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1000枚以上あるCDを全部iTuneにとりこみ終わったぐすたふくん、こうなったらレコードをMP3変換してコンプリートライブラリを、と意気込んだわけでありますが・・・・残念ながら、変換ソフトとVISTAの相性が最悪で、フリーズと再起動の繰り返し。挙句の果てには、スタートアップ画面から先に行かないという起動不能に陥り、ほとんどクラッシュ寸前まで行ってしまう始末。先週一週間はその対応・後始末でほとんどつぶれてしまいました。結局、あきらめざるを得ないという結論。やれやれ。
でもまあ、その過程でうちにあった5枚のトミタ・シンセサイザーアルバムは最低取り込むことに成功。で、そうなるとですね、ぐすたふくんのコレクター魂、火がついてしまいまして・・・・ちょうど、2007年にすべてのアルバムがオリジナルジャケットでCD再発売されている!しめた!・・・と、まあ、持っていなかったアルバムをこの際、というわけでネットで注文、揃えてしまったわけでありまする(ようやるわ、とこすもすはあきれ顔でありますが)。 で、あらためてオリジナル・アルバムを全部並べてみると・・・・実はアルバムは全部で9枚、そして最後のアルバムが「ドーン・コーラス」・・・!!!あきらかに、冨田さん、これらのアルバム、自身の「交響曲」とでもいうべき「作品」であった、と思っておられたんでしょう。そして、最後は「第9」、ここはやっぱり「合唱」で締めよう、と思ったに違いない。 1番・月の光(1974) 2番・展覧会の絵(1975) 3番・火の鳥(1976) 4番・惑星(1977) 5番・宇宙幻想(1978) 6番・バミューダ・トライアングル(1978) 7番・ダフニスとクロエ(1979) 8番・大峡谷(1982) 9番・ドーン・コーラス(1984) でも、こうして並べてみても、実際聴いても、TOMITA作品、7番までで終わっても良かったと思う(ぐすたふ君がリアルタイムに聴いていたのも、ここまで)。この中では、4番も改めて良い出来だと感心したけれど、アルバムとしての完成度・サウンドの圧倒的力感という点で、やはり5番と6番が群を抜いている。5番ではそれぞれの曲が完成された小宇宙を呈し、そのサウンドの美しさは尋常ではない。ただ、6番になると、行くところまで行ってしまった感があり、そこに意図されたムジーク・ドラマやSF的イメージに一般聴衆がついていけないところもあったかもしれない。その意味で、今一度シンセサイザーの音楽的表現の可能性を追求しなおした7番も、違う方向で一つの到達点に達している。この3作品、同時期にある程度同時進行のように作成されていたことを僕は知っているが、TOMITAシンセサイザーはここで頂点に達していたのだ、と改めて思わされる。 だから、冨田さん自身、次にどうしようか、と思ったんじゃないかなあ。2年の沈黙は、新しいデバイスを導入し、その扱いに習熟するため、というわけだけではなかったように思う。結局、8番と9番には「この作品を作らねばならなかった」という切迫感が希薄で、サウンド的には確かにより洗練されてはいることは認めても、それ以上ではない。結果的にそれまでの財産や蓄積の上になされたルーティーン・ワークの範囲に留まっており、魅力に乏しいといわざるを得ない。 その一方、1番から3番には、このころにしか聴かれない、実験精神・チャレンジやパッション、アナログシンセならではのぬくもり(!!)なんかがあって、そうしたものが捨てがたい魅力になっている。 こんなところにも、「音楽」というものの不思議さ、をみる気がして、ちょっと考えさせられます。 ただ、吉松隆がしばしば言っているように、「人は人生において、多くの場合シンメトリカルな星座を知らないうちに描いている」・・・そのことを、このトミタ・シンセサイザーに当てはめたとき、7番までで終わったときには、その星座の転回点をどこにもおけない、また7番と1番が到底対応すると思えず、2番と6番もしかり・・・・ということに気がつく。 それでは、9番まで広げたときにどうか?そう考えたとき、5番の一種私小説短編集のような「宇宙幻想」を中心点として、オリジナル・SFシンセ・ストーリーの「惑星」と「バミューダ」(4と6)、バレエ中編組曲1つに小品二つからなるクラシック・アルバムの「火の鳥」と「ダフニス」(3と7)、大規模表題音楽組曲一つの「展覧会の絵」と「大峡谷」(2と8)、そして小品をコンピレーションした「月の光」と「ドーン・コーラス」(1と9)・・・・と、見事に対応した図形が描かれることに愕然とする。 その意味で、やはり冨田氏、意識する・しないにかかわらず、9枚目までを制作しなければならなかったのだな、と思う次第。そして、おそらく二度とオリジナルのアルバムは作成されることもないのだろう。 そして、僕はこの音に胸を躍らせた、10代のことを懐かしく振り返る。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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