象取引消費税の課税対象となる取引については、消費税法４条１項その他の規定において、次の４つの条件の全てを満たす取引であることが要求されています。（１）国内取引であること（２）事業者が行う取引であること（３）事業として対価を得て行われる取引であること（４）資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供取引に該当すること※ 消費税の課税対象要件の検討（１）国内取引であること消費税の課税対象となる取引は、国内取引に限定されています。国内取引に限定される理由は、国際慣行として「消費地課税主義」が採用されているためです。消費税は、財やサービスの消費という事実に基づいて課税が行われますが、外国において消費された財やサービスに対してわが国が課税を行ったら、感覚的にちょっと変ですよね。（青森市内のホテルのレストランで食事をした際に、外国の消費税が課されてしまったら感覚的に変ですよね。それと同じです。）　ちなみに「国内」という言葉は、消費税法２条１項１号に規定されており、「消費税法という法律が施行されている地域」と定義されています。そしてその国内で行った取引であるかどうかの判断基準は、消費税法４条３項に規定されており、その内容は以下の通りとなっています。資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める場所が国内にあるかどうかにより行うものとする。イ　事業者の行為が資産の譲渡又は貸付けの場合　その譲渡又は貸付が行われるときにおいてその資産が所在していた場所ロ　事業者の行為が役務の提供の場合　その役務提供が行われた場所上記の内容を簡単に説明すると、お店で商品を販売する又はレンタルビデオ店においてビデオをお客さんに貸し出すといった場合に、そのお店の商品やビデオの所在していた場所が日本国内であれば国内取引に該当します。またロの役務提供（サービスの提供）の場合には、そのサービスが行われた場所が国内であれば国内取引ということになります。従って、例えば青森市内のホテルに宿泊した場合には、宿泊というサービスを受けた場所は国内ということになりますから、国内取引に該当します。（２）事業者が行う取引であること事業者という言葉についても、消費税法2条において定義規定が設けられています。税法の勉強をする場合には、基本的に法律に規定されている言葉（専門用語）の定義を押さえて、税法の条文を読み進めていく形となります。事業者とは個人事業者及び法人をいう。個人事業者は事業を行う個人をいう。消費税法では、消費税の課税対象となる取引は、個人事業者と法人が行う取引に限定しています。従ってサラリーマン（給与所得者）が自家用車を売却した場合や自宅マンションを売却した場合には、事業者が行う取引には該当しませんから、当該取引について消費税は課されないこととなります。ちなみに法人とは権利義務の主体となり得る法律上の地位（契約の当事者となる資格）を与えられた人の集団（社団）などのことをいい、法人は法律の根拠に基づいて設立されます。代表的な法人は、皆さんご存知の「株式会社」ということになります。（３）事業として対価を得て行われる取引であること「事業として行う」とは、対価を得て行われる資産の販売等（資産の譲渡等）が反復・継続・独立して行われることをいいます。（基本通達5-1-1）反復・継続とは、「繰り返し（反復）の状態が続く（継続）」という形で理解して頂ければ結構です。法律で明確に定義するような言葉ではありませんので、実態（常識）で判断することになります。独立という言葉も同じく抽象的ですが、意味合いとしては、給与所得者と異なり「自己の責任で仕事をしている」「その仕事によって生計を立てている」ということになるでしょうか、こちらも実態で判断することになります。なお、法人（株式会社など）が行う取引は、全て事業として行う取引に該当する旨、通達に規定されています。従って事業として行う取引に該当するか否かの判断が必要な取引は、個人事業者が行う取引に限定されます。「対価を得て行われる取引」とは、資産の販売等（資産の譲渡等）に対して反対給付を受けることをいいます。（基本通達5-1-2）　反対給付を受けるというのは、資産の譲渡等の見返り（通常であれば販売代金）を受けるということですから、タダ（無償）で商品を販売した場合には、原則として消費税は課されないこととされています。　（４）資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供取引に該当すること資産の譲渡とは、資産につきその同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいう。（基本通達5-2-1）事業者の行う取引が、資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供（役務の提供とは、サービスの提供のことをいいます。）に該当するか否かは、常識で判断していただければ殆ど大丈夫だと思いますが、そのうち資産の譲渡については、上記通達のように、「資産の同一性の保持」が必要とされています。従って、賃貸借契約に係る賃借権の消滅（権利の消滅）により、立退き料を受け取ったとしても、その取引は、「資産の同一性を保持」していませんので、資産の譲渡には該当しないことになります。【例題】　次に掲げる取引について、消費税の課税対象要件を充足しているか否か判定しなさい。（１）中国に所在する工場の建物及び敷地を、2億円で譲渡した。※ ヒント　資産の譲渡をしたときの国内取引の判定基準は何でしょうか？（２）アメリカに本店を置く株式会社（税法の世界では「外国法人」と表現します。）が、日本国内に保有する不動産を年間1000万円の賃借料で貸し付けた。※ ヒント　資産の貸付をした場合の国内取引の判定基準は何でしょうか？（３）当社は、当社製品のアメリカでの広告宣伝活動を、国内の広告宣伝会社に1000万円で依頼した。※ ヒント　役務提供が行われた場合の国内取引の判定基準は何でしょうか？（４）給与所得者（サラリーマン）が自家用車を50万円で売却した。※ ヒント事業者の定義は何だったでしょうか？　サラリーマンは個人事業者に該当しますか？（５）個人事業を営むAさんは、自家用車（商売では一切使用していません。）を５０万円で売却した。※ ヒント　Aさんは個人事業を営んでいますから、個人事業者に該当します。では、商売では一切使用していない自家用車の売却（生活用資産の売却）は、「事業として行う取引」に該当するのでしょうか？（６）個人事業を営むAさんは、店の商品を友人のBさんに無償で譲渡した。※ ヒント　消費税の課税対象要件に「対価を得て行われる取引」という条件がありました。無償の場合に、この条件をクリアーすることができるでしょうか？（７）漁業を営業目的とするA株式会社は、漁業権消滅の対価として、補償金1億円を取得した。※ ヒント　資産の譲渡に該当するためには、「資産の同一性を保持」しつつ「移転」することが必要でした。A株式会社は漁業権という権利の消滅に伴い補償金を取得しましたが、漁業権の消滅は、「資産の同一性を保持」していると言えるでしょうか？○ テーマ４　非課税取引（１）テーマの概要　テーマ３において、消費税の課税対象要件を学習しました。消費税の課税対象となる取引は、１・国内取引であること２．事業者が行う取引であること３．事業として対価を得て行われる取引であること４．資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供取引に該当することが必要とされました。　基本的に上記の4つの要件を充足する場合には、消費税が課税されて取引となります。しかし一定の理由（消費税の課税対象とするのになじまない取引の存在や社会政策上の観点から消費税を課することが適当ではない取引の存在）から、消費税の課税対象要件を満たす取引であっても、消費税を課さないこととしている取引が存在します。そのような取引を消費税の世界では、「非課税取引」と呼んでいます。　非課税取引は、あくまでも例外的存在ですから、限定列挙という形で、消費税法の別表第一に非課税となる取引が記載されています。（２）具体的内容　非課税取引は、消費税の課税対象要件を満たしますが、消費税法の別表１により例外的に消費税が課されないこととされています。　消費税は、税金の名称どおり、「消費」という事実に基づいて、税金が課されますので、「消費」の対象と考えにくい土地や有価証券の譲渡などは、消費税は課されないこととなっています。また一般の営利法人を前提に考えると、貸付金の利子及び保険料の支払い・切手・印紙（証紙）の購入、商品券・プリペイカードの購入、住民票の交付手数料などの行政手数料などの支払いも非課税取引（非課税の仕入）となります。　また、公的保険に係る医療サービスの給付なども非課税とされていますが、これも人間の生命にかかわるような役務の給付に対して消費税を課するのは非常識（国民感情が許さない。）という観点から、非課税項目として列挙されています。（３）非課税取引と課税対象外取引（課税対象要件を満たさない取引）との相違点　非課税取引も課税対象外取引もどちらも消費税が課されないという点では同じです。それでは何ゆえに消費税の世界では、消費税が課されない取引として「非課税取引」と「課税対象外取引」の概念区分を行ったのでしょうか？　税理士試験等において体系的に消費税の勉強をしたことのの無い会計事務所の職員の中にも、往々にしてこの違いを理解していない（上手く説明できない）人がいます。以下その違いについて説明します。　両者の違いは、消費税の計算体系（納税額の計算体系）に関係してくるか否かです。　課税対象外取引は消費税の計算に一切関係させませんが、非課税取引は消費税の計算に関係してきます。消費税の納税額＝課税標準額に対する消費税額（売上の際に預った消費税額のことです。）△課税仕入れに係る消費税額（商品仕入・経費の支払の際に支払った消費税額のことです。）×課税売上高／課税売上高＋非課税売上高（当該割合のことを課税売上割合といいます。）※前のテーマで、消費税の納税額は、お客さんから預かった消費税額から事業者が立替払いした消費税額を控除した金額だと説明しましたが、より詳細に説明すると、基本的には、事業者が商品仕入等の際に支払った消費税額の全額が控除対象となるのではなく、支払った消費税額のうち課税売上に対応する部分の金額についてだけ、控除が認められます。非課税売上は、課税売上割合に影響を与える（消費税の計算に影響を与える。）という点で、課税対象外取引と異なります。

