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テーマ:DVD映画鑑賞(13624)
カテゴリ:映画・日本
都内の会社に勤める若い女性、遠藤京子(小池栄子)は、幼い頃から対人関係に問題を抱え、孤独な日々を送ってきた。ある日彼女は、無差別にある親子3人を惨殺した坂口秋生(豊川悦司)という犯人の逮捕劇を生中継するテレビを目にする。そこで坂口がカメラに向けて放った謎めいた笑みを見て、自分と同じ孤独と絶望感を見いだした京子。すぐさま事件に関する記事のスクラップを開始し、坂口に関する情報収集に夢中になっていく。そして公判が始まると、弁護士の長谷川(仲村トオル)のもとを訪れ、坂口への差し入れを取り次いでほしいと依頼するまでに彼への想いを募らせていくのだったが…。 (allcinemaより) ―この愛は理解されなくてもいい― というキャッチコピーがありましたが、やはり、理解するのはなかなかに困難でした。 坂口(豊川悦司)と京子(小池栄子)の抱える圧倒的な孤独を、わたしは感じたことがないからかと思います。 でも、「解らなかった」と一言で済ますのも何なので、ちょっと感想めいたものを書いてみようかと思います。 誰からも見捨てられ、無視され、いわれのない「罰」だけを与えられ続けてきた二人。 「誰にもわかってもらわなくていい」という坂口、「自分だけは理解している」という京子。 二人が近づいていくのは必然だったかもしれない。 でも交流を続けるうちに、坂口は今まで一言も話さなかった弁護士・長谷川(仲村トオル)に「人を殺した自分、そしてそれに対して何にも感じない自分が怖い」という気持ちを吐露します。 「俺はね、きっとまた人を殺します。死刑になるべきなんです。」と訴える坂口は、明らかに変化しているように見える。 「俺と君は違うんだよ。俺は人を殺したんだ。」「君は生きて欲しい。」と坂口は京子に話す。 坂口は京子によって変わった。でも、京子はそれを望んでいなかったのでしょう。 同じ苦しみ・孤独・罪・憎しみを共有したかった。 その意味では、京子の方がより坂口を愛していたのかもしれない。 京子は坂口と同じになりたかった。 だから、最後、坂口はその京子の心を理解し受け入れ抱きしめ微笑んだのだろうと思う。 「一人はいや」「わたしたちだけが理解し合える」という気持ちが強い分、京子の孤独の方が深かったのかもしれない。 京子の存在によって坂口の孤独が相対的に少なくなったとも言えるかもしれません。 でもそれって皮肉ですよね。 その分、京子の孤独は増すのですから。 ラストで「あたしのこと、どうにかしようなんて思わないで!放っといて!!」と叫ぶ京子。 簡単に解ったような顔をしてくれるな、という悲痛な叫びでしたね。 ひとつ解らないのは、どうして「接吻」の相手が坂口ではなく長谷川なんでしょう? この「接吻」にはどういう気持ちが込められているのでしょう? 長谷川なら理解してくれると思ったのでしょうか? どう思いましたか? やっぱり京子を理解するのは難しいようです。 この難役を演じた小池栄子、かなり良かったんじゃないでしょうか。 『接吻』公式サイト 『接吻』2006年(日本) 監督:万田邦敏 脚本:万田珠実、万田邦敏 出演:小池栄子、豊川悦司、仲村トオル、篠田三郎、他 2008年第18回日本映画プロフェッショナル大賞作品賞受賞 同 主演女優賞受賞 小池栄子 同 ベスト10 第1位 2008年第82回キネマ旬報ベスト10 第9位 2008年第63回毎日映画コンクール主演女優賞受賞 小池栄子 2008年度第30回ヨコハマ映画祭脚本賞 万田邦敏・万田珠実 同 主演女優賞 小池栄子 同 日本映画ベスト10 第6位 2008年第23回高崎映画祭最優秀作品賞 同 最優秀主演女優賞 小池栄子 同 最優秀主演男優賞 仲村トオル 同 最優秀助演男優賞 豊川悦司 「接吻」予告編 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.10.08 20:43:32
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