ジブラルタル海峡を通過中、U96は致命的な攻撃を受け、280mの海底まで沈んでしまった。
設計水深90mのこの艦は、漸く海底から脱出し、満身創痍で母港ラ・ロシュルに向かう。
独映画「Uボート」は連合軍の駆逐艦、攻撃機との戦闘を描いた潜水艦映画であるが、居住性を犠牲にし戦闘機能を優先した艦内などがリアルに描かれている。
海面下は宇宙とも対比できる極限状態であるが、宇宙船とか潜水艦という極限下の機器は、機器そのものが充分に興味深い。
潜水艦映画のジャンルがあるほど、潜水艦とはドラマチックな兵器と言えるし、この映画の主役は潜水艦そのものかもしれない。
第二次大戦中、独潜水艦乗組員4万のうち、3万人が帰還できなかったという事実は、壮大な消耗戦を想像させるとともに、戦争の過酷さを語っているだろう。
この事実は、戦争の善悪は別として、ドイツ映画人を突き動かすだろうことは・・・想像に難くはない。
現在の潜水艦は核ミサイルを搭載して潜んでいるので、より脅威が増し、ボタンを押すか否かが問題となっているが・・・・
第二次大戦時の潜水艦は、もっと泥臭い闘いを強いられていた。
過酷な任務を終え、母港ラ・ロシュルへの帰還は、生きてたどり着くというのが、ふさわしい形容だったかもしれない。
映画では、やっと生還したベテランの艦長が母港への空襲であっけなく倒れるが、あっけない死というのは、戦争を実感させる。
実際に 二十歳を少しすぎたくらいの若者達が、奮闘の甲斐なく海の藻屑となってしまったが、平和時にその敢闘精神で建設的な仕事ができればどれだけ幸せだっただろうと思うが・・・・・
それが、戦争の無慈悲なところだろう。
u-96調査報告書はどう?