2007年11月09日

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消費税のお勉強　その１

今月は、少し時間を要する法人の決算を抱えていて忙しいため、日記の更新の代わりに、1年前にお受けした研修会のレジュメ（自作。但し間違ってるかもしれません。笑）を分割して公開していきたいと思います。消費税に興味のある方、参考にしてください！・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○テーマ１　消費税とは何か？　税金を負担する人（担税者）と税金を納める人（納税義務者）が同一の税金を直接税と呼び、担税者と納税義務者が異なる税金を間接税と呼びます。　消費税は、税金を負担するのは最終消費者であり、実際に税金を納める人は商品を販売した事業者（売り手）となります。従って消費税は間接税にカテゴリーされます。　消費税は国が課する消費税（４％）と地方が課する消費税（１％）により構成されていますが、消費税の徴収は地方分も含めて国が一括して行い、しかるべき後に国から地方公共団体に地方消費税の額が交付されることになります。また近頃、新聞テレビ等の報道において、国の財政再建の観点から消費税の増税問題がよくとりあげられています。これは、消費税（間接税）の税収は一般的に景気変動による影響が少ないため、税収の見通しが立て易いというところに、理由の一つがあると思われます。所得税・法人税（直接税）の場合ですと、景気が悪くなると、サラリーマンの給与や会社の所得が減少するのが一般的ですから、当然税収は減少します。※ 参考　「消費税1％あたりの税収」　平成18年度の国の一般会計の歳入総額（財務省公表）を見ますと、消費税の歳入が10兆5380億円となっています。国税の消費税は4％ですから、消費税１％あたりの歳入は約2兆6000億円程度となります。○ テーマ２　消費税の概要（全体のイメージ）　消費税は会社や個人事業主が商品を売り上げた際にお客さんから預った消費税の額から、その売却した商品を仕入れる際などに支払った消費税の額（つまり立替払いした消費税の額）を控除した金額が納付税額となります。算式で示すと以下の通りとなります。　　売上の際に預った消費税の額－商品仕入などの際に立替払いした消費税の額＝消費税の納税額※上記の算式から、消費税の納付税額の計算の具体的イメージをつかんでもらうとともに、商品を販売した事業者が「消費税の納税額」を負担しているのではないことを理解してください。ちなみに、事業者が開業間もなくで、売上がゼロの場合には、商品仕入などに際して立替払いした消費税の額は、一定の手続きにより還付されます。詳しくは後述します。　【例題】　A株式会社は当期（平成18年1月1日～平成18年12月31日）における商品（全て消費税が課される商品です。）の売上高の総額は、21,000,000円（消費税込み。以下同じ。）であった。商品の仕入高が10,500,000円で、その他消費税が課される経費の支払（通信費や水道光熱費など）は5,250,000円であった。この場合においてA社が当期に係る消費税として納付すべき金額を求めなさい。※ A株式会社は、本則課税を採用しており、当期の課税売上割合は９５％以上である。また、基準期間における課税売上高は、1000万円を超えている。（この部分のコメントについては、現段階では無視して頂いて結構です。上記例題について別解が生じないように念のために付したコメントです。上記の四角で囲った計算式にあてはめて上記例題を解いてみましょう。）【解答】（1）課税標準額（税額を計算する際の基準となる金額のことです。）　　　　　2100万円×100/105＝2000万円（２）課税標準額に対する消費税額（お客さんから預った消費税のことです。）　　　　　2000万円×4％＝80万円（３）課税仕入等の税額（立替払いした消費税のことです。）　　　　　（1050万円＋525万円）×4/105＝60万円（４）納付税額（国に納付する消費税額です。）　　　　　（２）－（３）＝20万円（５）地方消費税額（地方公共団体に納める消費税額です。）　　　　　（４）×25％＝5万円※ 地方消費税額は、国（4％）に対応する納税額の４分の１相当額（1％分）を納付してもらいます。

2007年11月07日

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消費税増税？

2週間ぶりに日記の更新をいたします。最近立て続けに新規関与のご依頼を受けていたため、ご無沙汰しておりました。昨年も8月頃から今年の3月くらいまでの間に、新規の関与依頼が集中しましたので、もしかしたら今年も去年のパターンを踏襲するのかな？と期待しております。（笑）今朝の新聞各紙を読んでみると、消費税の増税論議が各紙の一面を飾っておりました。各紙記事の内容を要約すると、「1.社会保障費が今後増大する。2.社会保障費の増大によって基礎的財政収支（公債発行などを除いた収入と過去に発行した公債に係る元利払いを除外した支出との収支）を均衡させるという政府目標の達成が困難になる。3.故に社会保障費の増大分を消費税の増税によって賄う。」ということでした。先の参議院選挙で、与党は歴史的惨敗をきっしてしまいましたので、本来であれば今年の年末の自民党税制改正大綱に織り込まれる予定であった消費税率のアップも当面は延期されるであろうと予測しておりましたが、予測よりもかなり早い段階において消費税論議が再び政策の遡上にあがってまいりました。従来であれば選挙前の増税論議はタブー、増税は選挙のない年に行う、というのが従前の政治のあり様だっと思いますが、従前の政治のあり様が通用しなくなってきた昨今においては、本来あるべき姿にもどるべき、という政治的判断が働いたのかもしれません。消費税増税の是非はともかくとして、議論の俎上に載せること自体は悪いことではないと思います。各政党の政策論議に注目していきたいと思います。

2007年10月18日

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消費税の申告期限

　通常は所得税の申告書と消費税の申告書を同時に提出される方が多いと思いますが、個人事業者の消費税の申告書の提出期限は３月３１日までとなっています。　消費税の計算は、本則課税の場合は基本的に、仮受消費税（お客さんから預った消費税）から仮払消費税（商品仕入・経費支払の際に支払った消費税）を控除することにより算出されますが、簡易課税を選択した場合には、仮払消費税を概算（仮受消費税×みなし仕入率）で求めることになります。　簡易課税の選択にあたっては、原則として、その適用を受けようとする課税期間（個人事業者の場合は原則暦年）の直前課税期間の末日までに「簡易課税選択届出書」を提出する必要があります。一度簡易を選択した場合には、最低２年間の継続適用が要求され、簡易の不適用届出書を提出しない限り、簡易が選択され続けることになります。建物の新築・改築・購入など、大きな買い物が予定されている場合には、いずれの仕入税額控除方式を採用するか慎重な検討が必要です。　月末まではまだ少し間がありますが、まだ消費税の申告を済まされていない方は、収支内訳書や青色申告決算書・確定申告書の控えなどを持参の上、最寄の税務署に相談に行くことをお勧めします。

2006年03月19日

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歯科技工所の業種区分

　何ヶ月か前に歯科技工所の簡易課税の業種区分に係る名古屋地裁の判決を取り上げました。　名古屋地裁は歯科技工所はその業務内容から見て、製造業に該当する旨の判断を下しましたが、名古屋高裁は一審の判決を覆し、歯科技工所はその業務内容等からみてサービス業に該当する旨の、国側の主張を認める判決を下しました。　国側の主張を認めた理由の一つとして、課税売上高のうちに占める課税仕入高の割合が、他の一般的な製造業の場合は０．７０７であるのに対して、歯科技工所は０．４２しかない、故にみなし仕入率が０．５であるサービス業に分類されることには合理性がある、ということが取り上げられています。　しかし簡易課税は、中小零細事業者の納税事務負担の軽減を図るという趣旨から、事業者の「外観」により、仕入税額控除を概算として見積もる、というものです。見積もりですから、事業者によっては原則法を適用した場合と比較して、損をすることも得をすることもあるはずです。そのような簡易課税の特質を考えた場合に、原則法により算出した税額との間に乖離があるということを、補強材料として取りあげるのはいかがなものかという気がします。　　あとこれは本音ですが、仕入税額控除の計算は、原則法に一本化した方が良いと思います。事業者ごとに微妙に異なる業務内容を、５つの業種に明確に分類するのは非常に困難だと思いますので・・。

2006年02月27日

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消費税の納税資金

　先日消費税の納税資金の融資の件について記載しましたが、先日支部の先生にお話を伺ったところ、消費税の納税資金のために新規の融資枠を設けるわけではなく、従来からある融資枠（国の事業ローン）の範囲内で対応するということのようです。　従って、先日記載した内容に一部不正確なところがありますので、申し訳ありませんが日記を削除させていただきます。　

2006年02月07日

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消費税の必要経費算入時期

　皆さんこんばんわ。　今日は消費税の必要経費の算入時期についてご説明いたします。　消費税は、所得税や住民税の場合と異なり、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することが認められています。　原則的には、申告書を提出したときに租税債務が確定しますので、必要経費の算入時期は、申告書を提出した年となります。　但し例外的に申告期限が到来していない消費税について未払金経理により必要経費に算入した場合には、その処理が認められます。　平成17年分の消費税の申告期限は平成18年の3月31日ですね。従って原則的には、平成17年分の消費税は平成18年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されることになりますが、平成17年分の決算整理において、次の仕訳を切った場合には、必要経費算入を認めるということです。　借方　租税公課　××円　　貸方　未払金　××円　今年課税所得が出てしまうという個人事業者の方は、上記の処理を行えば、多少事業所得を圧縮することができます。　　

2006年02月06日

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消費税の申告書を提出しないと・・・

　個人事業者で消費税の新規課税事業者になられた方、初めての消費税の申告業務、お疲れのことと思います。　申告期限は個人事業者の方の場合、翌年の3月31日までですが、申告書の計算の基となる帳簿書類の整理や請求書等の整理は今のうちから始めていきましょう。特に簡易ではなく、原則計算により仕入税額控除の計算を行う方は、紛失した請求書等の再発行を取引先に依頼するなどの作業が必要となります。（但し、少額取引等の一定の取引については請求書等の保存義務が解除されています。）　ところで、今日は消費税を申告しなかった場合のペナルティーについて、ご説明したいと思います。　消費税の申告義務があるにもかかわらず、確定申告書を提出しなかった場合、本来払うべき税額を払うだけで国との課税関係は完結するのでしょうか。　法定申告期限までに申告しなかった場合には本税の１５％相当額（税務署から指摘されず、自主的に期限後申告書を提出した場合は本税の5％相当額）の無申告加算税が課されます。また原則年１４．６％の延滞税も課されます。　消費税を申告・納付した場合は、一定の時期に、その納付額を事業所得等の必要経費に算入することができますが、上記の加算税及び延滞税の額は必要経費への算入が認められていません。従って可処分所得がその分だけダイレクトに減少することになります。（その分だけ資金繰りが苦しくなります。）　無申告の場合、それだけ余計な出費がかさむということですから、必ず期限内に申告書を提出しなければなりません。　ところで消費税の期限後申告に係る無申告加算税の取り扱いについて、ちょっと前の話（３年前）ですが、興味深い事例があります。　関西電力は公開企業ですから、会計監査人（監査法人・会計士）の監査を受ける必要があります。会計監査人の監査を受ける会社については、一定の手続きにより法人税の法定申告期限を1月間延長することができます。　　上記により法人税の申告期限は延長されますが、消費税法には会計監査に基づく申告期限の延長規定は設けられていません。　この部分を間違えてしまったのです。この間違いによって生じた無申告加算税の額は12億円強です。　さすがに関西電力も悪意の無いケアレスで12億もの加算税を課されることについて到底納得ができず、大阪地裁に提訴しましたが、先頃原告（関西電力）の敗訴が確定しました。申告書の期限内提出の重要性を再認識させる事例です。※　受験生の皆さん、条文を読みましょう。新しい事例、あやふやな事例は必ず条文で確認する。そうすれば、上記のようなミスは防げるはずです。　　　

