(どこ行っちゃったのかしら、ユリウス・・)
アフロディーテは会場内を見渡しながら、ユリウスの姿を探した。
こうしている間にも、男達の視線が自分に突き刺さる。
オーストリア=ハンガリー帝国皇女である以上、媚を売る貴族達の視線に幼い頃から耐えなければならなかった。
それに幼いながらも優秀な兄・ルドルフと何かと比べられてアフロディーテは息苦しい思いをしていた。
しかしユリウスと出会い、初めて息苦しさから解放された。
ユリウスとルドルフが好き合っていることを知り、アフロディーテは2人を引き離した。
(ユリウスは私のものだものv兄様になんか渡さないわv)
アフロディーテは楽団の方へと向かった。
「1曲歌いたいの、曲をお願いできる?」
楽団はアフロディーテがいつも歌っている曲を奏で始めた。
その頃会場の外では、カエサルがユリウスを睨みつけていた。
「ルドルフ様のことをいつも考えているんだね、君は。」
「僕は・・ルドルフ様のことをご友人として心配してるから・・」
ユリウスはそう言ってうつむいた。
「友人として?それよりももっと深いものがあるんじゃないかい、君とルドルフ様との間には。」
カエサルはユリウスの顎を持ち上げた。
「これだけは言っておく。僕はいつか君からルドルフ様を奪うつもりでいるから、覚悟しておきたまえ。」
「そんな・・」
ユリウスは呆然として立ち去っていくカエサルの背中を見送った。
(カエサルがどうしてルドルフ様を・・彼は一体何を言っているんだ?)
カエサルの言葉の真意がわからないまま、ユリウスは会場へと戻った。
そこではアフロディーテがいつも歌っているアリアを歌っていた。
その姿は天上から舞い降りた天使のように美しかった。
だがそんなアフロディーテを見ても、ユリウスはルドルフのことばかり考えていた。
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