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カテゴリ:演劇、観劇
昨年7月に上演された『THE BEE』に続くイギリス人キャストと野田秀樹による英語での上演作品です。
今回は源氏物語と現実の世界、これらが行き来するような構成となっています。 歌舞伎の舞台でもお馴染みの囃子方、田中傳左衛門、そして笛を福原友裕による太鼓と笛の生演奏。 演じる俳優と息を合わせての演奏は、音楽の域を越えているのを感じました。 取り調べ室で、精神分析を受ける女(キャサリン・ハンター)。 精神科医(野田秀樹)とのやり取りで、一方的にも見える反応を示していた彼女でしたが、いつしか彼女の潜在意識とともに二人は同じ世界を見ることになります。 海女のように海を潜る動作が最初と最後に見られますが、それはまるで彼女の世界へ入るため、またはそこから脱出するのに必要な儀式のようでした。 多重人格の女性が見るその世界へと、観客は導かれていきます。 それは時には映像を見るような錯覚を覚え、場面場面が鮮烈に脳裏に焼き付いていきます。 フラッシュバック、繰り返し、衝撃的な場面、音と視覚に訴えるその先にあるものを常に意識してしまいます。 「能」の様式と、お面を取り入れ、イギリス人の俳優と共に演じる舞台。 しかし、カタチに気を取られて、登場する彼らの内面と役割が希薄に感じてしまいました。 こんなに目に見えるカタチで「能」を意識しなくても、野田らしさで何か表現する方法があったのではないか、と思われてなりません。 それは、日本語の字幕に頼ってセリフとしての言葉を理解しきれなかった観客の弱みなのでしょうか。 作・演出・野田秀樹、共同脚本・コリン・ティーバン、作調・田中傳左衛門、美術・衣裳・キャサリン・チャップマン、照明・クリストフ・ワーグナー、音響・ポール・アルディッティ ※公演詳細は、世田谷パブリックシアターのサイトで。 日本で上演する前にロンドンのソーホーシアターで上演された作品です。 (’08.6/19-7/19 プレビュー3回、本公演30回) (シアタートラムにて) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.10.14 00:27:18
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