2006年01月30日

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簡易課税制度選択届出書

　いよいよ今年も残り僅かとなりました。消費税の記帳指導を担当したせいか、やはり消費税のことが気になります。（苦笑）　消費税に関しては今年最後の書き込みとなりますが、今年新たに課税事業者となった個人事業者で今年の消費税の計算について簡易課税の適用を受けようとする方、簡易課税の届出書の提出期限は今年の年末までです。　単なる出し忘れの場合には救済措置がありません。出し忘れの場合には原則法で計算するしかありませんが、帳簿の作成と証拠書類の収集には相当の手間隙がかかります。申告期限直前になって会計事務所に申告書作成を依頼しても断られる可能性が充分あります。くれぐれも出し忘れの無いように充分注意してください。（届出書の記載内容についても間違いの無いように、所轄の税務署の担当者によく聞くようにしてください。）

2005年12月20日

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個人事業者の消費税（質疑応答バージョン最終回）

Ａ子「今までの話で、消費税の納税義務の判定・消費税の課税対象取引及び非課税取引の概念・課税仕入等の計算方法についてだいたいのところは理解できたわ。他に何か注意する点はないの。」Ｙ税理士「そうですね。おばさんの場合ですと期首在庫に係る消費税について、仕入に係る消費税額に加算することが認められています。」Ａ子「売上に係る消費税額からの控除額が大きくなるということ？」Ｙ税理士「そうです。免税事業者であった課税期間の課税仕入については、課税仕入の段階において税額控除の機会が与えられていませんから、今期の課税売上と対応させるために仕入に係る消費税額に加算することが認められています。（控除額が増大し、納税額が減少する。）　但し逆に課税事業者から免税事業者になる際には、逆の処理が必要となりますが。」Ａ子「いったん売上げた商品について返品を受けたり値引きをした場合、消費税の課税売上げの金額はこれらの金額を控除した金額でいいの？　それと売掛金が回収不能となった場合も課税売上げを構成することになるの？」Ｙ税理士「売上げの値引き・返品があった場合には、その値引き等の金額に含まれる消費税について別途税額控除が認められます。また売掛金が回収不能となった場合についてもその回収不能額に係る消費税額について別途税額控除が認められています。ただし、貸倒れの事実認定については、破産法などの規定によって債権が法律によって切り捨てられた場合を除き、その判定が難しい場合もあります。」Ａ子「仕入について値引き等を受けた場合には？」Ｙ税理士「その値引き額（仕入に係る対価の返還等の金額）に係る消費税額を仕入に係る消費税額から控除します。（納税額の増加要因となる。）」Ａ子「税務署の説明会で、高額の資産を購入した場合には、別途調整が必要だということも聞いたん抱けども。」Ｙ税理士「そうですね。税抜金額１００万円以上の一定の資産（調整対象固定資産）を購入した場合には、単年度の状況だけで課税関係を完結させるのは不適当だと考えて、一定期間内に、課税売上げ割合に著しい変動が生じた場合と課税業務用から非課税業務用（又はその逆）への転用があった場合には、一定の調整を行うことにしています。」Ａ子「消費税の確定申告はいつまでに行えばいいの？」Ｙ税理士「個人事業者の場合は３月３１日までです。ただ、何度も税務署に行くのは面倒ですから、個人の確定申告（３月１５日が期限）のときに一緒に提出してしまいますけどね。」Ａ子「消費税に中間申告があるって聞いたけど、申告書を作らなくちゃいけないの？」Ｙ税理士「前年（直前課税期間）の年税額が一定以上の場合、消費税の中間申告義務が生じますが、前年の年税額をベースに自動的に税額が確定する方式を採用する場合には、仮に中間申告書を提出しない場合においても、その提出期限において、その前年度ベースに基づく中間申告書を提出したものとみなされますので、特に中間申告を行う必要はありません。ただし、前年は業績が良かったので消費税がいっぱい出たけど、今年は業績が悪化して消費税が余り出そうもない、資金繰りの関係で今年の実態を反映した中間申告税額を申告・納付したい、という場合には、その中間申告税額の対象期間を一課税期間とみなして仮決算を組み、仮決算に基づく中間申告書というものを期限までに提出する必要があります。」Ａ子「ところで消費税が増税されそうだって新聞に出てたけど、実際のところはどうなの（笑）」Ｙ税理士「そんなこと私に聞かれてもわかりません（笑）が、これ以上国の借金を増大させないためには約１５兆円が必要という話を、今年の６月に出席した研修会に講師として来ていた財務省の官僚が言ってましたね。アバウトに消費税１％で２兆５千億の税収と考えると、国税分だけで５パーセント程度の増税はされるかもしれませんね。」Ａ子「結構これから大変ね」Ｙ税理士「そうですね。でも納税を一種の保険料として考えれば、そう悲観する必要はないかもしれません。いくら税金が安くても、病気になっても病院にかかれない、一部の外国のように安心して散歩もできないような社会だと困りますからね。もっとも税金の使いみちは厳重にチェックする必要がありますが。」

2005年11月27日

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そろそろ年末が近づいてきました。

　皆さんこんばんわ。事務所から書き込みをしています。　そろそろ年末も近づいてきました。政令の経過措置の規定に基づく簡易課税の選択届出書の提出期限は今年の12月31日までです。簡易で申告をしようとしている方は、忘れずに届出書を提出してくださいね。　原則で消費税の計算をされる方は、帳簿と請求書等の整理を今から始めましょう。特に仕入関係について、領収書だけあればいいだろうということで、請求書をすべて廃棄している方は要注意です。領収書だけだと消費税の課税仕入に該当するかどうか判断できない場合もありますし、消費税法に定められている請求書等の記載要件も恐らく満たしていないと思われます。　

2005年11月24日

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個人事業者の消費税（質疑応答バージョンその５）

Ａ子「お客さんから預かった消費税から控除する消費税額の計算方法には、原則法と簡易課税があるのよね。」Ｙ税理士「そうです。そしておばさんの場合、簡易の届出書の提出期限が特例により、今年の１２月３１日までとなっていますので、１１月までの試算表の段階でどちらが有利か検討してみましょう。」Ｙ税理士「おばさんの場合、今年１１月末の段階で、消費税の課税対象となる売上高が2100万円です。消費税の課税対象となる商品の仕入や経費の支払いなどが1365万円です。非課税売上高は殆どありませんので、課税売上割合は限りなく１００パーセントに近いといったところですね。」Ａ子「課税売上割合が高いと原則法で計算する場合、全額控除が認められるのよね。」Ｙ税理士「課税売上割合が９５パーセント以上の場合には、全額控除が認められます。おばさんの場合も課税売上割合が９５パーセント以上ありますから、全額控除が認められます。」Ａ子「原則法で計算した場合の納税額はどのくらい？」Ｙ税理士「売上に係る消費税額が税込売上高の2100万円に５/１０５を乗じて得た金額となりますから、100万円となります。仕入に係る消費税額も同様に1365万円に5/105を乗じて得た金額で65万円となります。従って原則法で計算した場合は100万円から65万円を控除した金額の３５万円となります。（注1）」Ａ子「簡易課税の場合は？」Ｙ税理士「おばさんのところの業種は卸売業ですから、売上に係る消費税額100万円に９０パーセントのみなし仕入率を乗じて得た金額90万円が仕入に係る消費税額となります。従って納税額は100万から90万円を控除した金額の１０万円となります。」Ａ子「原則の場合の納税額が35万円で、簡易の場合の納税額が10万円なら、断然簡易の方が有利ね。」Ｙ税理士「おばさんの場合は確かに簡易の方が有利ですね。ただ、おばさんの場合は、法律が想定している卸売業の利益率よりも付加価値の高い商品を扱っているから、たまたま簡易課税が有利だったのであって、全ての卸売業者にあてはまることではないんですよ。簡易を適用することによって納税額が増加してしまう個人事業者もいます。」Ａ子「なるほど、簡易を適用してたまたま納税額が少なくなったということね。」Ｙ税理士「そうです。そしてこの簡易課税の適用が消費税の世界で問題視されている益税の発生原因の一つとなっています。」Ａ子「簡易課税を適用した際の注意点は？」Ｙ税理士「簡易は2年の継続適用が強制されますから、単年度の損得で適用してはいけないということです｡おばさんがもし来年事務所を建て替えるなど大きな買い物を予定している場合には、トータルで考えて原則が有利になる可能性が高いですから、更に慎重に検討する必要がありますね。」注1　前期免税事業者の場合には、期首在庫に係る消費税額について、別途調整が認められています。納税額の減少要因となりますので、調整を忘れないように注意する必要があります。

