カテゴリ:演奏会
今日は、3公演を聴くことができました。
大阪 関電ビルディング1階ロビー 大阪クラシック第62公演 ピアノ 浅川昌子 Vn:鈴木玲子 Cb:松村洋介 Cl:田本摂理 Tp:秋月孝之 Ob:浅川和宏 ヒンデミット:オーボエ・ソナタ ヒンデミット:5重奏曲 大阪 中之島ダイビル1階ロビー テナーサキソフォン:西本淳 ヤコブ=テル・フェルドハウス:グラブ・イット クリスチャン・ロバ:ハード 前半二公演は、いずれも中之島に最近建ったばかりの超高層ビルの1階を使ったロビーコンサートですね。しかしまあ、ロビーコンサートにこんなバリバリの、モダン作品と現代作品を持ってくるなんて、なんて挑戦的なんでしょう。 ヒンデミットは、愉しい聴きものでした。ヒンデミットの独特の様式感・構成感、要するに「体臭」ですね、これが何ともいえず良い。アメリカ亡命前の作品で、まだまだ「とんがった」ヒンデミットのめったに聴けない室内楽を聴かせてもらって、感謝です。 西本さんがテナーサックスを引っ提げての登場となった公演は、衝撃的といっていい。特に1曲目。終身刑を受けている人々を収容する刑務所をルポしたドキュメンタリーをミュージックコンクレートしたCDをバックにサックスがコラボするというだけでも刺激的だが、実際にそこに出現する音楽が何ともいえず、「腹に応える」。受刑者の叫びが単なる音となってポップ極まりないサックスの音と並置され、時に置き換わることで、畢竟我々の社会なんて(音楽なんてと言い換えてもいい)こんなもんだよね、というような冷笑と、世界の裂け目をのぞき見たようなゾクッとする感覚に晒される。決して楽しい音楽ではないが、そこにある「力」には抗しがたい魅力があるのも事実。2曲目は、「管理された即興性」の極北にあるような作品で、演奏効果のいくところまでいった感のある作品。ただ聴いてる限りはこんなもんかしらんと思っていたものの、実際の楽譜を見て愕然としたのでありました(サックスの楽譜に4段譜が出現するんですよ!)。 そして、夕食代わりにビールをひっかけ、ぐすたふくんの向かう先は・・・・ 大阪 ザ・シンフォニーホール 大阪クラシック第71公演 大植英次指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 ピアノ 小林夏衣 マーラー:花の章 モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番k.466より2楽章・3楽章 ベートーヴェン:交響曲第5番ハ短調「運命」 良く入りましたねえ。立ち見も売り切れという、あふれんばかりの人の入り。 花の章は、篠崎さんの美しいペットが絶品。本当にこの人が大フィルに入ってくれて良かった。 そして、モーツァルトは・・・・実は事故があったんですよね。みんな気がついてたかなあ。2楽章の途中、ソリストがミスを弾きなおしたんですよ。当然、一拍ピアノが遅れるわけで、かなりひやっとしました。ここをみんな良くカバーしたなあ、大フィルえらいです。これ、もしかして、このソリスト、コンチェルトをオケと弾くのははじめてなんじゃなかろうかと思っていたら、演奏後、大植さんの口からはたしてそうであったことが告げられて合点した次第。 この若干18歳のソリスト、それだけでも凄いが、左手に障害を持ちながら、それを克服してのピアニストとのこと。でも、多分そう言われるのはきっと好きじゃないんだろうな。「みなさんが10本の指を持っておられるのと、私がこの指を持っていることは同じことすから、それを上手く使えばいいだけなんです。(当たり前のことです)」という言葉がなによりもそれを語っている。それが証拠に、アンコールのショパンの遺作のノクターン、凛としたリリシズム、ただただそれだけで十二分に立派な演奏でありました。 大植さん、涙など流していたけれど、ちょっとそれはどうかなあ・・・「大阪の聴衆の温かい拍手を!!」くらいで止めといた方がよかったんとちがいますやろか。だって、これからピアニストとして立っていく彼女には、その音楽がすべてなんだし、そのことはこの厳しい世界に生きるオケの人々も大植さん自身も、よおーくわかってるはずですしね。僕としては、さらに研鑽を積んだ彼女が、ふたたび大フィルとともに舞台に立つ姿をまた見てみたいです。 そして、「運命」。繰り返しを省いた、短縮ヴァージョンだったけれど、無駄な演出を省いたすっきりした演奏で、好感のもてるもの。ちょっと斜めに構えていたぐすたふ君でさえ、4楽章が進むに従って高揚感を抑えることができませんでした。いつもみたいな大花火、ではないけれど、みんなが満足して、また明日、と思える・・・そういう中押しに相応しいものだったんじゃないかしら? さて、明日は明日、でありますね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 4, 2009 12:01:28 AM
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