パンッ！！

　　！？・・・銃声？


周りを見回すが、人影はなかった・・・



失敗だった。
今日の配達場所が遠いのは分かっていた。
電動付き自転車にまたがり約１時間。


　　遠っ！


鼻歌も途切れ、お尻が痛くて、お尻のポジショニングにとても苦労したと言えばご理解頂けるだろうか。そしてお尻は現在も、当然痛い、、ウウ。


だが、今日はそんなこと大した問題ではなかった。
そんな、、


　　お尻のことは知りませんっ！

　　・・・

　　・・・（汗）



ゴホッゴホッ、、、話を戻そう。


あれは午後４時半頃だったと思う。
お客さんにコーヒーを届けた帰り道。
空には雲が張り、時折ポツポツと細かい雨が降っていた。
配達にはもちろん最低である。
そんな時に限って、お届け場所は遠い。
そして、怪しい天気の時に限って、事件は起きるもの・・・

雨に降られる前に帰ろうと、アクセル全快で走らせていた。
そんな時である・・・


　　パンッ！！

　　！？


何が起きたのか分からなかった。
自転車を止め、周りを見回す。
音はかなり近かったが、周りに人影はない。

何かが起きていることは、肌が感じていた。
五感が鋭くなる。


　　シ～ン。


ここは中国である。
中心部からは少し外れ、道は整備途中、人通りは明らかに少ない。
ここでは何が起きてもおかしくはなかった。


　　シ～ン。


心を落ち着かせる。
あの音を聞いたのは、一度だけである。
まずは、この場所を離れることが先決だった。

周りを気にしながら、ゆっくりとペダル踏・・・踏めなかった。
明らかにペダルが重い。


　　おかしい・・・


背後を見ると、


　　！？　ウッウソ・・・


ここは中国。
何が起きてもおかしくはない。
これはもちろん自分にも当てはまる。


見事に、破裂していた、、タイヤが。。
あの音の正体は、タイヤの破裂であった。


自転車から降りて、破裂を確認をする。
よく見ると釘まで刺さっているではないか。


　　なんでやねん・・・


なんとも悲しいツッコミ。
自転車にツッコミをいれるのは、初体験だった。

周りを見回しても、誰も居ない、店もない・・・


　　あぁ～、なんでやねん・・・


なんど言い続けても、状況は変わらない。
だが、そんな最悪の状況を見てくれている方はいる、神様である。
きっと神様は、こんな私をずっと見てくれていたのだろう。
最高のプレゼント、、


　　ザーーーー・・・


雨である。

最近使っていなかった表現を使うと、、「気持ちはブルー」である。

最低な状況から、更に最低な状況へ。
神様は笑っていたのかもしれない。


だが、
こうなれば、人間強いものである。
底辺まで来れば、あとは這い上がるしかない。


タイヤの破裂などものともせず（強がりだが。）
雨もまた気持ちいいと思い（ベトベトだが。）
自転車を押して帰ることを決意する（他の方法は無い）



たまに通り過ぎる自動車などに「助けて」と悲しそうな視線を送りながらも無視され、トボトボと家に帰ってきたhicafeであった・・・。