2005年11月19日

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先週の内容の復習

　皆さんこんにちわ。東北税理士会青森支部所属の税理士の木村裕です。　先週の内容の復習は以下の通りです。　　課税標準額に対する消費税額（売上に係る消費税額）から控除される課税仕入等の税額（仕入に係る消費税額）の計算には、原則法の他に、簡易課税という方法が認められている。　簡易課税とは、売上に係る消費税額に、その事業者が営む事業の種類ごとに定められているみなし仕入率を乗じて計算する。　簡易課税の適用に際しては、個人事業者の場合、原則的にはその適用を受けようとする年の前年１２月３１日までに簡易課税制度選択届出書を提出する必要がある。ただし、消費税法施行令の経過措置の規定により、平成１７年に新たに課税事業者となった個人事業者については、平成１７年分の簡易課税の適用について、平成１７年１２月３１日が簡易課税制度選択届出書の提出期限となる。（なお簡易課税は基準期間における課税売上高が5000万円以下である課税期間について適用があります。）　簡易課税の適用を受けようとする場合には、売上に係る消費額を、卸売業に対応するもの・小売業に対応するもの・製造業等に該当するもの・飲食店業、金融保険業、加工賃を対価とする役務の提供に該当するもの・不動産業、運輸通信業、飲食店以外のサービス業の５つに分類する必要があった。　売上について、業種の分類を行っていない場合には、個人事業者が営む業種のうち最もみなし仕入率が低く設定されている業種のみを営んでいるものとして課税仕入等の税額の計算を行うことになる。（消費税の納税額が増加することとなる。）　簡易課税の業種区分は、事例によっては、専門家であっても判定が難しい場合がある。（税務訴訟となっているケースもあります。）　

2005年11月19日

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個人事業者の消費税（質疑応答バージョンその４）

Ａ子「消費税の計算方法には、原則法というのがあるんだ、というのは理解したわ。次はもう一つの計算方法である簡易課税について説明してちょうだい。」Ｙ税理士「原則法で、消費税の納税額を計算しようとする場合には、課税標準額に対する消費税額、課税仕入等の税額、課税売上割合が、必須の計算要素となってきますが、簡易課税の場合には、課税標準額に対する消費税額しか計算要素として用いないんですよ。」（注１）Ａ子「課税仕入れの集計や分類をしなくても、税額控除の対象となる課税仕入れ等の税額を計算できるの？」Ｙ税理士「ええ、できます。その課税売上がどのような業種から生じたものかによって、概算で控除対象となる課税仕入れ等の税額を計算するんです。」Ａ子「具体的には？」Ｙ税理士「例えば、おばさんの場合、課税売上が税込みで２１００万円だと仮定したときに、仮受消費税は１００万円となりますよね。おばさんの営む業種は卸売業ですから、仮受消費税１００万円のうち９０万円が控除対象となる課税仕入等の税額となります。」Ａ子「つまり、卸売業の場合、仮受消費税の９０パーセントが課税仕入等の税額であると概算で計算してしまうというわけね。」Ｙ税理士「そうです。業種ごとに概算で控除対象となる課税仕入等の税額を計算していくことになります。おばさんの場合、卸売業で、粗利が一般的に低いと考えられていますから、課税標準額に対する消費税額の９０パーセント（この割合を「みなし仕入率」といいます。）が課税仕入等の税額に該当するもとのして、取り扱うことにしているんです。」Ａ子「簡易課税の業種にはどんなものがあるの」Ｙ税理士「簡易課税の業種は、第１種事業から第５種事業までの５つに分類されています。第１種事業が卸売業、第２種事業が小売業、第３種事業が製造業・建設業等、第４種事業が飲食店業・金融保険業・加工賃を対価とする役務の提供など、第５種事業が不動産業・運輸通信業・サービス業（飲食店業を除く）となっています。」Ａ子「それぞれのみなし仕入率は？」Ｙ税理士「第１種が９０パーセント、第２種が８０パーセント、第３種が７０パーセント、第４種が６０パーセント、第５種が５０パーセントとなっています。」Ａ子「つまり課税標準額に対する消費税額にそれぞれの業種ごとのみなし仕入率を乗じて計算するということ？」Ｙ税理士「その通りです。ただ、複数業種を営んでいる場合には、課税売上に係る消費税額を業種ごとに分類して、その分類に応じたみなし仕入率を適用する必要がありますけどね。」（注１）Ａ子「売上を業種ごとに分類していない場合には何かペナルティーがあるの？」Ｙ税理士「例えば卸売業と小売業を営んでいる事業者がその売上を業種区分していない場合には、その売上は、全て小売業にかかるものとして取り扱われます。卸しのみなし仕入率が９割で小売が８割ですから、区分をしていない事業者はその分だけ損をしてしまいますので注意が必要です。」Ａ子「簡易課税の適用を受けるためには事前の届け出は必要なの？」Ｙ税理士「事前の届け出が必要です。個人事業者の方の場合には、原則的に、その適用を受けようとする年の前年１２月３１日までに簡易課税制度選択届出書を提出しなければなりませんが、おばさんのように平成１７年に新たに課税事業者になった方については、平成１７年分の簡易課税の適用については、平成１７年中に簡易課税の選択届出を提出すればよいことになっています。」Ａ子「簡易課税を選択する場合のリスクは？」Ｙ税理士「最低２年間継続適用が要求されることですかね。今年の分については、おばさんの場合、経過措置の規定の関係で、１１月段階の試算表をベースに計算すると、どちらが有利かかなり正確なことがわかるんですが、来年原則が有利か簡易が有利かの判断は過去の経験則をベースとしての将来の予測に頼るしかないという点がリスク要因となりますね。今年は簡易を使った方が有利でも、来年大きな買い物をする予定があるといった場合では、２年間のトータルで考えたときに、原則の方が有利になるということもありますので。」Ａ子「簡易による計算を止めようとする場合には、どうするの？」Ｙ税理士「簡易課税選択不適用届出書を税務署に提出しなければなりません。また不適用の届け出の効力は、提出年の翌年から生じますので、要注意です。」Ａ子「何か、簡易課税っていうから、簡単に消費税の計算ができちゃうのかと思ったけどそうでもないらしいわね。（笑）」Ｙ税理士「計算要素自体は原則法に比べて少ないんですが、計算方法の選択・届出関係のリスクや業種区分の判定の困難さを考慮すると、個人的には難易課税といった方がいい感じがします。（笑）」注１　他の税額控除も場合によっては生じます。注２　２業種以上を営む場合のみなし仕入率の適用については、原則の他に特例規定が設けられています｡

2005年11月12日

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個人事業者の消費税（先週までの内容の復習）

●先週までの復習　個人事業者の基準期間はその年の前々年である。従って、平成１７年の基準期間は平成１５年となり、平成１５年の課税売上高が１０００万円を超えるときは、個人事業者は消費税の納税義務を負う｡　消費税の課税対象となる取引は、国内取引・事業者が行う取引・事業として行う取引・対価を得て行われる資産の譲渡・貸付・役務の提供であった。従って、上記４つの要件のうち、いずれかの要件を欠いた場合には、その取引は不課税取引となり、消費税の計算には、一切関係させない。　上記４つの課税対象要件を満たす取引であっても、消費税法別表一に掲げる特定の取引については、社会的批判に対する配慮などから非課税とされている。非課税取引は、不課税取引の場合と異なり、消費税の計算要素を構成する。　消費税の納税額は、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れ等の税額を控除することにより算出される。課税標準額に対する消費税額は、端的に表現すれば、税抜経理方式を採用している場合の「仮受消費税」のことであり、課税仕入等の税額は「仮払消費税」のことである。　課税仕入れ等の税額はその全額が控除対象となるのではなく、そのうち、課税売上に対応する部分が控除対象となる。（非課税売上に対応する部分は控除対象とならない。）　課税仕入れ等の税額控除の方法には、原則法と簡易課税がある。このうち原則法については、課税売上割合が９５パーセント以上の場合には、課税仕入れ等の税額は、全て課税売上に対応するものとして、全額控除対象となる。　課税売上割合が９５パーセント未満の場合には、個別対等方式又は一括比例配分方式により、控除額の計算を行う。個別対応方式は、課税仕入等の税額を課税売上対応分・非課税売上対応分・共通対応分に分類し、課税売上対応分は全額控除、非課税売上対応分は控除を認めない、共通対応分は課税売上割合に対応する部分だけ控除を認める、という計算方法であった。一括比例配分方式は、全体の課税仕入等の税額に課税売上割合を乗じることによって算出される。なお、一括比例配分方式を採用した場合には、最低２年間の継続適用が要求される。　原則法を採用した場合には、帳簿及び請求書等の保存義務が要求される。保存義務要件を満たしていない場合には、その満たしていない特定の取引について、原則法による税額控除が否認される可能性がある。　以上が先週まで話した内容の復習となります。わかりにくい部分がありましたら、先週以前の日記に戻って、参照してください。　　

