この映画が日本で公開されるまで約2年待たされたということは、採算性なのか、霧社事件というセンシティブな事件のせいだったのか?
大使としては、満を持して元町映画館に出かけて第一部を観たのです。
元町映画館
伝統的な出草(首刈り)にかける男としての誇りが執拗に描かれているが・・・
民族の伝統を描くことに台湾人のアイデンティティを描きたいのかも知れないですね。
一方で、漢人はずるくて心を許せる相手ではないものとして、わりとステロタイプで描かれています。
日本人には傲慢な警官もいたが、住民の教育・治安維持などの行政を忠実に執行する生真面目な面が表れていて・・・・
まかり間違っても、役人として私腹を肥やす現代の漢人とは違っていることがよく描かれています。
その他の個人的な見どころとしては・・・
・蜂起にあたって蛮族出身の警察官の逡巡が哀れである。
・湿潤な台湾の森がきれいである
・種田陽平の手になる霧社の街並みセット
【セデック・バレ 第一部 太陽旗】
ウェイ・ダーション監督、2011年台湾制作、2013年5/23観賞
<Movie Walker映画解説>より
1930年、日本統治下の台湾で起きた、原住民による抗日暴動“霧社事件”のいきさつを、『海角七号 君想う、国境の南』のウェイ・ダーション監督が、4時間36分の長編作として映画化し、2部作として上映。『第一部 太陽旗』では、原住民のセデック族が日本に対し武装蜂起するまでが描かれる。
<大使寸評>
伝統的な出草(首刈り)にかける男としての誇りが執拗に描かれているが・・・
民族の伝統を描くことに台湾人のアイデンティティを描きたいのかも知れないですね。
一方で、漢人はずるくて心を許せる相手ではないものとして、わりとステロタイプで描かれています。
movie.walkerセデック・バレ
セデック・バレ予告編
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一部、二部仕立ての長編なので、二部については別の機会に観ることにしたのです。
ここで、3年前に観た「海角七号」を紹介します。
【海角七号/君想う、国境の南】
ウェイ・ダーション監督、2008年台湾制作、H22年観賞
<Movie Walker解説>より
ミュージシャンの夢敗れ、台北から故郷の恒春に戻った青年アガは、郵便配達の仕事についたものの、無気力な日々を送っていた。そんな時、日本から中孝介を招いて行われる町おこしのライブに、前座バンドとして駆り出されることに。オーディションで集められたメンバーは寄せ集めで、練習もままならない状態。ひょんなことからマネージャーをする羽目になった日本人女性・友子とも、衝突してばかりだったが…。
<大使寸評>
台湾語と北京語の掛け合いの面白さは、日本人にとってはつんぼ桟敷でありわからないが、若しかしてそのあたりが台湾で受けた訳なのかもしれません。
監督は霧社事件の映画が作りたいのだが、スポンサーがつかないので、先ずこの長編第一作「海角7号」で実績を上げるつもりだったようです。
それが、歴代第一位のヒット作というがすごいですね。
movie.walker海角七号/君想う、国境の南
海角七号 byドングリ
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フラガール、アリエッティ、キルビル、イノセンス等々をつなぐのは、美術監督としての種田陽平であるが・・・・
セデック・バレの美術監督として種田陽平が参画しています。
マジックアワーのセット
賽徳克 巴莱 (セデックバレ)日本語公式サイトの「今日の仕事状況」で、美術監督のなんたるかがよくわかります。
今日の仕事状況より
昨年マヘボ社での撮影最終日、月夜も静まる真夜中に戦場となったマヘボ社で最後の録音が終わった後、現場に残ったのは流木の燃えかすからかすかに聞こえる火の粉の音と崩れ落ちてゆく木々のくぐもり、ゆっくりと消えて行く音。そしてその場に立つスタッフの心に刻まれたなんとも表現しがたい複雑な気持ち、困難を乗り越えた達成感と同時に別れゆく友を見送るかのような...。
そのような思いを一つ一つの現場で重ねて行くうちに霧社街だけはどうしても残したい。
映画を見に来た人たちにも是非この地を訪れて何かを考える切っ掛けにそして、9月の映画公開前に当時の原住民の生活を体験したり文化や歴史などを学べる場所として、また映画を見た後に遊びに来れるようなそんな場所として残せればという思いからクランクアップから今までセットに手をつけずに保存をしてきました。
月日が経つごとに雨風により損傷が進む中各方面の関係者と協議を続けてきました。広大な土地に立つセットを維持するのは金銭的にも人資源的にも大変なことですが、現在私たちは文化と娯楽面を合わせ霧社街を文化園区として解放すると同時に、部落を一部分再現する事によって当時のセデック族の生活をかいま見れるような施設にするような方向で計画を立てています。
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