2005年11月12日

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根拠条文

　今日の日記の根拠条文も一応示しておきます。読みにくい規定となっていますので、まあこういう規定があるんだ程度で充分だと思います。（仕入れに係る消費税額の控除）第三十条　事業者（第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。）が、国内において行う課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の第四十五条第一項第二号に掲げる課税標準額に対する消費税額（以下この章において「課税標準額に対する消費税額」という。）から、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額（当該課税仕入れに係る支払対価の額に百五分の四を乗じて算出した金額をいう。以下この章において同じ。）及び当該課税期間における保税地域からの引取りに係る課税貨物（他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この章において同じ。）につき課された又は課されるべき消費税額（附帯税の額に相当する額を除く。次項において同じ。）の合計額を控除する。一　国内において課税仕入れを行つた場合　当該課税仕入れを行つた日二　保税地域から引き取る課税貨物につき第四十七条第一項の規定による申告書（同条第三項の場合を除く。）又は同条第二項の規定による申告書を提出した場合　当該申告に係る課税貨物（第六項において「一般申告課税貨物」という。）を引き取つた日三　保税地域から引き取る課税貨物につき特例申告書を提出した場合（当該特例申告書に記載すべき第四十七条第一項第一号又は第二号に掲げる金額につき決定（国税通則法第二十五条（決定）の規定による決定をいう。以下この号において同じ。）があつた場合を含む。以下同じ。）　当該特例申告書を提出した日又は当該申告に係る決定（以下「特例申告に関する決定」という。）の通知を受けた日２　前項の場合において、同項に規定する課税期間における課税売上割合が百分の九十五に満たないときは、同項の規定により控除する課税仕入れに係る消費税額及び同項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき課された又は課されるべき消費税額（以下この章において「課税仕入れ等の税額」という。）の合計額は、同項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める方法により計算した金額とする。一　当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れ及び当該課税期間における前項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等（以下この号において「その他の資産の譲渡等」という。）にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものにその区分が明らかにされている場合　イに掲げる金額にロに掲げる金額を加算する方法イ　課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ及び課税貨物に係る課税仕入れ等の税額の合計額ロ　課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ及び課税貨物に係る課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算した金額二　前号に掲げる場合以外の場合　当該課税期間における課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法３　前項第一号に掲げる場合において、同号ロに掲げる金額の計算の基礎となる同号ロに規定する課税売上割合に準ずる割合（当該割合が当該事業者の営む事業の種類の異なるごと又は当該事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類の異なるごとに区分して算出したものである場合には、当該区分して算出したそれぞれの割合。以下この項において同じ。）で次に掲げる要件のすべてに該当するものがあるときは、当該事業者の第二号に規定する承認を受けた日の属する課税期間以後の課税期間については、前項第一号の規定にかかわらず、同号ロに掲げる金額は、当該課税売上割合に代えて、当該割合を用いて計算した金額とする。ただし、当該割合を用いて計算することをやめようとする旨を記載した届出書を提出した日の属する課税期間以後の課税期間については、この限りでない。一　当該割合が当該事業者の営む事業の種類又は当該事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類に応じ合理的に算定されるものであること。二　当該割合を用いて前項第一号ロに掲げる金額を計算することにつき、その納税地を所轄する税務署長の承認を受けたものであること。４　第二項第一号に掲げる場合に該当する事業者は、同項の規定にかかわらず、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れ及び当該課税期間における第一項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物につき、同号に定める方法に代え、第二項第二号に定める方法により第一項の規定により控除される課税仕入れ等の税額の合計額を計算することができる。５　第二項又は前項の場合において、第二項第二号に定める方法により計算することとした事業者は、当該方法により計算することとした課税期間の初日から同日以後二年を経過する日までの間に開始する各課税期間において当該方法を継続して適用した後の課税期間でなければ、同項第一号に定める方法により計算することは、できないものとする。６　第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額とは、課税仕入れの対価の額（対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、当該課税仕入れに係る資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該課税仕入れに係る役務を提供する事業者に課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額（これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除く。第九項第一号において同じ。）に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。）をいい、第一項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物とは、保税地域から引き取つた一般申告課税貨物又は特例申告書の提出若しくは特例申告に関する決定に係る課税貨物をいい、第二項に規定する課税売上割合とは、当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等の対価の額（第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項及び第九項第一号において同じ。）の合計額のうちに当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の占める割合として政令で定めるところにより計算した割合をいう。７　第一項の規定は、事業者が当該課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等（同項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が少額である場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿）を保存しない場合には、当該保存がない課税仕入れ又は課税貨物に係る課税仕入れ等の税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。８　前項に規定する帳簿とは、次に掲げる帳簿をいう。一　課税仕入れ等の税額が課税仕入れに係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているものイ　課税仕入れの相手方の氏名又は名称ロ　課税仕入れを行つた年月日ハ　課税仕入れに係る資産又は役務の内容ニ　第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額二　課税仕入れ等の税額が第一項に規定する保税地域からの引取りに係る課税貨物に係るものである場合には、次に掲げる事項が記載されているものイ　課税貨物を保税地域から引き取つた年月日（課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取つた年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日）ロ　課税貨物の内容ハ　課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額（これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除く。次項第三号において同じ。）又はその合計額９　第七項に規定する請求書等とは、次に掲げる書類をいう。一　事業者に対し課税資産の譲渡等（第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この号において同じ。）を行う他の事業者（当該課税資産の譲渡等が卸売市場においてせり売又は入札の方法により行われるものその他の媒介又は取次ぎに係る業務を行う者を介して行われるものである場合には、当該媒介又は取次ぎに係る業務を行う者）が、当該課税資産の譲渡等につき当該事業者に交付する請求書、納品書その他これらに類する書類で次に掲げる事項（当該課税資産の譲渡等が小売業その他の政令で定める事業に係るものである場合には、イからニまでに掲げる事項）が記載されているものイ　書類の作成者の氏名又は名称ロ　課税資産の譲渡等を行つた年月日（課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税資産の譲渡等につきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間）ハ　課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容ニ　課税資産の譲渡等の対価の額（当該課税資産の譲渡等に係る消費税額及び地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。）ホ　書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称二　事業者がその行つた課税仕入れにつき作成する仕入明細書、仕入計算書その他これらに類する書類で次に掲げる事項が記載されているもの（当該書類に記載されている事項につき、当該課税仕入れの相手方の確認を受けたものに限る。）イ　書類の作成者の氏名又は名称ロ　課税仕入れの相手方の氏名又は名称ハ　課税仕入れを行つた年月日（課税期間の範囲内で一定の期間内に行つた課税仕入れにつきまとめて当該書類を作成する場合には、当該一定の期間）ニ　課税仕入れに係る資産又は役務の内容ホ　第一項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額三　課税貨物を保税地域から引き取る事業者が保税地域の所在地を所轄する税関長から交付を受ける当該課税貨物の輸入の許可（関税法第六十七条（輸出又は輸入の許可）に規定する輸入の許可をいう。）があつたことを証する書類その他の政令で定める書類で次に掲げる事項が記載されているものイ　保税地域の所在地を所轄する税関長ロ　課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなつた年月日（課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなつた年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日）ハ　課税貨物の内容ニ　課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額ホ　書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称１０　第七項に規定する帳簿の記載事項の特例、当該帳簿及び同項に規定する請求書等の保存に関する事項その他前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。　税理士会の登録時研修で、行政手続法の講義をしてくださった法科大学院の教授が、税法の条文だけは読めない、と冗談でおっしゃっていましたが、受験生時代何十回とこの規定を読み込んだ経験のある私でも、久しぶりにこの規定を読んでみるとかなり読みにくい(読めない？）と感じます。（笑）

2005年11月05日

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個人事業者の消費税（質疑応答バージョン３）

●先週までの内容の復習　税理士のＹは電卓を片手に卸売業を営む遠縁のＡ子さんの事務所を訪ねた。税理士Ｙ「先週ご説明した内容、まだ覚えていますか。」Ａ子「ちゃんと覚えてるわよ。（笑）個人事業者の消費税の納税義務は基準期間である平成１５年の課税売上高が１千万円超か否かで判定するのよね。」税理士Ｙ「その通りです。では課税対象取引の概念は？」Ａ子「４つの条件を満たした場合に消費税の課税対象取引になるんでしょ。国内取引であること・事業者が行う取引であること・事業として行われる取引であること・対価を得て行われる資産の譲渡などであること、が条件だったわよね。」税理士Ｙ「その通りです。そしてその４つの課税対象要件を満たす取引のうち消費税法に定める特定の取引（注１）については、社会的な批判に対する配慮などから非課税取引になるということでしたね。」●課税売上割合　Ａ子「そういえば先週、消費税の４つの課税対象条件を満たさない取引（不課税取引）と非課税取引は消費税がかからないという意味では同じだけど、消費税の納税額の計算に与える影響は違うんだ、と言ってたわね。」Ｙ税理士「そうです。不課税取引は消費税の計算に一切関係させませんが、非課税取引は消費税の計算要素に取り込まれてきます。」Ａ子「具体的にどのような形で？」Ｙ税理士「消費税の計算方法には、原則と簡易の２種類があるんですが、原則の場合の税額計算は、基本的に、得意先に商品を売り上げる際に預かった消費税額（以下「課税標準額に対する消費税額」と表現します。）から、商品の仕入等を行った際に支払った消費税額（以下「課税仕入等の税額」と表現します。）を控除することにより計算されます。これを消費税の世界の言葉を使って正確に表現すると、課税標準額に対する消費税額から課税仕入等の税額を控除した金額が納付税額となるということになります。（注２）」Ａ子「つまり仮受消費税から仮払消費税を控除した金額が納税額になるということね。」Ｙ税理士「そうです。ただ、仮払消費税の全額が課税標準額に対する消費税額から控除されるのではなくて、課税売上に対応する部分だけが税額控除の対象になるんですよ。」Ａ子「つまり非課税売上に対応する課税仕入等の税額は控除対象にはならないということ？」Ｙ税理士「そういうことです。非課税売上を行った事業者は消費税の最終負担者となりますから、非課税売上に対応する課税仕入については消費税の世界では税額控除の機会を与えないことにしているんです。もっとも税額控除の機会を与えないということは、その控除対象とならなかった消費税はその事業者の原価（費用）を構成することになりますから、売値にその分だけ転嫁してくると思いますけどね。」Ａ子「じゃあ、決算のときには、課税仕入について、課税売上対応分・非課税売上対応分とかいった形で分類しなくちゃいけないということ？」Ｙ税理士「原則で計算する場合には、基本的に課税売上に対応する部分についてだけ税額控除を認めることとしていますね。ですからおばさんの言うとおり一定の方法で分類する必要があります。」Ａ子「そんなメンドクサイことしてられないわよ！」Ｙ税理士「そう、多分おばさんみたいに文句を言う人が多かったんでしょうね。（笑）そこで売上のうちの大部分が課税売上で占められている事業者については、非課税売上に対応する課税仕入等の税額も含めて、税額控除を認めています。」Ａ子「大部分てどのくらいの割合？」Ｙ税理士「全体の売上（課税売上＋非課税売上）のうちに占める課税売上の割合（以下「課税売上割合」と表現します。）が９５％以上の場合には、全額控除が認められます。」Ａ子「ウチの場合はどう？」Ｙ税理士「おばさんの場合は、課税売上割合がほぼ１００％ですから、全額控除が認められますよ。」Ａ子「ああよかった。でも、もし９５％を割り込んだらどうなるの？」Ｙ税理士「それは先ほどもいったとおり、課税売上に対応する部分だけが税額控除の対象になります。」Ａ子「具体的な計算方法は？」Ｙ税理士「個別対応方式と一括比例配分方式があります。」Ａ子「何か難しそうな名前ね。（笑）」Ｙ税理士「基本的な考え方は難しくないですから。（笑）個別対応方式の場合は、課税仕入等の税額を課税売上対応分・非課税売上対応分・課税売上非課税売上共通対応分に分類するんです。課税売上対応分は全額控除、非課税売上対応分は控除を認めない、共通対応分は課税売上割合に対応する部分だけ控除を認める、という方式です。」Ａ子「つまり課税仕入等の税額のうち課税売上に対応する部分だけ控除を認めるということね。」Ｙ税理士「そういうことです。もう一つの一括比例配分も同様の考え方なんですが、こちらは、全体の課税仕入等の税額に課税売上割合を乗じて計算することになります。」Ａ子「２つの計算方法があるとそれぞれちがった数値が計算されてくるわよね？」Ｙ税理士「そうですね。実際に計算してみていずれか有利な方を選択することになるんでしょうね。ただ注意しなければならないのは、一括比例配分方式を選択した場合には、最低２年間継続適用が要求されますので、注意が必要です。」Ａ子「原則で計算する場合、他に何か注意する点はある？」Ｙ税理士「原則で消費税の計算をする場合には、帳簿及び請求書等の保存が要求されていますので、原則で計算する場合には、帳簿の記載と仕入先等から交付された請求書等をキチンと保存しておくことが必要になります。」Ａ子「じゃあ、消費税の計算は原則で計算すればいいというわけね。」Ｙ税理士「イヤそれじゃダメなんです。消費税の計算方法には、原則の他に簡易も認められています。とくにおばさんの場合、消費税の施行令の経過措置の関係で、簡易課税選択届出書の提出期限が今年の年末までとなっていますから、どちらが有利か慎重に検討する必要がありますね。」Ａ子「何か面倒くさいわね。」Ｙ税理士「確かに面倒くさいですね。（笑）でも、基本的に余計な税金を払わないようにするには、それなりの手間隙がかかるんですよね。書店に行くとこれを読めば直ぐに節税できるみたいなこと書いてる本がいっぱいありますが。（笑）」Ａ子「うん、確かに私も何回も騙されたわ。（笑）」以下来週に続く。（注１）消費税法別表１に限定列挙されています。（注２）売上返還や売上債権の貸し倒れがある場合には、別途税額控除が認められます。※なお上記日記は、消費税の規定の骨格を理解してもらう趣旨で記載しております。すべての取引に汎用性を有しているわけではありませんので、その点をご了解の上、参考にしていただければと思います。

2005年11月05日

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根拠条文

　以下根拠条文を示しておきます。　消費税法（以下「法」と記載します。）４条１項　消費税の課税対象　「国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。」　法２条１項８号　資産の譲渡等の定義　「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供（代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。）をいう。」　法４条４項　みなし譲渡の規定　「次に掲げる行為は、事業として対価を得て行われた資産の譲渡とみなす。一　個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していた　ものを家事のために消費し、又は使用した場合における当該消費又は使用二　法人が資産をその役員（法人税法第二条第十五号（定義）に規定する役員をいう。）に対して贈与した場合における当該贈与」　法６条１項消費税の非課税の規定　　「国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものには、消費税を課さない。」　　今日の日記に記載した「消費税の課税対象」の論点は、消費税法の規定の骨格の基礎にあたる部分で、内容的にも抽象度が高く、分かりにくい論点だと思います。　私自身も典型的な事例であれば、条件反射的に課税対象取引に該当するか否かを判断することができますが、新しい事例にぶつかった場合には日記に記載した課税対象の４要件を頭の中で反芻し、要件を充足するかどうか慎重に検討するときもままあります。　そういった点を考慮すると、本日記載した日記の内容の７割から８割程度の内容を理解することができれば充分ではないか、という気もします。ただし、実際に申告をする必要のある方は、一度は信頼のおける税理士に相談することをお勧めします。　　　　　　　　　　　

2005年10月29日

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個人事業者の消費税（質疑応答バージョンその２）

　皆さんこんにちわ。新米税理士のユタカです。　今日は先週に引き続き、個人事業者の消費税の取り扱いについて、質疑応答形式で解説していきたいと思います。●先週の内容の復習　Ａ子さんはコーヒーを飲みながら、遠縁の新米税理士のＹに今まで話した内容の確認を行った。Ａ子「つまり基準期間とは、消費税の納税義務を判定する際の基準となる期間で、その期間の課税売上が１０００万円を超えると消費税の申告をする必要があるというわけね。」Ｙ税理士「そうですね。個人事業者の方の基準期間はその年の前々年とされていますから、平成１７年の基準期間は平成１５年となり、その平成１５年の課税売上高が１０００万円超の場合、消費税の納税義務が発生することになります。」●課税売上の概念Ａ子「ところで、その納税義務を判定する際の課税売上って、普通の売上だけでいいの？　うちの場合、普通の文房具の他にファンシーグッズみたいな雑貨なんかも小売店さんに卸してるんだけども。」Ｙ税理士「そうですね。基本的におばさんのお店の場合、小売店さんに卸している金額が課税売上になりますね。ただ、通常の商品売上以外にも消費税の課税売上となるものはあるんですね。」Ａ子「例えば、どんな場合？」Ｙ税理士「ちょっと話が難しくなるんですが・・・」Ａ子「大丈夫、分からなかったらしつこく聞くから（笑）」Ｙ税理士「（苦笑）基本的にはですね、消費税は４つの前提条件を満たした場合には課税の対象となる旨規定されているんです。」Ａ子「４つの前提条件？」Ｙ税理士「ええと、一つ目が国内取引であること、二つ目が事業者が行う取引であること、三つめが事業として行う取引であること、四つめが対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供であること、が要求されています。」Ａ子「何言ってんだか良く分からないから、ちゃんと説明してよ。（笑）」Ｙ税理士「国内取引であるかどうかについては、資産の譲渡や貸付がおこなわれるときにおいてその資産が所在していた場所が日本国内であれば、国内取引となりますし、役務の提供（サービスの提供）もその役務提供が行われた場所が国内であれば、国内取引となります。」Ａ子「そんなの当たり前のことじゃないの？」Ｙ税理士「そう、当たり前のことなんです。例えばニューヨークのマックで販売されたダブルチーズバーガーに日本の消費税をかけたら、アメリカ人怒りますよね。（笑）でもそういう当たり前なことも法律では規定しておかなくちゃいけないんです。できるだけ、税法を一義的に解釈できるようにするためには。」Ａ子「じゃあ、事業者が行う取引ってどういう意味なの？」Ｙ税理士「簡単に言うと、個人の場合、事業者とは自ら行う商売によって生計を立てている人ということになりますね。厳密に言うと、自己の計算に基づいて独立して事業を行う者と通達では解説されていますが、基本的には給与所得者とは異なり、仕事をしても所得がマイナス（赤字）になる可能性がある、そういったリスク負担をしている方たちと考えることができるのではないでしょうか。」Ａ子「じゃあ、三つ目の事業として行う取引とは？　事業者だったら事業として行うに決まってるじゃないの。」Ｙ税理士「まあ、それもそうなんですけど（笑）、一応念のために規定しておいたんでしょうね。個人事業者の方の場合、個人事業者の立場として行う取引と家庭人として行う取引（事業として行う取引以外の取引）がありますよね。例えば仕事に使用しない自家用車の購入や売却とかは家事取引ですよね。こういった取引は、消費税の課税対象から除外するという意味で規定されているんです。」Ａ子「じゃあ、最後の対価を得て行われる資産の譲渡何たらは？」Ｙ税理士「無償で行われる資産の譲渡等は消費税の課税対象外だと言ってるんです。」Ａ子「えっ、タダで商品をあげた場合には消費税がかからないの？　ずっと前に、税務調査が入ったとき、商品の場合はタダであげても売上に計上しなくちゃ駄目って言われたんだけど？」Ｙ税理士「そうですね。所得税の世界ですと、商品を贈与（相続人に対する死因贈与を除く。）した場合には、その贈与をしとという行為自体に担税力の存在を認めて、売上に計上することを要求していますが、消費税の場合は、無償の場合には原則的に課税対象外とされているんです。」Ａ子「原則的に？」Ｙ税理士「個人事業者の方が商品や商品以外の事業用資産を家事のために消費・使用した場合には、無償取引であっても、対価を得て行われる資産の譲渡とみなされる旨の規定が設けられているんです。」Ａ子「自分の商品を自分でつかっちゃった場合には、消費税がかかるってこと？」Ｙ税理士「そういうことです。昔「マルサの女」って映画がありましたよね。で、宮本信子さんがお肉屋さんかコロッケ屋さんに調査に行って、お宅は他のお店から肉やコロッケを買いますか、っていうセリフを言ったの覚えてますか？商売にもよりますが、個人事業者の方の場合家事消費が出るのが普通ですから、漏れないようにするという注意が必要ですね。」Ａ子「なるほど、何となくはわかったわ。結論からいうと、国内取引・事業者が行う取引・事業として行う取引・対価を得て行われる資産の譲渡等、の４つの条件を満たしていると、消費税がかかるということね。」Ｙ税理士「そういうことになります。なんとなくでも分かればすごいものですよ。この後徐々に実務を通じて理解できるようになってきますから。またそうなるように私の方でも誠意をもって支援させていただきますので。」Ａ子「営業トークも上手くなってきたわね。（笑）でもお医者さんの場合はどうなんだろう？　病院で消費税ってとられたことがないわよ。お医者さんだってさっき言った４つの条件にあてはまるわよね？」Ｙ税理士「おばさん、ホントにすごいですね。そこに気がつくなんて。（笑）　４つの条件を満たした場合には、国の方では原則的に消費税を課したいわけなんですが、やっぱり病気にかかった人の医療費に消費税をかけるとなると、心情的に嫌ですよね。病人から消費税を取るのか！って。そこで、４つの条件を満たす場合であっても、限定的に消費税を課さないこととしているんです。これを消費税の世界では非課税売上と言ってます。」Ａ子「４つの条件を満たさない場合には消費税がかからない、４つの条件を満たした場合でも非課税と規定されている一部の取引については消費税がかからない、ということ？　両者は消費税がかからないという意味で同じことなの？」Ｙ税理士「消費税がかからないという点では同じですが、消費税の納税額の計算に与える影響という点では異なります。４つの条件を満たさない取引のことを消費税の世界では課税対象外取引又は不課税取引と呼び消費税の計算には一切関係させませんが、非課税売上は、課税売上割合の計算や課税仕入等の税額の計算に影響を与えます。その点で両者は異なります。とりあえず来週、おばさんの事務所にお伺いして、その際に、実際に帳簿を見ながら消費税の仕組みをご説明しますので、今日はこのあたりにしておきましょう。一度にやると頭がパンクしてしまいますから。（笑）」Ａ子「じゅあ来週お菓子を用意して待ってるから、ちゃんと説明してね。（笑）でもあなた、ちょっとダイエットした方がいいわよ。誰もお嫁さんに来てくれなくなっちゃうわよ（笑）」Ｙ税理士「じゃあ、ケーキは１個だけでいいです。（笑）　では来週お伺いしますので、よろしくお願いします。」以下来週に続く。これから事務所に行かなければならないので、根拠条文等は後で掲載しておきます。

2005年10月29日

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昨日の日記の補足（号外）

　こんばんわ。新米税理士のユタカです。一応昨日の日記の補足事項として、根拠条文を示しておきたいと思います。参考にしてください。消費税法９条１項　小規模事業者に係る納税義務の免除規定事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。消費税法２条１項１４号基準期間の定義規定基準期間　個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度（当該前々事業年度が一年未満である法人については、その事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間）をいう。

2005年10月23日

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個人事業者の消費税（質疑応答バージョン）

　皆さんこんにちわ。東北税理士会青森支部所属の新米税理士の木村裕（ユタカと読みます。）です。　事務所の移転は８割型完了し、１１月の頭からは新事務所の方に完全に移転できる予定です。　今までは実家の一室を使用貸借して、事務所を開設していましたが、本棚と机・パソコン・テーブルを置くと足の踏み場も無いような状態でしたので、これで落ち着いて仕事ができるとほっとしております。（笑）　新しい事務所は、青森税務署（法務局との合同庁舎です。）を背にして、道路を挟んで右斜め方向の雑居ビルの２階にあります。来週末には電話・ＦＡＸも設置される予定ですので、事務所が本格的に稼動できる状態になりましたら、事務所の連絡先もお知らせしたいと思います。　会計・税務について何か分からない点がありましたらお気軽にお問い合わせください。　　今日は個人事業者の消費税の取り扱いについて、質疑応答バージョンで記載していきたいと思います。税法の条文などをそのままの形で紹介しても分かりにくいと思いますので工夫してみました。皆さんの参考になれば幸いです。　文房具の卸売り業を営む個人事業主のＡ子さんは消費税の取り扱いについて相談するために、税理士事務所を訪れました。年間の売上高は２０００万円程度で、今まで一度も消費税の申告をしたことがありません。税務署等から新規課税事業者を対象とした説明会の案内が何度も届いているため、自分が消費税の納税義務者であることを何となくは理解しているのですが、今ひとつすっきりしません。そこで税理士事務所に相談することにしました。　遠い親戚が最近会計事務所を開設したとの話を聞き、その親戚が開設した会計事務所を訪ねることにしました。事前にもらった事務所の地図を頼りにお目当ての会計事務所を探すＡ子さん、周囲は県警本部・県庁・法務局など完全な官庁街です。「新米のくせにこんな場所に事務所を借りて大丈夫かしら。」と心配しつつ、官庁街のはずれ近くまで来てお目当ての会計事務所を見つけ出しました。一瞥して昭和生まれの建物と分かる雑居ビルを見て「ここなら借りても大丈夫Ｖ」と思ったＡ子さんでした。（中はちゃんと掃除してますので。笑）　挨拶もそこそこ、さっそく税務相談に入りました。「あのさ。私今度消費税納めることになったらしいんだけど。」「確定申告書の控えを持ってきました？　それを見れば分かりますよ。」　Ａ子さんはハンドバックの中から、数年分の確定申告書の控えが入った封筒を取り出しました。　税理士のＹはその中から平成１５年分の確定申告書の控えを取り出し、申告書Ｂの左上の営業等の収入金額の欄に目を落としました。「平成１５年の売上が１９００万ですから、今年（平成１７年）は消費税を納める義務が生じますね。」「何を基準に消費税を納めるか納めないかを決めるの？」（Ａ子さん）「基準期間の課税売上高が１０００万円超か否かで納税義務が決まるんですよ。」「基準期間って何？」（Ａ子さん）「消費税の納税義務を判定する際の基準となる期間という意味で、個人事業者の場合はその年（平成１７年）の前々年が基準期間となります。」「何で前々年が基準期間となるの？　前年や今年が基準期間になったっていいんじゃないの？」（Ａ子さん）「消費税は商品の売値に転嫁することが前提になってるんですよね。ですから例えば平成１７年の消費税の納税義務の場合、遅くとも平成１６年中には消費税の納税義務の有無がわからなくちゃいけないんです。そうしないと消費税込みの売値を決定することができなくなってしまいますから。ここまではお分かりになりますか。」「うん。何となく。」（Ａ子さん）「良かった。それじゃあ話を続けますが、個人事業者の平成１５年分の売上が確定するのはいつか分かりますか。」「平成１６年の１月くらい？」（Ａ子さん）「そうですね。キチンと毎月帳簿を付けている方であれば、翌年の１月くらいには、前年の売上は把握することができますよね。そして少し帳簿の記載が遅れている方でも平成１６年の３月１５日までには確定申告書を作成しなければいけませんので、この段階で、すべての個人事業者が理論的には前年の売上を把握していることになります。」「じゃあ、平成１６年の売上が確定するのは平成１７年の３月ということ？」（Ａ子さん）「鋭い。つまり前年（平成１６年）を基準期間とした場合には、平成１７年の売値に消費税を転嫁するかどうかについて、事前に把握することができないんです。だからその年の前々年が消費税の納税義務を判定する際の基準となる期間（基準期間）とされているんです。」「じゃあ、つまり私は平成１５年（前々年）の課税売上高が１９００万円だから今年の納税義務があるということになるわけか。」（Ａ子さん）「そういうことになりますね。じゃあ、ちょっとコーヒーでも入れてきますので、一服しましょう。その後で具体的な消費税の計算方法等について説明しますので。」　今日は消費税の納税義務という点にテーマを絞って日記を記載してみました。来週以降に納税額の計算方法や申告方法について記載していきたいと思います。　ちなみに免税事業者だからといって、消費税をとってはいけないというわけではありません。少なくとも仕入れ値に含まれている消費税は売値に転嫁しないと事業者が損をしてしまいますから。　

2005年10月22日

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税務支援

　皆さんこんばんわ。新米税理士のユタカです。　青森もだんだんと寒くなってきました。冬の大雪がなければ結構住みやすい地域だとは思うんですが。（苦笑）　先日税理士会の登録時研修に出席した際、本会の役員の先生から税務支援に積極的に協力してもらえるよう、出席者全員に要請がありました。　今年は消費税の改正に伴い、新規の課税事業者（個人事業者）が相当数生じているようです。これらの方々にご自身の不利益にならないように、適正に申告していただくためには、税理士会が一丸となって協力していく必要があるとのことでした。　私もこのブログで何度か消費税の問題を取り上げてきましたが、やはり一度は何らかの形で税理士の指導を受けたほうが良いと思います。　経済的な問題があるのであれば、各県に税理士会に無料相談所が設けられていますし、税務署なども各種説明会を開催していると思います。　別に相談をしにきたからといって、無理やり顧問契約を結ばせるようなことはしません。（笑）　消費税の取り扱いについて心配な方は、一度最寄の税理士会や税務署に相談してみたらいかがでしょうか。話を聞いてみても損は無いと思います。　

2005年09月23日

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消費税の国境税調整（輸出免税）

　皆さんこんにちわ。新米税理士のユタカです。　今日は消費税の国境税調整についてお話したいと思います。　　先日ある番組で某経済ジャーナリストが次のような発言をしていました。「消費税が増税されると輸出産業型の大企業に莫大な益税が発生する。それは輸出取引については消費税が課されず、課税仕入については還付されるからだ。その莫大な益税を獲得するために財界は消費税の増税を推進している。」　しかし上記の発言は基本的認識に誤りがあります。一般的に消費税の益税とは売上の際に預かった消費税と仕入れの際に支払った消費税との差額が国庫に納付されず、事業者の収益となることをいいます。（小規模事業者に係る納税義務の免除規定と簡易課税制度の選択が益税の発生原因となります。そのため先の消費税法改正で両規定の適用対象事業者を縮小しました。）　　一定の輸出取引に消費税を課さないとする輸出免税売上の規定は、日本の消費税を外国の消費者に負担させることが不適当であることや輸出製品への価格転嫁によって国際市場における価格競争力が低下することを防止するなどの理由から設けられているものです。　輸出取引を行う事業者が控除又は還付を受ける消費税は、「自分が支払った（立て替えた）消費税」なんですから、益税によって得をするということはありません。

2005年09月05日

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税金を滞納するとお金が借りられない？

　皆さんこんにちわ。新米税理士のユタカです。　今日のテーマは税金の滞納と金融機関からの資金調達との関係です。　通常金融機関（銀行、信用金庫等）は新規の貸し出しを行う際、申込書類の添付書類として、税務署発行の納税証明書の添付を要求します。　添付を要求する理由としては、国税債権は原則として一般の私債権に優先することや、仮に金融機関が抵当権等を設定している場合であっても、抵当権設定時において滞納国税が存在すると、金融機関の債権は滞納国税に劣後するためです。　この日記でも何度か取り上げてきましたが、消費税は赤字の場合であっても納税額が生じる可能性が充分にあります。　滞納国税があると、機動的な資金調達が阻害されることになりますから、事前に納税額をストックしておくことが必要になります。

2005年08月25日

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歯科技工所の業種区分（消費税の問題）

　皆さんこんにちわ。新米税理士のユタカです。　今日は愛車のマーチで三内丸山遺跡を見てきました。遺跡跡に復元された建物にかこまれていると、縄文時代にタイムスリップしたような感覚にとらわれます。遺跡跡の園内は入場無料でボランティアの方たちがガイドをしてくれます。前提知識なしでも充分たのしめますから、機会がありましたら是非お立ち寄りください。　本題に入りますが、先日名古屋地裁で、消費税の業種区分につき重要な判断がくだされました。　以前にもお話しましたが、消費税の計算方法には原則計算と簡易計算の2種類があります。後者の簡易課税の場合、主たる計算要素は、課税標準額に対する消費税額（課税売上の際預かった消費税のことです。）とその会社の行う事業の業種区分となります。　課税標準額に対する消費税額は、どのような業種を営む会社であっても計算方法に差異はありませんが、もう一つの計算要素の業種区分は消費税の納税額の計算に大きな影響を与えます。従って税理士は簡易課税の業種区分の判定に際しては、細心の注意を払うことになります。　　歯科技工所は従来、国税不服審判所の裁決により、サービス業に該当する旨判断されていました。その理由としては、歯科技工所は日本標準産業分類（会社の行う業種を分類するための基準となるものをいい、書店でも売られています。）においてサービス業として分類されていること、歯科技工士は、歯科医師の補助者であり、歯科技工士の行う業務は、歯科医師の行う医療行為（サービス）の一環をなすものであることなどがあげられていました。　今回の名古屋地裁の判決は、従来の国税側の判断を覆し、歯科技工所は製造業に該当する旨判断しました。　製造業は一般的に、自己の計算（給与所得者と異なり、自ら危険負担をするということです。）に基づいて原材料を購入し、これにさまざまな加工を加え、他の者に販売することを業とすることをいいます。　サービス業は無形の役務の提供をすることを業とすることをいいます。　歯科技工所は、自己の計算に基づいて、金属等の原材料を購入して、これに歯科医師からの指示書にしたがって加工を加えて、歯科医師に義歯等を納入するわけですから、常識的に考えれば製造業に該当するものと考えられます。　また歯科技工士は、患者と直接接するわけでもありませんし、医療サービスの給付について患者と個別に契約を締結するわけでもありません。従って無形の役務の提供をするサービス業に該当すると判断するのは適当ではありません。　以上のことから、今回名古屋地裁は、歯科技工所の行う業務は、製造業に該当する旨判断しました。　何故私が今回の判決に注目しているかというと、私が東京の会計事務所に勤務していたとき、歯科技工所を担当していたからです。　所長の了解をとったうえで、クライアントの社長に、製造業での申告を一つの選択肢として説明したことがあります。（もちろん更正される可能性がある旨も説明しています。）　結局クライアント側の判断でサービス業で申告しましたが、今回の判決で自分の考え方が間違っていなかったことが確認できて素直にうれしかったです。　国税側は今回の名古屋地裁の判決に対して控訴しましたので、まだ取り扱いとして確定していませんが、今後も一税理士として、裁判の行方に注目していきたいと考えています。　　

2005年08月23日

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白色申告の個人事業者の方へ

　こんにちわ。新米税理士のユタカです。　白色申告の個人事業者の方は、消費税の準備はできていますでしょうか。　以前にも記載しましたが、消費税は一定の届出（課税事業者選択届出、簡易課税選択届出など）の提出の有無や、計算方法の選択などにより納税額に大きな差が生じる場合があります。　特に白色申告で原則計算を選択しようとする場合には、請求書等だけではなく帳簿への記載も要求されるので、白色で全く帳簿を作成していないようなケースでは、不利益を蒙る可能性も否定できません。　また上記一定の届出については一定の提出期限が付されていますし、いずれの計算方法が有利かについて事前にシュミレーションをしてみないと、一定の届出の必要性の有無も判断できないことになります。　消費税の選択を間違えて不利益を蒙るのはご自身なのですから、年内の早い時期に最寄の税務署の消費税の説明会に出席するなどして、事前に充分に準備しておくことをお勧めします。　　　

2005年08月10日

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消費税その２

　皆さんこんにちわ。新米税理士のユタカです。　今日は税理士試験の初日です。私も昨年までこの時期は、寝不足でふらつきながら理論や計算の確認をしていました。いつもこの時期になると、試験日があと1週間でも先に延びてくれたらいいのにとそれ以前の自堕落な生活を悔いていたものです。　受験生の皆さんは今が一番苦しいでしょうが、あと数日の我慢ですから、この1年間の努力を全力でぶつけてきてください。　皆さんの健闘をお祈りいたします。　さて本題に入りますが、例えば会社でプラスの所得が発生すれば、通常は法人税が発生します。では会社の決算が赤字だったらどうでしょう。会社の決算が赤字であれば、マイナスの所得に対して法人税は課されませんから、法人税額は原則としてゼロとなります。　それでは会社が赤字の場合には消費税はどうなるでしょうか。　結論を申し上げると、会社が赤字であっても消費税が発生する可能性は充分にあります。　消費税の計算方法は、法人税や所得税の所得計算方式（収益から費用などを控除する方式）と異なり、原則として商品の売上の際などに相手方から預かった消費税額から商品の仕入れなどの際に支払った消費税額を控除する方式により納税額を算出します。そのため会社の所得が赤字であっても、預かり消費税額が支払った消費税額を超過する限りにおいて、消費税は発生することになります。（ちょっと難しい表現ですが、この計算式は、事業者の事業の外観で納税額を算出する簡易課税を選択しておらず、課税売上割合が９５パーセント以上の場合に適用される計算式です。大多数の会社などは、課税売上割合が９５パーセント以上になるのですが、不動産業、医業などの非課税売上が生じやすい一部の業種、土地など高額な非課税資産を譲渡した場合などでは、課税売上割合が９５パーセント未満となることもあります。）　通常会計事務所の人間は、決算が終わると決算書、申告書、納付書などをもって会社へ決算説明に伺うのですが、会社が赤字の場合、消費税の説明が一番後回しになってしまうことがままあります。消費税は会社側にとって単なる預かり金だという認識は、会計事務所の人間であれば、誰でも持っているものなのですが、お客さんに対して消費税の納付書等を出しにくいと感じるのは私だけなのでしょうか。　いずれにしても納税者の方は会社が赤字であっても、消費税が生じる可能性は充分にあるのだということを上記により認識して頂いて、事前に資金繰りの計算に含めておくことが必要になると思います。　

2005年08月02日

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個人事業者の消費税について

　皆さん、こんにちわ。　皆さんは税法についてどのようなイメージをお持ちですか。　税法の法規集を直接見たことは無くても、税法の規定自体は、国税庁発行のパンフレット等で何度かご覧になったことがあると思います。　私の場合、税法の勉強は消費税法から始めたのですが、初めて触れた税法の規定は次の通りです。　「国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律（消費税法のことです。）の規定により、消費税を課する。」　皆さんは上記の文章を見て、どのように感じるでしょうか。　私の場合には上記文章をはじめて目にし、「何をもって国内と定義するのだろう？」、「事業者と事業者以外の人ってどうやって区分するの？」、「資産の譲渡等て何だ？」と、頭の中は？マークでいっぱいになり、「内容はおいおい説明しますから、取り敢えず覚えてきてください。」という専門学校の先生の声を恨めしく聞いた覚えがあります。（今になっては懐かしい思い出ですが。）　税法の条文の基本的理解は、それぞれの条文の内容を構成する言葉の意味を「英語の学習」をするような感覚で、その都度確認していくという作業によりある程度達成されると思います。　取り敢えず自分にかかわる税について何か調べたいと考えたら、国税庁のホームページで関係するパンフレットをダウンロードするか、直接税務署の窓口に出向いて関係するパンフレットを入手し、それを上記の要領で丁寧に読み込んで、理解できないところを税務署等に電話で問い合わせる又は税理士に税務相談を申し込むことなどによりある程度解消できると思います。　最後に本題ですが、消費税法の改正により、「小規模事業者に係る納税義務の免除の規定」というものが改正されました。これにより個人事業者の方は、平成15年の課税売上高が1000万円を超える場合には、平成17年分（平成17年1月1日から平成17年12月31日までの期間）の消費税について納税義務が生じることになりました。（つまりその年の前々年の課税売上高が1000万円超の場合に消費税の納税義務が生じるということです。）　いままで消費税を一度も納めたことがないという個人事業者の方も大勢いらっしゃるかとは思いますが、一定の届出書の提出の有無や、計算方法の選択、帳簿及び請求書等の保存状況により納税額に大きな差異が生じる場合もありますので注意が必要だと思います。　　今回はちょっと硬い内容だったので次回はもう少しやわらかいテーマについて記載していきたいとおもいます。　　　　

2005年08月01日

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